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第二話 初めてのチートスキル発動!

今回から初めてのチートスキル発動です。

 「やっぱり腹立つわー」


 私たちは、現在謎の洞窟の中にいる。

 賢者たちが言うには奈落の底だそうな。


 賢者が杖をかざして謎の光を放ったかと思うと、次の瞬間にはここにいた。


 「……ワープってやつか?」


 さすが異世界、何でもありか。

 恐らく、異世界から召喚してはずれだった奴は、こうやってここに飛ばしているのだろう。

 勝手に呼び出しておいてこんな仕打ちをするだなんてひどい話だ、私の世界でこんなことしたら即刻訴訟もんだぞ、全く。

 ぷんすか怒りながら、こんな状況下でも未だ熟睡中の歩美を揺すって起こそうとする。


 「歩美!歩美ー!いい加減に起きなさいよ!えらいことになってるぞー!」


 両肩を掴んでゆっさゆっさと揺らしていると、ようやく少し反応があった。


 「うーん……さすがにもう食べれないや……」

 「いや食べなくていいから、ていうか起きろー!」


 ひたすら揺すっていると微妙に目が開いたような気がするが……


 「……これは美味しくないから都ちゃんにあげるね」

 「あんたまじでどんな夢見てんの?」


 とにかくそろそろ起きてくれないと次の行動にうつれないため、必死で揺さぶり続けてると……


 「なによー、もう都ちゃんたら大声出して……ていうかここどこ?」

 「はあ、はあ、やっと起きたか。歩美大変だ。私たち、いきなり召喚されて私がねずみで歩美がうしで、追放されちゃった」

 「えーと、わけわかんないかな」


 まだ頭が動転しているみたいで上手く説明できない。

 ここは、少し深呼吸をしよう。

 すーはーすーはー……よし落ち着いた。


 私は頭の中で冷静に冷静にと自分に言い聞かせながら、歩美に現状を説明した。


 「なるほどねー、私が寝ている間にそんなことがあったなんてねー」

 「本当に大変だったんだから、歩美は全然起きないし」

 「いやー、私昔から一回寝たら全然起きなくて、隣の家が火事でも全く起きなかったらしいし」

 「何それこわい」


 ……まあ歩美の睡眠与太話はそこまでにして、これからのことを考えないと。


 現状を整理すると……

 私たちは、今は謎の洞窟の中にいる。

 武器らしい武器は何もなく、セーラー服を着ている普通の女子高生が二人だけ。

 そして、今はお腹がすいてきてる……いや詰んでね?


 「いや、本当にどうしよう?このままじゃ私たち飢え死にしちゃうよ」

 「んー……都ちゃん、とにかく外に出れないか辺りを散策してみようよ、何か食べれるものとかあるかもしれないし」

 「そうだね、ずっとここにいても仕方ないか、とりあえず移動しよう」


 私たちはとにかく出口を探して動くことにした――


 とその時、遠くの方でガサガサっと何かの音がした。

 

 ……何だろう?と不思議に思っていると、その音は徐々に近づいてきて……大きな何かが目の前に飛び出してきた。


 ……それは信じられないくらいに巨大なサソリだった。

 多分、三メートルくらいある。


 「えーと、あれはひょっとしてモンスターってやつかな?」

 「あんなでっかいサソリ見たことないねー」


 歩美と恐る恐るサソリの様子を見ていると……


 「あのサソリ、どう見てもこっちを敵だと思ってるよね……」

 「うん、私もそう思ってた」


 謎の巨大サソリをこっちを向きながらハサミを振り上げながら、尾を天井の方へ向けている。

 あれは、どう見てもこっちを威嚇している……


 「いやあ、どないしよ」

 

 私が呟いた瞬間、サソリが勢いよくダッシュしながらこっちへ向かってきた。


 「いやあああ!」


 あまりの速さに転びそうになりながら全力で逃げ出すが……


 サソリは想像以上に素早く、すぐに追いつかれ尾の先についている針をこっちへ突き出してきた。

 うわあ、刺さったら痛そう……

 サソリの尾が私の胸元に突き刺さった瞬間――


 『スキル【泰山鳴動して鼠一匹(アブソリュートガード)】を自動発動します』

 

 目の前にウインドウのようなものが表示されたと思ったら、サソリの針は私の胸に突き刺さらずそのまま弾かれていった。


 「キシャァァ!?」


 サソリは見るからにびっくりしている。


「あれ?あの尾の先の針って意外と柔らかいのかな?」

 

 もしくは、私の胸が固いのか、まあ確かに柔らかくはない……ってやかましいわ!

