第二話 王都に到着しました
リアルが忙しくて投稿が遅れました。深夜に書いたので文がおかしいかもしれませんw
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「いってぇ」
いきなりの頭痛に目を覚ました。
これが、二日酔いってやつか…
昨日のお祭り騒ぎで飲まされた酒がまわってきたのだろう。
頭がぼーっとする。
異世界で二日酔いというのはデバフだと相場が決まっている。
「…オール…キュア」
頭からもやっとしたものがすうぅっと抜けていく
それとともにまた眠気が…
「ボフッ」
おなかあたりに何かが落ちてきた。
「いってぇ」
本日二度目の痛み。
「おはようございます!ゼクシス様!」
「おはよう、リリア。ちょっと、重たいかも」
落ちてきたのはリリアだった。
「失礼ですね、ゼクシス様は!」
プイッといわんばかりに顔をそらした。
「ごめんってそんなに怒らないで」
そう言って顔の前に手を合わせると、
「ふふっ、怒ってませんよ。冗談です。」
と、リリアは言った。
効果音をつけるんだったら”テヘペロ”だろう。
「もうお昼ですよ。下にご飯ができてますよ!早く起きて下に来てくださいね!」
そう言って元気に部屋を出ていった。
「あ、ありがとう」
朝から無駄にはらはらした気がした。
今日の朝ごはん兼お昼ごはんはパンケーキ。
出来立てのパンケーキの上に乗ったバターがいいにおいを立てながらじゅわぁっと溶けていく。その上に、朝とったばかりだというはちみつがあふれんばかりにかけられる。これがまた見た目だけじゃなく味も格別でふわっとした生地を噛むとあまーいはちみつが染み出し甘さをバターの塩分がちょうどよく引き締めてくれる。何とも言えないおいしいさだった。
「さて、腹ごしらえもしたことだし王都へ出発しますか!」
忘れ物なし!
「ありがとうございました!」
「また来くるんだよ!」
と笑顔で女将さんが返してくれた。
「もちろん、またおいしいご飯食べに来ますよ!」
「ゼクシス様!気を付けて!」
とリリアも見送りに来てくれた。
「ん。じゃ行ってきます!」
いざ王都へ!
村を出るとすぐ森の中の道へ入る。
きっとマイナスイオンがばかすか出ていることだろう。
聞いた話によると、王都は相当遠くて馬車でも一週間はかかるらしい。スキル【転移】で行きたいとこだが、これは行ったことのある場所にしか転移できないという制限付きなので初めて行く王都とやらは自分の足で向かわなければならない。まぁ、真面目に歩いていくつもりはないが。幸い、王都への道はある程度切り開かれているらしく道なりに行けばつくらしい。
とりあえずブーツに付与されている浮遊魔法で空でも飛んで移動する予定。
この浮遊魔法、少しばかり欠点があって飛び立つ瞬間周りにものすごい風を巻き上げる。例えるなら、ヘリコプターが飛び立つ感じ。そんなこと村でやったら最悪家吹き飛ばす可能性があるので少し離れなきゃいけなかった。
さてと、じゃあ魔法発動させますか。
発動の仕方は簡単で某有名運動靴メーカーのCMと一緒。
靴の側面に手を当てる。
「アクティベーション」
とたん爆風の渦が巻き起こり、体が宙に浮く。そして一気に10メートルほど上まで上昇する。
「バースト」
それを合図に、前への推進力が生まれる。それはどんどん加速していき、100キロは超えるのではないかという速さまで出た。やっぱりこれは何回やっても飽きない。
「あれは?」
飛び始めて15分ほどたったころ、進行方向に黒煙が見えた。
すると、そのあたりから赤い物体が飛び上がった。
「レッドドラゴンか」
レッドドラゴンはその名の通り、赤い龍である。口から炎のブレスを出すのが特徴だが、龍種特有の爪も相当なの攻撃力があり、さらに”魔法に耐性”がある厄介なモンスターである。
確か、公式設定だと龍種は人を襲う習性がある。つまりこの黒煙の中には、人がいる可能性が高い。
「いくか」
黒煙が上がっている元へ向かうと同時に、アイテムウィンドウから一本の剣を取り出す。
「今回はこれを試そう」
この世界で剣を試すのはこれが初めてだということもあり少しワクワクした。
「バイブレーションソード」
とたん、持っている剣に青い光が宿る。
ブーツに付与された飛行魔法を最大限まで出力し、そのままレッドドラゴンに突っ込んだ。
5分程前
「お嬢様、紅茶でございます」
揺れる馬車の中。タキシードを着こなした男が言う。
「そう」
ひとこと短く答えたのは、ドレスを身にまとった可憐な少女。
タキシードの男がその少女に魔法で温めた紅茶を差し出す。
それを無言で受け取った少女は、紅茶の香りを楽しみながら外に目を向ける。
「パリーン!」
ティーカップが少女の手から滑り落ちた。
「あ....あれ..は」
