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箱入り娘の仲間入り


[ねぇ、一つ私から質問していいかしら?]


[あぁ、いいぜ]


[貴方は、帝国公用語を知らないはずなのに、どうしてさっきはあいつと普通に言葉が通じていたの?]


[あーそれな、多分だけどこの身体が特別製だからだと思う]


[それって、どういう事?]



 そんな些細な質問を切欠に、オレは自分がどうしてこの世界に来たのかを語って、ついでにオレの趣味と、今やろうとしている事なんかも纏めてぶち撒けた。



 そしたら――


[うっそ、ゆう君ってロボット好きなのっ!?]


[ゆ、ゆう君って……まぁ、そうだけど]


[あのっ! 厚かましいお願いなんだけどねっ、私も仲間に加えてくれないかしらっ!]


[えっ?]


[私がエンペリオンやセンチネリオンを造りたかったのって、ロボットが大好きだからなのよ!]


――ま、まさかの同じ畑に生息する 趣味人フリークス だった。



 さっきまであんなにネガティブ思考して、下手すりゃ死のうとまでしてたくせに、すっげぇ変わりようだ。


 しかも、サラッと自分が発展させた国とか文明を利用して、趣味を満喫するつもりだったらしい。


 ある意味こいつは、ヤバい奴かもしれねぇ。



「ユージ殿、何やら魔導具の反応が妙な様子ですが、問題はありませんか?」


「えーとさ、色々と細かく話したいんだけどまず最初に言っとくと、この魔導具にはさっき言った過去の帝国の皇帝、その魂が入ってるんだ」


「なんと……」


「んでどうも、自分からここに入ったわけじゃなさそうなのと、オレと同じような趣味を持ってるらしいのが分かったよ」


「ははは、なるほど、それでこのように明るく振る舞い始めた、という事ですな」



 あーうん、普段のオレが紋繰騎に関わってる時にどんな様子なのか、その反応で良く判った。



「そうなんだよ。それで紋繰騎(クレストレース)について話したら、仲間に加えてほしいんだってさ」


「そうですか……でもこのままでは、同じ国の言葉を話せるユージさんとしか対話出来ないという点が、少々不便ですね」


「うん、それはオレもそう思うよ」



 さて、それをどうやって克服するか――


『それなら簡単よ』


[えっ、これ誰の声なのっ!?]


[は? もしかして、アルフェの声が聞こえるのか?]


[アルフェって、ひょっとして女神様ぁ!?]


『はぁい、はじめましてっ。私は女神、名前はアルフェ、よろしくねっ』


――なんでアルフェと会話出来るのかをすっ飛ばして、すっげぇ軽い挨拶しやがった。



『だってねぇ、今の藍華ちゃんは……あ、こっちの世界での名前、ミアちゃんの方がいいかしら?』


[えっと……その、藍華の方がいいです、アルフェ様……]


『私の事ならアルフェって呼び捨てでいいわよ。それでね、藍華ちゃんはもう半分くらい勇司君と同じ立場なんだし、お友達になりましょっ』



 あーあ、女神としての威厳、思いっきりぶん投げてるなぁ。


 まぁでも今はノリ的に、その方がいいか。



[だとさ、藍華が気にしねぇってんならオレもこう呼ぶけど、いいか?]


[うん、私もゆう君って呼ぶね。それから、そう言ってもらえて嬉しいけど、私から呼び捨てはちょっと難しいから、アルフェちゃんでもいい?]


『オッケオッケー! で、藍華ちゃんが現代の大陸共通語を話せるようにする方法なんだけど、勇司君からダウンロードしてあげればいいの』



 またこいつは、ファンタジー観粉砕するような言葉を……。



[そこまで肩入れするんなら、いっそ藍華の神体も用意してやれねぇか?]


[えぇっ! 流石にそこまでは迷惑じゃ……]


『んー、パパッとそうしてあげてもいいんだけど、そうすると後の説明とか面倒でしょうし、何よりそれ聞いてホイホイ欲しがる人間が増えて勇司君達が狙われるのは、ねぇ』



 そうか、今はアリス達みたいな優しい人達ばっか周りに居るけど、そこから噂が広まって欲とか下心丸出しな連中が集まってきたら、自由に生きられなくなるもんな。



[あーうん、それはちょっとな。考え無しに無理言って悪かった]


『いいのよ、藍華ちゃんの為にそう言ってあげたんだもの。でね、お手軽じゃない方法ならなんとかなるわよ』


[女神様からのお使いクエスト、って奴か]


『まあそんなところね。それでその方法だけど、コルド帝国が遺した遺跡からホムンクルスを一体、発掘してきて魂を移してあげれば、その後ちょちょいと神体にグレードアップ可能よ』


[帝国の所有していた施設なら、コアに当時のデータが残っているから、それと現在の地図を比較すればすぐに行けるわね]



 うーん、藍華も大分明るくなってきたし、これ言うのはなんだけど――


[前向きな勢いに水差すみたいで悪いけどさ、藍華はどうやってここから移動するつもりなんだ?]


[あぁそれね、素材と魔力さえ用意すれば、新しく魔導生物を創造出来るから問題ないわ]


[なにっ、魔導生物だって!?]


――おいおいちょっと待てよ、これまでエンペリオンコアって動かなかったはずじゃねぇのか?



『ねぇ勇司君、そろそろ周りが変に思ってるわよ』



 えっ、今って思考加速はされてないのか?



『それだと藍華ちゃんが話し合いに参加出来ないでしょ、だから日本語で喋ってる今の内にってアドバイスしてたの』



 相変わらずの至れり尽くせりだな、いつも助けてくれてありがとよ、アルフェ。



『勇司君にも私にも、お友達が増えるんだからこれくらいは気にしないで、それじゃまたねっ』



 おぅ、またな。



「今少し話してみたら、この魔導具はオレ達が喋ってる言葉を覚えられるみたいだし、これからそれを試してみるよ」


「ふむ……特に危険はないのでしたら、ユージ殿の思うようになさって構いませんよ」


「ありがと、ハウザーさん」



 よし、ちょっと違和感は持たれたけど、許可はすんなり出たな。



[んじゃ藍華、始めるぜ]


[うん、お願いね]



 どれどれ、まずはダイレクトリンクをもう一回やって、次は神体能力設定でダウンロードの項目を選択、大陸共通語と……あ、どうせなら紋繰騎に関しても今知ってる知識を渡しとこうっと。


 そしたら今度はコアの記憶領域にアクセスして、ダウンロード用パッケージ二つをそっと置いたら、これでミッションは終了だ。



「さて、調子はどうだ、藍華?」


「ん、アー、あー……うん、問題ないみたい」


「だな、オレが聞いてもちゃんと大陸共通語になってるのが分かるぜ」


「そう、なら良かったわ」



 それじゃこれからちょいと自己紹介と、諸々の説明やら疑問の解消をしてくか。


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