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魔導レーダーユニット 実装と初試験


「これでよし、本体は組み付け終わったよ!」


「おう、ワシも今終わったわい」



 翌日オレ達は、とうとう完成した魔導レーダーユニットを、フィナの使う騎体に取り付けた。



「いよいよ実騎試験ですね、少し緊張します」


「そうか? オレはルーナの腕前を信じてるぜ」


「それは私も同じですよ。ただ、この試験が無事に終わればこの先、 紋繰騎クレストレース の歴史は……」


「んなもん気にしとる暇があったら、さっさと 騎導きどう せんか」


「はっ、はいっ」



 紋繰騎の歴史、ねぇ……。


 それ言ったらそれこそ、これからどんどん色んな改良していくし、レーダーユニットの搭載はその中のたった一つなんだ、いちいち気にしてたら身がもたないだろ。



「ユージ、お前さんが仕上げをやるんだろ、楽しみにしとるからヘマするんじゃないぞ」


「仕上げっつっても、オレがやるのは調整と効果範囲の確認だけだぜ、それをどうやってヘマすりゃいいんだよ」


「それならほれ、上手くいくとこをはよ見せてくれぃ!」



 ったく、爺さんも実はかなり期待してるじゃねぇか。


 そんなに急かさなくっても、騎体と魔導具は逃げやしないっての。



「では、騎導します」



 おっと、そのままフィナが立ったら調整が出来ないし、さっさと肩に登ろう。



「こっちも準備完了だ、魔導レーダーユニット実騎試験、始めてくれ」


「了解っ、試験開始っ! ……動いてます、ちゃんと表示されました!」



 うん、あの後追加注文した“スイッチ式起動”も、きちんと使えてるみたいだな。


 探索するたびにわざわざ口頭で入力してたら、何かあって喋れなくなったり周囲の騒音で声が届かなくて起動出来ない、なんてトラブルが避けられないからって、プレゼントした懐中電灯の魔導具を参考にして試作させたかいがあったぜ。


 これで残るは範囲の調整と、最終確認だけだな!



「よしルーナ、探索範囲はどうだ?」


「んー、少し後ろ寄りになってる」


「それなら、こうして……」


「もう少し……はい止めてっ!」


「あいよっ!」



 よしよし、取り付け角度もいいぞっ!



 騎体の骨格にしっかり固定したら、角度の目安線を引けば――


「どうだっ?」


「うんっ、問題ないよっ!」


「おぉっ! これは、何と言えばいいのか……そう、凛々しい姿だ!」


「ほほぅ! 角付きになったらこう見えるのか、意匠としてもなかなか良いもんだわぃ!」


――うんうん、いいぞいいぞっ!



 隊長騎って言えば、やっぱ角付きだよなぁ!



 でも今の役割はレーダーアンテナだけだとして、いずれはもっと色んな機能を加えてやって、その内複合アンテナにしちまうのもいいな!


 さぁて、これでもう試験は最終確認だけだ!



「そんじゃオレも……【探索】」


「魔法と比べてみて、範囲と対象はどう?」


「フィナ、一つずつ対象を指差すから、色を読み上げてくれ」


「了解です。白、青、紫、黄、赤、白、青……」



 うん、周囲に居る敵に味方とか中立に魔獣まで、バッチリ全部探索出来てる!


 敵性対象はあのゴミ女とそのお供、んで警戒対象はそいつらを見張ってる衛兵さん達か、敵だからあいつらにゃ感謝なんてしないけど、見張りの人達はお疲れさんですってな。



「……よし、読み上げ止め、そっと立ち上がってくれ」



 今のところオレの魔法の範囲より狭いけど、立ち上がったらどうなるか……。



 おぉっ、探索範囲が広がった!



 魔力と電波の違いはあっても、発信源の高さで探知距離が広がる反応は、電波式のレーダーとあんまり変わらないのか、いい結果が出たな。


 ま、電波式レーダーとの違いって言えば、使い手の認識次第での敵味方識別とか、まだ見たこと無いけど魔物の反応とか、魔獣に動物なんかの生命体の反応を捕捉出来たり、ついでに建物や障害物を物ともしない透過性があるけどさ。


 その辺はもう、魔法だからって事で納得しとく。



「一歩も動かなければ、表示が切り替わる時の違和感も無いな、それじゃ騎体を止めてくれ」


「了解、ふぅ……試験成功ですねっ!」


「あぁ、お疲れフィナ」


「おめでとうございまー……」


「【拘束】」


「むきゅっ」



 おいこらアリスっ、オレの油断狙って後ろから抱き付こうとするの、止めろ!



 お前は気にしないのかもしれないけどな、あちこちムニュムニュ触れるしいい匂いもするから、健全男子にとっちゃ辛い生殺し状態になるんだぞ!


 それに、そういうの省いたとしても、騎体開けてあれこれ触ったら必ず汚れるんだ、作業服ならともかく普段着らしいけどドレスっぽい服だと、汚したら洗濯する人が大変だろうが。


 こいつ、昨日からやけにベタベタくっ付きたがるようになったけど、あの 装身具アクセサリー の事はもうお礼言われたんだし、仲良くしたいっつっても限度を考えてくれよな。



「はーいお嬢様ー、回収しますねー」


「お疲れ、ミトリエ」


「んしょっと……試験成功おめでとっ、ユージ」



 おー、これまた見事なファイアーマンズキャリーだ、ミトリエの体格じゃおんぶ以外だと担ぐしかないんだろうけど、 常に紋纏衣クレスキン 着てるって知らなきゃ、二人の身長差考えると違和感バリバリだな。


 そういう訓練も一応は受けてるのか?



「ありがとよ。これで明日、領都……だっけ、そこまでの移動で実働試験も終われば、魔導具としては完成品って言えるぜ」


「あ、それはちょっと違います。領都手前の街の近くに、私が普段住んでいる所がありまして、そちらへ一度立ち寄って例の魔導具を確認してから、お父様とお母様に会いにいくんですよ」



 あぁ、忘れちゃいなかったけど、先にそっちから片付けるつもりなのか。


 もうアリス達にゃ身バレしてるから、よっぽど危ないブツでもない限り近寄って調べるのは問題ないって言ったけど、ホント一体どんな魔導具で今どういう状態なんだろ。


 場合によっちゃ、見た瞬間に即破壊っていう最悪のパターンも考えてるけど、古代の魔導具ってかなり高度な技術で造られてるみたいだし、出来ればそれは避けたいけどさ。


 あ、そういやアリスからの魔導具調査の話って、ラクスター侯爵家からの依頼じゃなかったな。



「って事はだ、トリィは途中まで一緒だけどオレ達に先行して、ラクスター侯爵のとこに向かうのか?」


「はい、そうなります。ミトー、なんだか頭に血が昇ってきてまーす」


「はいはいお嬢様ー、お部屋に戻りますよー」


「えぇー、ここで降ろしてくれるんじゃないんですかー、助けてくださーいユージさーん」


「二人とも、気を付けて帰れよー」



 さてと、ちょっとグダグダしたけど、とにかくこれで魔導レーダーユニットの初試験は終わりだ!


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