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プロローグ まほらは失恋した

よろしくお願いします!

「え?ホントに?ホントにルミアちゃんが俺と食事に行きたいって言ってくれてるの?やったぜ!なにそれ超嬉しい!」



あ、これはダメなんだな、と私は思った。



「いやぁ~、俺の周りの女性ってさ、幼馴染のお前とか魔術学園や科捜課の怖い女性先輩とかばっかりだっただろ?だから俺には恋愛結婚なんて無理なんだな~って思ってたんだよ!それなのにどうよ!?ルミアちゃんだぜっ!?魔法省の受付嬢の#あの__・__#可愛いルミアちゃん!やった!俺にも運が向いてキタ!!」



ダメ出し。


“幼馴染のお前”とは私、まほら=クライン、東和出身の倉印(くらいん)まほらの事だ。

(現在はアデリオールの国籍を持っている)


ずっと幼馴染としか見られていない事は知っていたけど、それでも誰よりも側に居たから。

近くに居すぎて気付いていないだけで、本当はブレイズにとって私は特別な存在なんだって思っていた。

きっといつかはブレイズも私と同じ想いに気付いてくれると、そう思っていたのに。


あ、ブレイズとは今私の目の前で受付嬢のルミアちゃんに好意を寄せられていると知って喜んでいるこの男だ。


ブレイズ=ギブソン。

子供の頃、東和からアデリオール王国に移った時から家が隣同士の、幼馴染兼、魔法省の同僚兼、私の初恋の人。


私は幼いうちから芽生えたこの恋心を二十一歳になった今でも後生大事に抱えているというのに……。


キラキラの青春時代も、キャピキャピの新人時代も、全てこのブレイズに操を立ててきたというのに……。


なのにこんな形であっさりと失恋するなんて……十年来の私の恋心が可哀想すぎる。


でも、心はその人だけのものだ。


自分が想っているから相手も想って欲しい、同じ熱量を返して欲しいなんて思うのはエゴだ。



私はブレイズに気取られないよう小さく嘆息して、彼にこう告げた。


「……食事に行きたいって誘われただけでもう結婚の話?……あんまりガツガツすると引かれるわよ?……それじゃあOKなのね?ルミアさんにそう返事しておくわね?」


「なんだよぅ、そりゃ付き合うなら真面目に考えるだろ。まぁいいや、もちろんOKもOK!大変光栄ですって、返事しといて」


ハイ、完全敗北。


「わかった。それじゃあ私、用事があるから」


「え?帰んのか?久しぶりにまほらが来たって、お袋が張り切って料理してるぞ?」


「ごめん、大切な用があって。おばさんには私から謝っておくから」


「珍しいな、何の用だよ」


「ブレイズには関係ないことよ」


「まほ?」



そう。ブレイズには関係ない事だ。


私の恋心なんて。


たった今失恋した事なんて。


今まで大切にしてきた想いを、

諦めなくてはならない私の気持ちなんてブレイズには関係ない。



でも、恋心を棄てるのは、どうしたらいいんだろ。


この想いが簡単に消えてくれるとは思わない。


私の中からブレイズという存在を消す……しかないだろう。



それならまずは物理的な距離を置く、全てはここからか。


ならば彼の近くにはいない方がいい。

それから……それから……


私は家に帰り、手順(プロセス)を考えた。



大切にしてきた、報われない恋にサヨナラするプロセスを。







───────────────────────




はじまりました新連載。


今作は作者の都合上、短めを小刻みに不定期投稿する…という形となるかもしれません。


それでも毎日一話は必ず投稿しますのて、よろしくお願いいたします。


とりあえず、明日の朝も更新あります。

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