 ひょっとして、今表示されたスキルのおかげなのか?

 頭の中で気にしていると再度、目の前にスキルが表示されたウインドウのようなものが出現した。

 

 【泰山鳴動して鼠一匹(アブソリュートガード)】 : 【特性:ねずみ】を持つものが習得できるスキル、 敵の攻撃を無効化する。一日に三回だけ使用可能。


 ……おお、やっぱりスキルの効果だった。

 でもこのスキルで攻撃を無効化できるのは一日で三回だけなのか、あのサソリもう一回突っ込んでくる気満々だけどな、ほら来たどうしよう?


 「【牛歩戦術(ディレイゾーン)】発動!」


 その時、隣の歩美が謎の言葉を発した。

 その瞬間、サソリの動きが物凄く鈍くなった。

 何というかスローモーションを見ているようだ。


 「歩美……今のは何?」

 「いや、目の前に変な文字が現れたからその通りに言ってみたの。自分でもびっくりしてるところだよ」


 【牛歩戦術(ディレイゾーン)】 : 【特性:うし】を持つものが習得できるスキル、使用者の周囲の敵の動きを一定時間鈍くする。


 なるほど、今のは歩美の【特性:うし】の能力か。

 

 これで、あのサソリは隙だらけだな。

 そうすると、攻撃手段は何かないのかな……

 考えた瞬間、また目の前にウインドウが浮かぶ。


 【針鼠(ヘッジホッグ)】 : 【特性:ねずみ】を持つものが習得できるスキル、使用者の体に防御不可の針を生やし攻撃できる。針の数は使用者のステータスに比例する。


 おお、何か物騒な名前のスキルだな。

 表示の通りに唱えてみる。


 「ええと【針鼠(ヘッジホッグ)】発動!」


 言葉を発した瞬間に、右手の手の平に鋭利な針が一本だけ生えてきた。

 うわ、これ怖い。

 でも、一本だけでは針鼠にはほど遠いな。

 多分ステータスが低いから一本だけなんだろう。


 とりあえず、スローモーション状態のサソリに針を突き刺してみる。


 うん、一応刺さるけどダメージを与えられてる気がしない。

 よく考えたらいくら腕から針が生えてこようが、私は非力な女子高生だ。

 こんな大きなサソリを倒せるわけがなかった。


 「えええ、やっぱり私たちじゃこんなの倒せないんじゃ……」


 冷静になればなるほど、目の前の状況に心が折れそうになる。

 私の心に少しあきらめの感情が芽生え始めたその時――


 「どいてぇ!都ちゃん!」


 歩美がサソリに向かって突撃していく。

 よく見ると巨大な角が生えている。

 んなあほな……


 歩美はそのままサソリに角を突き立て持ち上げながら吹っ飛ばした。

 吹っ飛ばされたサソリはそのまま壁面に衝突し、仰向けに倒れながらもがいている。


 「すごいじゃん、歩美!それも【特性・うし】の力なの?」

 「うん、私のスキルって、牛の特徴っていうか、突進するのが得意みたい、この角も【剛角牛(バッファロー)】だって!」



剛角牛(バッファロー)】 : 【特性:うし】を持つものが習得できるスキル、使用者の体に巨大な角を生やすことができる。角の大きさは使用者のステータスに比例する。この角が生えた状態では【突進】が使用可能となる。



 【突進】 : 【剛角牛(バッファロー)】を発動中に使用可能。相手に向かって突進する。当たった場合、相手は必ず吹っ飛ばされる。



 なるほど、バッファローも牛の一種だ、歩美は突進するのが得意と……

 すごい怖いんですけど!


