第六話 Sランククランてなんですか?
「よし、それじゃあ早速今からギルドへ登録へ行きましょう」
「へ?今から?ギルドですか?」
「当たり前じゃねえか!クランへ加入するにはギルドで登録しなきゃならないんだからな、善は急げだ!早速今からいこうぜ!」
なるほど、クランへ入るにはギルドでの登録が必要なのか、それにしても今からいくとは、相変わらず流れが速すぎて付いていけないな。
二人に連れられて、私たちは同じ街の中にある冒険者ギルドへ到着した。
中に入ると、他の冒険者たちの視線が一斉にこっちを向く。
「……おい、あいつら【えとらんぜ】だぜ」
「一体何のようなんだ?」
あーあー、何かものすごく注目を集めている気がする。
冒険者たちがひそひそと内輪話をしているのを尻目にアデリナさんとカグヤさんは、つかつかと正面のカウンターまで真っすぐ足を運んだ。
「いらっしゃい、アデリナさんとカグヤさん、本日は何のようですか?」
「後ろの二人を【えとらんぜ】へ加入させたいの」
「ええ!? 【えとらんぜ】へとうとう新人が加入するんですか!?しかも二人も!」
「ああ、期待の大型新人だぜ!」
……誰が大型新人ですか?
何か勝手にハードルが上がり続けている気がするけど、私たちのせいじゃないよね?
歩美は、ニコニコして少し気分が良さそうだ、状況わかってんのか?
周りの冒険者たちも、皆一様に驚きを隠せないでいる。
「……おい、あの二人が【えとらんぜ】に加入だと?」
「ぱっと見た感じ、普通の女の子にしか見えないが、中身は化け物なのか?」
……いやいやそこのあなた、人を見る目は確かです。
私たちは普通の女の子です。
どうしてこうなったのか、知りませんよ本当に、手をふるな歩美。
「わかりました、それではそこのお二人、こちらに来てこのクリスタルに手を触れてください」
受付のお姉さんが手の平サイズくらいの青い水晶のようなものをカウンターに置いた。
恐る恐る手を触れると、青白く輝き出した。
「はい、これで登録は終了です。そこのあなたもお願いします」
歩美も続いて手を差し出す。
私の時と同じ様に光を放ち、登録は終了した。
「これで登録は終了です。お疲れさまでした」
「ありがとう、せっかくだからこのままクエストを受注しようかと思うの」
「え?ああそうですね、新人のお二人も一緒にですか?」
「ええ、経験を積ませるなら早め早めに積ませていった方がいいかなって」
「そりゃあいいな、どんどん鍛えて早く戦力になってもらおうぜ」
……何か不穏な会話が聞こえてくるんですけどー、アデリナさんとカグヤさんが何か恐ろしいことを言い始めた。
「わかりました、それではどの依頼にしますか?」
「とりあえず、適当な魔物退治のクエストはあるかしら、難易度は、そうね……Bランクくらいで」
「Bランク!?たった今ギルドに加入したばかりの新人を連れてですか!?ちょっと無茶じゃないですか?」
「いいえ、私たち【えとらんぜ】にとってはBランクくらいが新人の教育にちょうど良いのよ」
「へー……さすが最高のSランククランですね、やっぱり意識の高さが他とは段違いですね」
えーと、私たちが入ったクラン、Sランクなんですね、ていうか最高のSランクって言ってませんでしたか?
「さすがたった四人でSランクまで上り詰めた【えとらんぜ】の皆さんは違うなぁ、その分だとそこのお二人もただの新人さんではないんでしょうね、いやぁ、さすがだなぁ」
何がさすがなんですか?
ちょっと話がどんどん付いていけない方向に向かっていってるんですが……
「よし!それではうちのギルドの中でBランクでもとっておきの難易度のクエストを出しましょう!」
よしじゃねーよ。
とっておきの難易度のクエストってなんだよ、八百屋かあんたは。
「こちらのクエストはどうですか? 【キングリザードの討伐クエスト】こちらは文句なしのBランクです」
「ええ、あの子たちのデビュー戦にぴったりね、それじゃあこのクエストはうちで受注させてもらうわね」
「はい、それではお願いします!」
ああ、クエストの受注が決定してしまった。
受付のお姉さんに受注決定の用紙をもらい、ギルドの外に出てきた。
まあ、カグヤさんたちと一緒にいけるんなら大丈夫か、多分めちゃくちゃ強いだろうし。
「ああ、それと言い忘れてたけど」
「何ですか?」
「今回のクエストは私とカグヤはあくまで付き添いで手を出さないから、あなた達だけで戦ってね」
にっこりと微笑みながら恐ろしいことを口走るアデリナさんの影が悪魔に見えた瞬間だった。
少しでも面白いと思って頂けましたら、評価をお願いします。下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります。
ブックマークも頂けると非常に喜びますので、是非宜しくお願い致します。
良ければ、感想もお待ちしております。
評価や、ブックマーク、いいね等、執筆する上で非常に大きなモチベーションとなっております。
いつもありがとうございます。