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まほらとバディと被害者の姉

「ラリサ……」


「ハウンド……」



───ラリサさんって被害者のお姉さんで、たしかハウンドさんの初恋の人……!



まほらは瞠目して二人を見た。


二人は互いに見つめあったまま、互いにどうしていいか分からないといった様子で黙っている。

その微妙な空気感に困ったまほらが口火をきった。


「は、はじめまして……ハウンドさんのバディを務めさせて頂いております、魔法省捜査四課のまほら=クラインです」


まほらの挨拶に我に返ったようにハッとしたラリサがまほらに視線を移し、挨拶を返した。


「はじめましてラリサ=イコスです。ハウンド()とは幼い頃からの友人で……」


言い淀む感じにそう告げるラリサにハウンドは言う。


「まほらさんは捜査関係者として事情を知っているよ」


「そ、そうなのね……」


「………ああ。……元気そうだね」


「………ええ。……あなたも」


「………」


「………」



え、何?この()は、この気まずさは。


自分はお邪魔なのかもしれないと、まほらはハウンドに告げる。


「えっと……私、別の店で食事するので、せっかくなのでお二人でランチを召し上がられては……?」


その言葉にラリサが過剰に反応して否定する。


「いえっ!私はお使いの途中なのでこれで失礼しますからっ……!」


「ラリサ」


「ハウンド、元気そうで良かったわ。それじゃあ、私…行くわね。まほらさん、失礼します」


「あ、は、はい失礼します……」


そう告げて足早にまほらの隣を通り過ぎて行くラリサを、まほらはぽかんとして見送った。

そして横にいるハウンドを見遣り、遠慮がちに訊ねた。


「良かったんですか?あの感じじゃ、お二人久々に会われたのでは……」


まほらがそう言うと、ハウンドは少し困ったような顔をして答えた。


「彼女も言っていただろ?お使いの最中だって。気にしないで、さあ行こう」


「は、はい……」


気にしないでと言われても、二人のあの微妙な空気感。

二人は共通の悲しみをその身の内に宿している、まほらはそう思った。

妹を恋人を、それぞれ失った二人の悲しみがあの一瞬でありありと伝わってきたのだ。


まほらは一人、ちいさな声でつぶやいた。


「……東方人は、そういう心の機微に敏感なんですよ……」


「え?何か言った?」


まほらの小さなつぶやきをハウンドが聞き返す。


「いえ?何でもないです」


まほらは顔に笑みを貼り付けた。



まぁ被害者の家族とはいえ、公に捜査に携わっているわけではないまほらがもうラリサと会う事はないだろうと思っていたのだが……。



「あれ?ラリサさん?」


「まぁまほらさん」



偶然にも市場の八百屋で同じカブに手を出して、

再会したのであった。






────────────────────────



今日は短くてごめんなさいです。





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