そう言って少女は外に指をさす。
指のさすその先には、”空の覇者レッドドラゴン”が宙を舞っていた。
「騎士団!隊列を組め!お嬢様をお守りしろ!」
いち早く大柄の男が指示を飛ばす。
素早く前後の馬車から重装備の騎士たちが隊列を組み始める。
「レッドドラゴンが相手では足止め程度にしかなりません。ここは早くお逃げください!」
大柄の男が少女の乗る馬車に向けて叫ぶ
「しかし、お前はどうなるのですか!」
「さぁ、どうなるんでしょうか。とにかく、私たちがおとりになります。私たちの努力を無駄にしないでください」
この言葉に少女は返せなかった。
「すぐに、増援を呼んできます。それまで耐えていてください。死んではなりませんよ」
「善処はします」
そう言って大柄の男は指示に戻った。
「早く馬車出してください。できるだけ急いで町まで」
少女が馭者に指示を出す。
「はっ」
すぐに馬車が動き始める。
しかしすぐにそれは止まった。
馬車が側面から何かに押し倒される。
「キャァァァ!」
少女は思わず悲鳴を上げた。
「お嬢様!」
タキシードの男が咄嗟に庇う。
横転した馬車は幸い押し倒されるだけでのっていた少女含め軽傷で済んだ。
少女は馬車の窓から脱出し、外の様子を確認した。
しかし、なぜ倒れたのか。
その答えはすぐにわかった。
少女の頭上にはあの大きなレッドドラゴンがいた。
「嘘っ…騎士団は…どうしたの」
先ほどまで騎士団の居たところを見る。
そこはもう火の海と化していた。
レッドドラゴンのブレスは騎士団の硬い鎧をもろともせず、全てを焼き払ったのだ。
「いやぁぁぁぁぁぁ」
そう叫ぶ少女に向けてレッドドラゴンはあざ笑うかのようにブレスを放とうとした。
その瞬間、炎で赤くなった空に一筋の青い光が差した。
それはまるで少女が昔見た彗星の如く美しく、鮮やかだった。
その光は目の前のレッドドラゴンを貫いた。
それとともにレッドドラゴンは浮力を失い空中から落ちた。
そして、そのレッドドラゴンが浮いていた居た空中には、
人が立っていた。
「間に合って.....ないみたいだね、少しおそかったか。君は大丈夫?」
空中にいたその人は、そういいながら地上に降りてくる。
「あ、あの、あなたは?」
「通りすがりの旅人ですよ」
そういいながら笑顔を向けてくれた。少女はその笑顔に少しばかり安堵した。
彼は少女の無事を見届けると、早速と言わんばかりに
「まずは火を消さないとですね」
そう言って彼はブレスによって火の海と化した場所を向いた。
「ハイドロフォール」
火の海の上空にに巨大な水の塊が現れたかと思うとそれは弾けるように地上に落ちた。
その水は火の海を一瞬で消し去った。
残ったのは、焼け焦げた騎士団たち。
「騎士団が…」
少女は涙を流しながら手を合わせ、彼らの命が報われるよう祈ろうとした。
「さて、この規模の蘇生は腕が鳴りますね」
少年は暢気にそんなことを言った。
「そ.....せい?」
”蘇生”の意味を知らなかった少女は、その時これから何が起こるのかわからなかったった。
「オールリバイブ」
騎士団たちの身体が緑色の光をまとう。
数秒後、その光は消えた。
すると騎士団たちは先ほどまで何もなかったかのように起き上がった。
「まさか.....ロストマジックのリバイブを使ったの.....??」
「ロストマジックというものはよくわかりませんが、リバイブを使いました。これで皆さんも無事ですね」
「リバイブが使えるなんて、しかもあなたさっきまで飛んでいたわよね…あなた何者?」
「さっきも言った通りただのしがない旅人ですよ。それでは、先を急ぐので」
そう言って彼はすぐに飛び立とうとした。
呼び止めても無駄だと感じた少女は、
「待って、これだけ持って行って」
そう言って少女は獅子の姿が描かれた一つの紋章を取り出した。
「わかった、もらっておくよ。ありがとう。」
彼はそれを手にするとすぐに大空へ飛びたった。
「やっぱ固いなぁ龍種は」
ノーエンチャントのただの剣で挑んだとはいえさすがにきつかった。
バイブレーションソードは微細な振動を剣に与えることで切れえ味を倍増させるスキルだ。レベルマックスでも手ごたえのあるのは、さすが龍種といったところだろうか。
それにしても、この紋章は何だろうか。
お礼に渡されたのだろうが、その価値はよくわからなかった。
あれから二時間ほど飛んだだろうか。日が傾き始めたころ、城壁で覆われた大きな街が見えてきた。
「あれが王都か」
よく見ると城壁の外には人や馬車が並んでいた。
「あれが街に入るための列かな?」
きっと不審者などが入らないよう検問しているのだろう。
素直にここは並ぶとしよう。
「次、来い!」
5分程待っていると順番が来た。
「身分証を出せ」
身分証.....なにそれ.....
