つめたいみず
掲載日:2020/12/20
朝に
顔をあらうとき
たまに
ずっと遠くにいるひとを
さがしたいような心地がする
それがまた
運命の呼び声
と、かたづけるには厄介な代物で
だれかをまた愛したい
と、まぁそのていどの
ちょっとした嘆きにも思えて
蛇口からあふれるつめたいみず
いたい
うんといたい
ある過去の風景には
郵便局のまよこ
みずよりも透きとおったかおの
あなたが
手を振って
信号機のさき
わたしがくるのを待っている
ただその風景がある
手垢がついて、あまりきれいでないけど
まどろみという魔法がとけて
だれかに知られたわたしになって
あぁ、もうここにわたしはいないの
と、わかったふうな気で
蛇口をしめれば
まだ手の甲に残ったみずが
いたい
うんとつめたくて、いたい




