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幕間 その5 レギオンマンティス掃討作戦 初撃

このお話は、後衛役の取りまとめを務める、藍華視点でお送りします。


『いいかエリナ、オレ達の役割をもう一度確認するぞ』


『はいっ!』


『他のみんなが魔法攻撃してる間に、オレとエリナは女王に向かって突撃する。ただし、完全に囲まれないように深追いはしないで、常に群れ全体と女王本体にプレッシャーを与え続けるんだ』


『了解しましたっ!』



 ラクスター侯爵夫妻の率いる紋繰騎隊から先行してしばらく後、ガルバから偵察に出ていた巡回騎馬隊と接触したから街道を離れて、やや領都方面寄りに向かいながら南下していると、ゆう君が使ってる探索魔法にとうとう、レギオンマンティスの群れの一部を捉えた。


 そして今、群れの進行方向に対して斜め前の辺りに陣取って準備を整えた私達は、打ち合わせの通りに攻撃を始める。



『それじゃみんな、これから周囲に合図送ったら交戦開始だ。フィラードさん、合図よろしくっ』


「了解しました! ……【伝令光弾】……発射!」



 最初にやる事は、フィラードさんのような伝令役の兵士が手順に沿って打ち出す、光魔法。


 攻撃用の威力なんて全然無い、けど長い年月をかけて連絡専用に改良されてきた魔法だと聞いた。


 今打ち出したのは、魔獣の発見と交戦開始の意味を持つ、特徴的な点滅を繰り返す色違いの二つの光弾。


 空高く打ち上げられたこの光弾を見て、周囲にいる味方の部隊や旅人に狩人とか冒険者は、自分達の行動を決めるんだそうだ。



 思えばこの光魔法もそうだし、各巡回騎馬隊の動向から群れの予想進路を推定したり、そこから攻めるポジション候補を複数選定したりと、フィラードさんはこれまでの役職経験を活かして、私達を細やかにサポートしてくれる、とてもありがたい存在よね。


 領都駐騎所でのダイレクトリンク会話中に、ついでなんて言ってオマケ扱いして、ごめんなさい。



 ……さてと、それじゃあ罪滅ぼしって言っちゃうのもなんだけど、ゆう君とエリナちゃんが群れに向かって突っ込む前に、私も自分の役割の一つを果たすとしましょうか!


 エンペリオンコアの貯蔵魔力はほどほどに、領都出発直後からゴリゴリ魔晶を削りまくって貯めた分はごっそりと、二つの魔力を合わせて練って。


 私が繰り出す初撃は、昔必死になって勉強して覚えた、人間が扱える分類では最大の範囲と威力を誇る、大規模攻撃用の雷属性魔法。


 それを発動させる魔法陣を展開したら、後は練り上げた魔力を全部注いで、命令言を唱えるだけ。



「まずは一当ていくわよっ! ……【雷閃滅殺圏(らいせんめっさつけん)】……発射ぁっ!」



 高密度に圧縮されて球状に纏まった雷属性の魔法は、あちこちから放電や空気の爆ぜる音を撒き散らしながら、パンッと弾き出されるように急加速して、レギオンマンティスの群れ目掛けて飛んで行く。


 あいつらは火や雷の属性魔法に弱いから、これ一発だけでもそこそこの数を倒せるだろうし、直撃しなくても追加効果でしばらくは麻痺して動けなくなるはずよ。



『……おいおい、これの一体どこが人間の扱える分類の魔法なんだよ』


「えっ? 必要な魔力さえかき集めれば、こんなの誰でも使えるわよ?」



 実行式はそう難しくないし、注ぎ込む魔力の量に威力は左右されるけど、発動に必要な最低魔力量はそう多くないもの。


 とは言っても、魔法だから撃った反動は無いけど、気分はまるでロボット物とか戦争物のアニメやゲームに出てくる、必殺攻撃を放つ超兵器ね!


