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レギオンマンティス掃討作戦 2


 みんなから離れて、救援を求める伝令光弾の上がった辺りまで、短時間だけど全力で走ってきても、今のところ騎体に不調な様子はない。


 んで、トライデントリザードと戦った時よりかなり速かったから、確実に救援には間に合ったと思う。



(【探索】……レギオンマンティスの群れで間違いないなっ!)



 さっき探索魔法使って調べた時と今と、魔法で脳内に表示される光点の動き方が同じだ!


 よっしゃ、さっき戦ってたとこからあんまり離れてないのがありがたいぜっ!


 これなら、しばらくこの群れ相手に上手く粘れば、その内エリナと藍華達が必ず駆け付けてきてくれるはずだ。


 そして多分、群れの少し前を走ってる警戒対象を表す黄色の光点三つが、伝令光弾を使った人達なんだろうけど、なんで偵察役を放り出してこんなに近付いたのか、理由がよく分からねぇな。



(【遠視】……いたっ、あれが女王かっ! 改めてしっかり見ると、群れのボスだけにかなりデケぇ!! でも追いかける動きは変わらないのに、巡回騎馬隊との距離が少しずつ詰まってるって事は、そろそろ馬が限界なのか……【遠話】)


『くっ! こんな平原じゃ、どこかに隠れてやり過ごす事も出来んっ!』


『北方で派手に戦闘中の味方にはっ、伝令光弾が伝わったはずですがっ、このままでは馬がっ……』


『向こうだって街を守ってるんだっ! 我々が泣き言を言うわけにはいかんぞっ!』


『泣き言じゃなくて事実ですよっ! 俺達三人と馬三頭なんて、あの群れとあんなでっかい女王を誘き寄せる餌にもなりませんっ! だからこんなに近付いても、こいつら進路を変える素振りも見せないじゃないですかっ!』



 そうか、自分達を囮に群れを街から離す為に誘導しようとして、それが上手くいってないんだな。


 よし、さっさと助けよう!



『魔獣の群れを誘導中の巡回騎馬隊、落ち着いてよく聞いてくれ』


『だっ、誰だっ!?』


『おい見ろっ! あそこだっ!』


紋繰騎(クレストレース) が一騎だけ……いやっ、あの蒼い騎体はっ!』


『英雄騎だっ!』



 あぁそうか、この騎体って乗り手だった 騎装士(スキナー) のアルゴーさんとマーレさんの二人も含めて有名だから、見かけただけでも大騒ぎになるんだな。



『あれが本物のアルゴーレ! 動いてるの初めて見ましたっ! あぁ、格好いいなぁっ!』


『そうだろそうだろっ! たった一騎だけかって思ったけど、それがアルゴーレなら話は別だ!』


『俺っ、物語で英雄に助けられるお姫様の気持ち、今ならよく分かりますっ! こんなの惚れるしかないですよぉ!』



 おいこらあんた達、ついさっきどころか今だって必死で群れから逃げてるってのに、こっち見ただけで随分とまぁ余裕が出てきたな。


 っつっても、絶望感バリバリな相手に苦労して話しかけるより、まだマシかもしれねぇけどさ。



『三人とも、これからオレが女王目掛けて魔法攻撃するから、それを合図に群れの進路から外れて、大急ぎで離れてくれ』


『りょっ、了解! ……アルゴー様、でいいんですよね?』



 そうだよな、あの二人を知ってる人なら、マーレさんが女の人だってのも知ってるだろうし、そうなると後は男の声ってとこから消去法で、アルゴーさんだと思うよな。


 でも期待を裏切るようで悪いけど、オレはアルゴーさん達みたいな、英雄じゃねぇんだ。



『いや違う。オレはユージ・ヒューガ、訳ありで侯爵様からこのアルゴーレを借りてる、ただの旅人だ』


『なんだってっ!?』


『そんな事より、魔法攻撃始めるぞっ。……三、二、一……【雷槍】っ!』



 走ってる女王の巨体、その目の前にいるレギオンマンティスの一体に狙いを定めて放った、雷属性魔法で構成された槍が瞬く間に飛び込んで、魔獣を地面に縫い止める。


 魔法の効果が切れるまで少しかかるから、接触したくないなら強引にでもその場で急停止するしか、選択肢はないはずだ。



 そしてその隙にもう一撃っ!



『【雷槍】っ!』



 今度は女王への直撃狙い、しかもさっきの戦いみたいなヘッドショットじゃねぇ。


 そんだけでっかい図体してるんだし、胴体に食らったんなら少しくらい、ダメージ入るだろっ!



 ……よしっ、きちんと命中したし、予想以上に効果もはっきり出てる!


 右側の鎌二つが痺れてるのか、変な動きになった!



 にしても、 蟷螂(カマキリ) の姿した魔獣のはずなのに、鎌状の足だけでも全部で四本、更にアゴにも追加の二本で合計六本も鎌持ってるなんて、丸っきり怪獣とか化け物みたいなもんだな。


 さてと、こっちの指示通りにあの三人も離れてくれたし、女王につられて群れ全体の足も完全に止まった。



 ……ふん、こいつらやっぱなんか中途半端に知恵持ってるらしい。


 こっちが軽く 魔法戦杖(バトルスタッフ) 向けただけで、女王の前に他の個体が盾役みたいに出てきやがった。



 けどな、この間合いでその動きは悪手だぜ!



『おらっ、お代わりだっ……【雷槍】っ!』



 さっきは肩まで持ち上げたとこから撃ち下ろしたけど、今度は腕ぶら下げて腰辺りまで低くしたとこから、ほぼ水平にぶち込んでやるっ!


 こんな撃ち方なんて、例えば火薬で発射する武器だったら、まともに飛ばないし奇跡でも起きなきゃ絶対に当たらないんだろうけどな、反動ゼロで撃ちっ放しが出来る魔法ならかなり無理した姿勢だって、狙いがきっちり定まってりゃ真っ直ぐ飛ぶぞ。



 ほれ、女王の守りを固める為に集まっちまったから、直撃した一体だけじゃなく、余波で三体も麻痺しちまったな、ざまぁみろってんだ!


 お前らがもっと知恵持ってたなら、こっちが一騎だけだって分かった瞬間から、狙いを定められないよう素早くジグザグに動いて距離詰めて、数で囲んで袋叩きにすればよかったんだよ。


 まぁそれだって来るって分かってたら、近い奴から順番に各個撃破してたけどな。



 ただなぁ、群れ全体と女王はこの場に釘付け出来たけど、こっちだって余裕かませるほど手札が多いわけじゃねぇ。


 さっきの戦いでも使ったし、今だって三発も撃ったから、そろそろ魔石の魔力残量がヤバい。


 んで、手持ち一つの飛び道具の残弾数がはっきり分からないから、今すぐ白兵戦に持ち込むって切り替えのタイミングが難しい。


 もしここで、残りの個体全部を盾にして女王単独で逃げに徹したら、オレ一人じゃまず間違いなく取り逃がしちまうからな。


 こうなるって最初から分かってりゃ、騎体用の魔晶から直接魔力供給出来るように改良したんだけど、今さら無い物ねだりしたってどうにもならないし、この辺の不便さもまた今後の課題メモに追加だ。


 さてと、上手く足止めは成功して、少し群れの数も減らせたし、女王も手負いに出来た。



 けど、このお互い距離取っての睨み合いな状況、ホントどうすっかな。


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