「身分証は持ってないのか?!」
やばいやばいそんなもんないって。
そういえば、あの紋章.....
「これでいいですか?」
あの時もらった紋章を出してみる。これがダメだったらどうしよう.....
「お、王家の紋章.....王家の方とは知らず申し訳ありませんでしたぁぁぁ!!」
え、王家?何それ。
まぁ、なんだかよくわからないがとにかくヨシ!
通れたことに変わりはない。
さて、そろそろ日も暮れるころだしまずは今日の宿屋探しかな。
適当にぶらぶらして見つけよう。
さすが王都というべきか。最初に目覚めたあの村より、人口密度も家の密度も格段に高かった。
「やめてください!」
どこからか声が聞こえた。
メイン通路は人が多くうるさいので、その声に気づくものは俺以外にいない。俺に聞えたのは、感知スキルを常時発動しているおかげで重要な音がピックアップされて聞えてくるせいだろう。
さっきからずっと面倒ごとに巻き込まれている気がしなくもないが、助けを求める人を背にすることはできないだろう。潔く声のもとへ向かった。
「触らないでください!」
「いいだろぉ!俺が抱いてやるって言ってんだよ。俺が楽しませてやるからよぉ」
声がした路地裏にいたのは、壁際に追い詰められた16、7歳の少女と、酒に酔ったのか知らないが、完全に女の子をナンパしようとして失敗している大柄の男だった。
とりあえず止めないと。
ここで俺はミスをした。
「女の子がやめろって言ってんだろ。そのくらいにしとけ」
あーこれは完全に相手に火をつける発言ですねぇ。冷静に考えて俺バカだろ。
「あぁん?ガキが出しゃばってんじゃねーよ」
ほら見ろ完全に頭に来てるよ。完全に言葉の選択間違えたよ。もうどうにでもなれ。まあ、そもそもここに首突っ込んだのが悪いんだけどさ。
「いきなりしゃしゃり出てきて勇者様気取りか?覚悟はできてるんだろうなぁ!」
いやもう勇者様気取りだったのは認めざる負えませんわ。覚悟はできてるけども。
俺はすでに相手のステータスは大体把握していた。
ここに着いた時にスキル【スティールステータス】を発動させた。これは、自分のレベル以下の人や魔物に対して文字通り盗み見るものだ。
これは余談だが、似たスキルに【鑑定】がある。これは触れることで自動に発動し、比較的読み取れる情報の量が多い。
しかし、それとは少し違い【スティールステータス】は自分のタイミングで相手に触れずに見ることが出来るという利点があるが【鑑定】より読み取れる情報の量が少ない。
そして、読み取った相手のステータスはレベル46。
俺より格下の相手だ。
「俺はガリュウ。あの有名なAランク冒険者、怪力のガリュウってのは俺だ」
「誰それ?知らないね」
「ほう、よほどの世間知らずのようだな。そんなお前にひとついいことを教えてやるよ」
いいこと、とはなんだろう。
まあ、どうせろくなことでは無いのだろうが
「お前に勝ち目はない。なんてたって俺のレベルは46だ」
え、ガリュウさん、レベル46でイキってらっしゃる?
レベル46なんて初心者が一週間程で到達できるレベルのはずだ。
あくまでも、ゲーム内の話ではあるが。
「逃げて!こいつは腕利きの冒険者よ!あなたに勝ち目はないわ!」
先ほど襲われていた少女が叫んだ。
46で腕利き
ってうそだろ?!