 だって、私が放った特大の雷球が群れに接触した瞬間から、直撃したり至近距離で強烈な余波を受けたレギオンマンティスがポンポンと次々に弾け飛んで、魔法が通った後に一直線の太い道が出来上がっちゃったんだもの。



 こんな優越感に浸るのも、たまにならいいものだと思うし、それが大勢の人達を守る為の戦いなら尚更だわ。


 でも無双系ゲームで味わえるような、山ほどいる敵を一掃する爽快感なんてリアルじゃ中々堪能出来ないし、それを目の前で見せられたゆう君が呆れるのも、ちょっとは仕方ないかしら。



 それはさておき、斜め上から撃ち下ろす形で発射したから、そろそろ地面に着弾するはずね。


 ……うんうんいいわよっ、狙い通りっ!


 着弾点から接地面に沿ってやや楕円状に広がった魔法が、かなり広範囲の敵を巻き込んで派手に炸裂したおかげで、討伐数も麻痺した個体も相当増えたわねっ!



「さぁ、ゆう君にエリナちゃんっ! 今度は二人の出番よっ! 私達が援護するから、思いっきり突撃しちゃってっ!!」


『あいよっ! んじゃエリナっ、打ち合わせ通りに行くぜっ!』


『了解っ!』



 いやぁー、やっぱりロボットっていいわねぇっ!


 日の光を受けて蒼く輝くゆう君専用騎のアルゴーレも、ゴロンゴさんが造った特注騎だって言ってたエリナちゃんの騎体も、掛け声を合図にして群れに突撃するその後ろ姿は、勇ましいなんて単純な言葉じゃ言い表せないほど、カッコいいわぁ!



「はっ、速いっ! あれが本当に、普段見かける 紋繰騎(クレストレース) と同じ物とは、到底思えません!」


「それは違うよ。今ボク達が見てるのはね、いわば紋繰騎の未来の一部なんだ」


「み、未来の一部、ですか?」


「うん、だってあの二騎はどっちも、これまでの 紋繰騎(クレストレース) の性能を確実に上回る、そんな改良を施した騎体だからね。しかもこの改良だって、まだまだ試作の段階なんだよ」


「なんとっ! あれほどの性能を持つ騎体が、まだ試作の段階とはっ!」



 あぁっ、本当にいいわねぇっ!



 こういう考えは不謹慎だって言われそうだけど、突如訪れた未曾有の危機に立ち向かう為に、出来立てホヤホヤの試作騎を戦場に持ち込んで、なし崩しの実戦試験で圧倒的戦闘力を魅せるなんてっ!



 熱いロマンでご飯が何杯だって進むわっ!



「アイカさんっ、そろそろユージさん達が群れに接触しますっ! 私達も援護しましょうっ!」



 おっとと、あまりのシチュエーションに場酔いして、役割その二を忘れちゃうところだったわ。



「了解よっ、アリスちゃんっ! それじゃ早速、“ 打撃特急ストライクエクスプレス ”モード、起動っ!」



 そうそう、試験って言えばこっちのスライムだって、運用については同じよね。



 騎体を降ろして身軽になった大型運搬台車に、 紋繰騎(クレストレース) 用の 魔法戦杖(バトルスタッフ) と、それを扱う砲手役の人員を複数乗せて、エアクッションモードの速度と機動力を活かした戦術、その名も打撃特急モード。


 列車には見立てたけどたったの二両編成で、敵の攻撃から身を守る頑丈な装甲だって無いから、装甲列車だなんて口が裂けても言えないけどね。


 そんじょそこらの陸上型魔獣なんて軽くぶっち切るくらいの速度と、それを活かした決して詰められない間合いこそ、このモードが誇る絶対的な装甲よ!



 さぁ、ゆう君にエリナちゃん。


 私達がこれから敵に絶え間なく叩き込む、遠距離攻撃魔法全九門が貴方達の背中を必ず守るわ。



 だから後ろは一切気にしないで、思う存分暴れ回ってやりなさいっ!


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