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新たな問題とその解決策 その2


「まぁとりあえずは、爺さんが紹介してくれる錬金師をこっちに引っ張りこんで、魔獣の素材を放出する代わりに魔晶をそれとなく買い集めて、 紋繰騎(クレストレース) 用の動力源と添加材料の研究を進める。それと同時に少しずつでも、ラクスター領内の騎体を魔導生物で強化、おまけにスライムを使ったエアクッション機能付きの馬車とか台車を増やす。これがここから先しばらくの、みんなでやるべき事だな」


「と、とりあえずでこれだけ一気に、ですか。ユージ殿は凄まじいですね……」


「いやぁ、相手はユージだからね、もしかしたらまた新しい魔導具も造ろうとしているかもしれないよ?」


「えぇっ!! ユージ君っ、まだやる事が増えるのかいっ!?」


「……えーと、実はまだ構想段階の物が、いくつか……」



 うわ、一応控え目に申告したのに、アールさんが無言で頭抱え始めちまったよ。


 でもしょうがないだろっ!


 今回の掃討作戦だけでも、欲しいと思った機能とか魔導具がちょいちょい増えたんだからさぁ!!


  魔法戦杖(バトルスタッフ) の魔力不足の解消に、スライム強化で増えた騎体重量の対策に、関係各所との連絡用魔導具の試作と、どれもこれも戦力増強には必要不可欠なんだ!


 正直な話、爺さんの知り合いの錬金師を一人や二人引っ張ってきたって、完全に人手不足なんだよ。


 はぁ……秘密を守れる身内だけで一段落するまでは、 紋繰騎(クレストレース) の改良案っていう手土産付きで 士導院(しどういん) に協力を要請するのは待ったをかけるって決めたの、ちょっと失敗だったかなぁ。


 でもなぁ、まだ一度も会って話した事もない相手、しかも世界的に有名な巨大組織に対して、手ぶらのままオレ個人とか少人数で取り引きに挑むなんて、それこそ無謀そのものだ。


 それに、ラクスター領内での 紋繰騎(クレストレース) 用部品の問題は、早めに解決しとかないとマズい。


 ホントにドラゴン騒動が起きてるかどうかに関係なく、ってのは言い過ぎだったとしても、この問題をそのまま残してたらまず間違いなく、ルカールのクソ野郎はラクスター侯爵家を政治的に叩く材料にする。


 例えば、 紋繰騎(クレストレース) 不足で発生する領内での魔獣被害の増加を怠慢だって言ったり、とかな。


 ラクスター領が荒れるほど、奴にとっての好材料になっちまうんだから、そんなのさっさと潰すほうがいい。


 もちろん魔獣被害を防いで、領内に住んでたり通過する人達の安全を確保するのが最優先だけどさ。



「……わ、分かったよ。ひとまず、エルフィナ君達第05小隊は引き続き、ユージ君達と共に 紋繰騎(クレストレース) の改良を進めてもらおうか。そして、研究と試験の結果で特に有効な改良は順次、 紋繰騎(クレストレース) 隊の各小隊へ適用していくとしよう。魔導具については……」


「当主様、それは僕が」


「そうか。では魔導具全般については、トリアーボ君に一任、後で全権委任状を預けよう」


「当主様、私は……」


「フィラード君は、本日付で巡回騎馬隊からユージ君達専属の連絡要員に転属だ。あぁ、ついでに新しい乗り物などの移動手段が開発されたら、その試験要員も任せるよ」



 おぉ、頭痛に悩まされてるみたいな仕草をしつつも、方針決定とか仕事の指示出しはきちんとするんだな。


 ……頭痛の種がオレ由来だってのは、ちょっと気まずいけどさ。



「ねぇ、ゆう君。アリスちゃんから出てたあの案、あっちはどうするの?」


「あー、あれか。うーん、どうすっかなぁ」


「ユ、ユージ君……まさかまだ、まだ……」


「その……アリスが騎体の強化案を一つ出してくれたんですけど、騎体用魔力の供給と貯蔵……あ、魔力貯蔵用の魔導具、そっちもあったなぁ」


「ひ、ひぃぃ……」



 あーあ。


 とうとうアールさんが、増える仕事量に怯え始めたよ。



「おい藍華、どうすんだよこの状況」


「はぁ……こういう時は、一度に出来るだけたくさんタスクを挙げて、優先順位通りに片付けるのが一番いいんだけどね。アールさんにとっては、どれも優先度最大なんだと思うわ。多分……」



 それ知ってて話振るとか、お前は鬼か?


 っつっても、オレだって一個増やしたけどな……。


 あ、救いの手になるか分からないけど、フィナ達とルーナの相手してたエルさんが戻ってきたか。



「あらあなた、一体どうしたのかしら?」


「あぁ、エル! た、助けておくれっ!」


「あらあらまぁまぁ、本当にどうしたの?」



 うーん、課題とか問題とか色々とふっかけたオレが言う筋合いじゃないかもしれないけど、大丈夫なのか?



「あの、ユージさん。取り乱してしまってごめんなさい……」


「ごめんね、ユージ君……」


「すみませんでした、ユージさん……」


「お待たせ致しました、ユージ殿」


「おう、こっちはそこそこ話し合い進めてるけど課題も多いし、途中参加でも大歓迎だ。藍華、記録を表示してみんなで共有しといてくれ。ハウザーさん達は、ホントお疲れ様」



 流石に、気軽な考えで気にするなとかっては言えねぇし、こういうのはサッと流して話題を変えた方がいいはずだ。


 それに考える人数が増えれば、その分もっといい案が出るだろうし、そういう意味じゃホントに大歓迎だからな。



「これもまた使用人の役目ですので、苦労というほどではありません。ところでユージ殿、旦那様が何やらお困りのご様子ですが?」


「うっ……それ突っ込まれると、弱いなぁ。実はさ、やる事多いのに人手不足が深刻なんだ」


「ふぅむ……では、まだ全てをお話したという訳ではありませんね?」



 ん?


 はて、何か忘れてる事ってあったっけか?



「掃討作戦以前より、ユージ殿は様々な事柄を抱えていますから仕方ありませんが、ウィンズビル伯爵家への協力要請は、旦那様にしか出来ないお話ですよ」


「……そうかっ、それ忘れてたっ!」


「えっ? ウ、ウィンズビル家だって?」



 あっ、アールさんが早速復活した。



「そうそう、ウィンズビル伯爵家とラクスター家は仲がいいって聞いたんで、何とか協力してもらえないかなぁー、と……」



 この場でいきなり、アールさん達ラクスター侯爵家のご先祖様の正体とか、ウィンズビル伯爵家との血縁関係について話すのは、流石に情報量過多でアールさんがぶっ倒れそうだし、遠回しに聞くしかねぇけど、さて返答は――


「おぉっ! そうか、その手があったんだっ!!」


「まぁ、あなたったら。相手方への根回しもしない内に喜ぶのは、早過ぎるんじゃないかしら?」


――う~ん、やっぱ貴族とかの地位が土台になってる繋がりとか付き合いってのは、サッと済ませられる話じゃないのか。



 けど、完全にこっちの都合だけどウィンズビル家を巻き込むのは確定してるし、上手いこと協力関係をもぎ取ってほしいよなぁ。


 んー……何かいい手土産、こっちで用意しとくか?


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