「ほら嬢ちゃんも言ってるよ。俺は優しいから、今逃げるんだったら見逃してやるよ」
そう言ってガリュウは高笑いした。
しかし、答えは決まっている。
「逃げるつもりはないよ」
「そうか、じゃああの世で後悔しなぁぁ!」
そういいながらこぶしを高く上げてそれを思いっきりこちらに放とうとしている。
そのこぶしには茶色いエフェクトがついていた。
「俺の秘奥義!スキル【ストリングストライク】だぁぁぁ!」
考えてみればこの世界で俺以外がスキルを使っているところを始めてみた。
そんなのんきなことを考えていると、ガリュウのこぶしが向かってきた。
俺はそれを人差し指一本でとめた。
単純に自分のSTGを倍加して相手にこぶしをぶつけるストリングストライクだが、ガリュウがSTGをスキルで倍加しても俺の素のSTGを超えることはできなかったので指一本で止めることができたのだ。
ガリュウがさっきまでの勢いをなくし、間抜けな顔をする。
「俺の秘奥義を...指一本で...止めた...だと」
どうやら今の状況が信じられないようだ。
「お前は俺を殺せない」
俺はそう言ってスキル【威圧】入りでにらみつける。
このレベル差なら威圧をレジストすることどころか、1時間は腰を抜かして動けないだろう。
動けなくなったガリュウをそこら辺に放って、襲われていた少女に声をかける。
「君、大丈夫?けがとかしてない?」
「私は大丈夫だけど...あなたこそ大丈夫なの?」
「僕はこの通り、あんな雑魚相手にけがなんてしないよ」
「雑魚って...相手はあのガリュウよ...」
どうやらこの男は意外と有名らしい。
「雑魚に変わりはないよ。ケガしてないならよかった。それじゃ僕はいくよ」
早く宿を見つけないと野宿することになる。この子も怪我はしていないようだし、さっさと宿を探しに行かないと
「まって、お礼をさせて」
そう言って少女は俺を止めた。
お礼ねぇ。特にしてもらいたいことも……
あ、いいことを思いついた。
「じゃあお言葉に甘えて。今日泊まる宿屋を探しているんだけど、おすすめの宿屋教えてくれない?」
ちょうど誰かに聞こうと思っていたのでちょうどよかった。
「わかったわ!任せて!」
「それじゃ行きましょ。こっちよ!」
そう言って案内を始めてくれた。
「そういえば名前を聞いてなかったわね、私はレーナよ。あなたは?」
「ゼクシス」
「やっぱり聞いたことない名前ね。そんなに強いのに名前が知られてないなんて不思議だわ」
「そうか?」
「そうよ」
レベル46程度を倒したくらいでそこまで言われるとは思わなかった。
そんなこんなで意味のないような話をしていると目的地に着いた。
「ここが私の行きつけの宿屋よ、今私も泊まっているところなの」
案内されたのはメインの通りから少し外れたところにあるこじんまりとした宿屋だった。
「おぉ、いい感じ!」
「でしょ!王都に来るときは毎回ここに泊まっているの。意外と穴場よ!」
扉を開けるとチリリーンと鈴の音が鳴って客が来たことを知らせてくれる。
中も落ち着いた雰囲気で、とても休めそうだった。
「ようこそ、星空亭へ」
10歳くらいの女の子が接客をしているようだった。
「お出迎えいつもありがとう」
レーナがそう言って返した。
「ゼクシス、あなたお金は持っているの?」
部屋を取ろうとしたときにレーナが聞いてきた。足りなかったら問題になるので確認してくれたのだろう。
「まぁ、金には余裕がある」
「ふーん、あんなに強いのに何の仕事してたの?見ない顔だから同業者の冒険者ではないでしょ」
んーこれは答えにくい。
するとレーナは
「あ、もしかしてこれから冒険者登録する人?親の金で王都まで来たってことかな」
これはもう便乗するしかない。
「そうですよ。明日冒険者登録をする予定です」
冒険者。あいつらを探すついでに小遣い稼ぎにやってみるのもいいかもしれない。
「じゃあ、明日私がギルドまで案内するわ」
「よろしく頼む」
「じゃあまた明日ね」
そう言ってレーナと別れた。
ぱっぱと部屋を取って、その部屋のベットにうつぶせになった。
さすがに半日空を飛んで、レッドドラゴンと戦ったりしたらさすがに疲れた。
とりあえず王都について一安心といったところだろうか。
「夜飯買わなきゃ」
星空亭は食事の提供はないらしく、食事はレストランや屋台で食べなきゃいけない。
眠い体を無理やり起こして外にでる。
外は日が沈み夕闇に包まれていた。
「とりあえず、屋台で腹ごしらえでもするか」
メイン通りにはいろいろな屋台があった。たこ焼きに似た丸い食べ物から、見た目はラーメンなのにリンゴの味がするよくわからない料理がいっぱいあった。
「あの村の宿屋の飯が食いて―」
あそこの料理がいかにうまかったかよくわかった屋台料理だった。
今回も読んでいただきありがとうございます!
ついに王都に着いた訳ですが、主人公人助けしかしとらんやん!と言った所でしょうか笑。
個人の都合により次話の投稿が送れます。早めに出せるように頑張ります。