 その時、壁に叩きつけられてもがいていたサソリが体勢を立て直して再び襲い掛かってきた。


 私たちは不意をつかれた形となり、攻撃を避けるのは間に合わないだろう。

 両手のハサミをぶんぶん振り回して攻撃してくる。

 左右のハサミで一回ずつ殴られるが、その度に【泰山鳴動して鼠一匹(アブソリュートガード)】が発動して攻撃を無効化する。

 ふふん!効かぬわ!

 ……あれ?次は尻尾をぶん回して攻撃しようとしてる?

 さっきのスキル【泰山鳴動して鼠一匹(アブソリュートガード)】も効果は確か三回だけだったはずだ。

 最初の尻尾の刺突で一回、今のハサミのぶん殴りで二回、ということは合計三回……


 「あれ?やばい、死んじゃう?」

 

 巨大なサソリの尻尾が横殴りで私を捉えようとしたその瞬間――


 「危ない、都ちゃん!」


 歩美が後ろから私を突き飛ばした。

 

 「な!?何してんのあんた!?」


 私をかばって歩美が代わりにサソリの攻撃を受けてしまった。

 尻尾を肩口に受けて吹っ飛ばされる歩美。


 「ぐう!」

 「歩美ぃ!大丈夫!?」


 歩美に駆け寄る私目掛けて、サソリは容赦なくハサミを薙ぎ払ってくる。

 何とか避けようとしたが、避け切れずに喰らってしまい、私も吹っ飛ばされる。

 咄嗟に左腕で防ごうとしたおかげか、数メートル飛ばされてもまだ意識は保てていた。

 

「うう……歩美……」


 どうやら左腕と肋骨が折れたようだ。

 激しい痛みを感じながらも歩美が心配で立ち上がる。

 

 ……だめだ、目がぼやける。

 息がうまくできない。何で私がこんな目に……

 

 ……でも、歩美を助けなければ。


 足を引きずりながらも歩美のところへ向かおうとする私へ向かって、無情にもサソリが突っ込んでくる。


 「ああ……今度こそ本当に死んじゃうなこれ……」


 朦朧とする意識の中、死を覚悟した瞬間――


 『スキル【窮鼠猫を噛む(ファイナルリベンジ)】を発動しました』

 

 目の前にウインドウが出現し、新たなスキルが表示されると同時に私の体が青い光に包まれた。


 「……何だ?新しいスキルが発動したの?」


 【窮鼠猫を噛む(ファイナルリベンジ)】 : 【特性:ねずみ】を持つものが習得できるスキル、最大HPの一割になった時に自動で発動する。攻撃力が一時的に千倍になる。なお、体力が一割より回復した場合は効果は消える。


 「……なるほど、これなら……勝てるかも」


 攻撃力が千倍なら、ひょっとしたらあのサソリも倒せるかもしれない……


 「……問題はあのサソリにどうやって攻撃するかだよなぁ……」


 ハサミを振り上げ突進してくるサソリだが、私が攻撃する前にひき殺されるのは目に見えてる。


 「……せめて一瞬だけでも動きが止まれば……」


 そう思った瞬間、サソリの動きが目に見えて鈍くなった。

 まるでスローモーションを見ているようだ。


 「……これは!?歩美の……!」


 歩美が瀕死の状態で放ったスキル【牛歩戦術(ディレイゾーン)】は確実にサソリの動きを鈍らせた。


 「……あの子は無茶ばっかりするんだから……でも……これなら!」


 私は、足を引きずりながらサソリに近付いていき――


 「よいしょぉぉぉぉ!」


 残る力を振り絞ってサソリの顔に向かって張り手をかました。


 その瞬間、サソリはバチィィィィン!と派手な音を出しながら、木っ端微塵に吹き飛んだと同時に目の前にウインドウが開き、メッセージが表示される。





 【地獄のサソリ】討伐報酬


  地獄蠍の甲殻、地獄蠍の毒針、地獄蠍の剛爪を入手しました。


  経験値800を入手、レベルがアップしました。  【Lv1→8】 




 

 私はそのまま、仰向けに倒れこんで……


 「いや、ビンタで吹き飛ぶとかどないやねん……」

  

 と呟きながら意識を手放した……

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