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第一話 異世界召喚!からの流れるように追放!

新作を描いてみましたのでの投稿させて頂きます。


 目を覚ますと、そこは見たこともない、石作りの部屋だった。


 祭壇のような所に寝かされており、周囲を見渡すと奇妙な服装の男性たちに囲まれている。


 「……解せぬ」


 確か私は、友人と一緒に通っていた高校から買い食いをしながら帰宅中だったはずだ。

 

 ……えーと、どうしてこうなってしまったか、必死に記憶を手繰り寄せてみる。


 私の名前は子々津(ねねづ) (みやこ)、17歳の高校二年生だ。

 ……よし、ここまでは覚えている。


 確か、私は同級生で友人の牛乃(うしの) 歩美(あゆみ)と一緒に大好きなチョコモ〇カジャンボをかじりながら下校中だった。

 ……うんうん、ここまでも完璧に記憶している。

 

 その後、歩いていると謎の光に包まれてからの記憶が全く無いのだ。


 「あれ?歩美は!?歩美ー!歩美―!」

 「……ひょっとしてさっきから探してるのは隣で寝てる女子のことか?」


 奇妙なローブを着た老人に声を掛けられ、隣を見ると――

 ものすごく幸せそうな顔で大きく口を開けながら熟睡をしている歩美がいた。

 歩美……何てはしたない姿で……


 「……ああ良かった、でも、この状況でこんなに熟睡できるなんて……」

 「わしらが召喚した直後からずっとその調子じゃがな」


 そうなのか、恐ろしい子……


 「……ん?ていうか今召喚したとか、おっしゃいました?」

 「お、おお、そうじゃ、わしらがお主たちを召喚したんじゃ」


 おお、ということは、これは世間でうわさの異世界召喚ってやつか。

 なるほど、それを聞いて今の状況が少し理解できそうな気がする。


 「ということは、ここは私たちのいた世界とは別の異世界ってやつですか?」

 「そういうことじゃ、わしらはこの国で賢者と呼ばれておってな、その賢者の力を結集してお主らを召喚させてもらったんじゃ」


 ここにいる奇妙な服装の男性たちは、どうやら賢者と呼ばれる偉い人たちらしい。

 その偉い方々が力を合わせて召喚したのが私たちってか。


 ……何で?


 私も歩美も普通の高校生だ。

 それこそ私たちより勉強ができてスポーツが得意な高校生なんていくらでもいる。

 そんな中でわざわざ私たちを召喚するなんて、本当に大丈夫なのか?誰かと間違えてませんか?何か不安になってきたぞー。


 「あの……何で私たちを選んだんですか?」

 「ん?わしらの召喚術は呼ぶ人を指定したりはできないんじゃ。その代わりに、こちらの望むような能力を持つものを呼び寄せてくれるはずでな。そこで呼ばれたのがお主たちということになるのじゃが」

 「……なるのじゃが?」

 「わしらから見てもお主らは本当に普通の若者にしか見えん。ひょっとして失敗したのかもしれんと、少し不安を覚えておる」


 さすが賢者、ご明察だ。

 こう見えても、成績もオール3だし、得意なスポーツも思いつかない、正真正銘の帰宅部だ。

 そんな私たちに何か望まれても困るというものだ。


 「……もし失敗だったとしたら?」

 「まあ……簡単に元の世界に戻せるもんでもないでな。その時はそれなりの対応をさせてもらおうかの」

 

 ……何それ怖い。

 いやいや、勝手に召喚しといて失敗だったら何かするとか、無理すぎるんだけど。


 「よし、それでは早速お主らのスキルを確認させてもらおうか」

 「スキル?何ですかそれ?」

 「スキルとは、こちらの異世界で使用できる特別な能力じゃ、召喚されたものたちは、それぞれ特別なスキルを入手しておるでな、そなたらのスキルにも期待しておるのじゃ」


 ……なるほど、そのスキルが使えるかどうかで、私たちの運命が決まるってことか。

 頼むから神スキルがきてくれ!お願いだから!


 「よし、それではお主らのステータスを確認させてもらうぞ」


 ………………どきどき


 「……む!?これは!?」

 「な、何でしたか!?」

 「お主のスキルは……【特性・ねずみ】と出ておる」

 

 ……ねずみ。

 ねずみ?

 ねずみってあのねずみ?


 「何ということじゃ!よりにもよって、召喚者からあの野蛮な獣の特性スキルが出てしまうとは!しかもねずみとはな……失敗も失敗、大失敗じゃ!」


 やっぱりねずみじゃ駄目だったらしい。

 他の賢者たちも目に見えてうろたえまくっている。


 「……いや、まだもう一人残っておる!こっちの若者のスキルが良ければ帳消しじゃ!」


 ……何か私のことをマイナスに数えるのはやめてほしいな、傷つくから。


 「よし、それではステータスを確認するぞ!」


 熟睡している歩美に向かってスキルが使われる。

 ここまで騒いでも起きない歩美すげーなおい。


 「むむむ!これは!」

 「今度は一体何でしたか!?」

 「この子のスキルは……【特性・うし】じゃ」


 ……うしってあの牛?

 まあ、ねずみよりましか、大きいし。

 っていうか、やばい!これはあかん方のスキルなんじゃ……


 「こやつも、獣の特性スキルではないか!二人とも失敗なんてなんということじゃ!こんなことは前代未聞じゃぞ!」


 賢者たちが、もうこの世の終わりのように騒ぎ立てている。

 さすがの私も傷つくぞこのやろう。


 「……はあ、はあ、仕方ないのう、今回の召喚は失敗じゃな、全く前回の召喚時には【剣王】やら【聖女】やら盛りだくさんじゃったのにのう」

 「じゃ、じゃあ私たちは……」

 「ああ、残念ながら追放じゃな」


 がーん、ものすごく流れるように追放が決定してしまった。

 これからどうなるのか想像もつかないが、どう転んでもろくなことにならないだろう。

 少し前まで普通の高校生だったのに、どうしてこうなった?


 ……ていうかまだ寝てるのか歩美よ。

 そろそろ起きろ!ある意味すごいけど!


 「お主らのような役立たずはこのマゼンティアには必要ないのじゃ、全く無駄な労力を使わせおってからに……」


 いやいやいやいや、私たちを勝手に召喚したのはあんたらだろうが、それを野蛮だの役立たずだの……

 聞いていると段々と腹が立ってきたぞ。


 「さてそろそろ追放じゃ、最後に言うことはあるかの?」

 

 「……ざけんなよ……」

 「ん?なんじゃ?」

 「ふっざけんじゃないわよ!!!あんたら勝手に呼び出しといてその言い草はないんじゃない!?あんたたち自分がやっていることが恥ずかしいとは思わないの!?」


 私は、ありったけの怒気を込めて言葉を吐き出した。


 「ふん!何を言うかと思えばそんなことかの!まあお主らはわしの魔法で二度と出て来ることができない奈落の底へと飛ばしてやるわ!」


 ……上等だよ、マゼンティアの賢者共、顔は覚えたからな……


 私たちを追放したことを絶対に絶対に後悔させてやるんだからね!


 賢者の持つ杖が不思議な光を放ち出した、私は最後に決意も込めて賢者たちに向かって啖呵を切る。


 「私たちは絶対にここへ戻ってきてあんたたちに後悔させてやるからね!覚えときなさいよ!!!」


 そのまま、眩しい光が激しくなり周囲が何も見えなくなった。


 


 

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