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自力チュートリアル開始(不慣れ&トラブル付き)

自力チュートリアル……この作品も含まれます

 で、ノリで自力チュートリアルとか思ったけど、アルフェが言ってた神体ってのが気になるな。


 けど、普通の人間だと実現不可能な運動性や反射神経、なんてものは今すぐ比較出来る相手がいないし、感覚的には可変っぽいからとりあえず、しばらくはこのままでいいや。


 それよりもまず、どこか人が住んでる場所を目指して歩かないとなぁ。


 そしたら――


「よしっ……【探索】」


――おぉー、魔法って便利だなぁ。


 今の能力で使う魔法でも、結構広い範囲の情報が手に入ったし、近くに街道も見つけたからそっちに向かって歩いて、ついでに色々と解った事も整理するか。


 まず、国とか地域とかの名前は不明だけど、この辺りは街道沿いだから低い丘や森なんかはあっても、そこに魔獣や魔物はいないらしい。


どうも、誰かが割りとマメに退治してるおかげで、クリアリング済みエリアになってる。


 ただし、魔物はともかく魔獣は自由に移動するから、確実に安全ってわけじゃない、だから定期的な探索魔法は欠かせないし、それが出来ないなら索敵スキルが旅にゃ必須、だそうだ。


「なんか、自分の頭の中に他人のメモ帳が入ってるみたいな、そんな感じだな」


 魔法一つ使っただけで、必要な魔力量とか範囲の大まかな情報だけでなく、その役割とか意味も芋づる式に出てくるなんて、至れり尽くせりっつーかアルフェが過保護過ぎるっつーか……。


まぁ、もしかしたら魔法を覚えて使う過程で、誰でも必ず習う内容なのかもしれねぇけどな。



 そしてまた二つ、今度は魔物と魔獣についてだ。



 魔物ってのは、自然にある魔力と何らかの負の思念が混ざりあって生まれる存在で、こいつらは人間だけを狙うらしいから出る場所は限定的だし、そういうとこは避けるか、きちんと浄化してやれば問題はない。


 んで魔獣は、体内に必ず魔石を持ってる存在だけど、数が多いのと増える速度が速い以外は普通の獣と変わらない。


「お次は魔法と魔力と魔石っと、街道に出たな……はぁ、未舗装な道はともかく移動手段が馬と馬車とか、やっぱファンタジー世界だからか」


 小石がちょいちょい転がってる土剥き出しの道には、細いわだちに蹄鉄の跡が残ってる。


 古風な乗り物だから向かう先はすぐ割り出せるけど、人が住んでる場所が分かって喜べばいいのか、科学が無くて技術が未熟な世界なのを悲しめばいいのか、ってとこだ。


 土の具合からして、しばらく雨は降ってないみたいだし風も穏やかだから、この馬車がここを通り過ぎてからざっくり半日以内って感じかな。


「急いで追い付いて、乗せてもらえるかはともかく、一緒に人の住んでるとこまで行くのは、ありだな」


 なにせ、馬車の向かった先にゃ森があるし、魔獣はいなくても普通の獣はいるだろうから、人が多けりゃ獣避けくらいにはなるだろ。


 それに、今いる場所とか人が住んでるとこだとか、他にも色々話が聞けると助かるし、そうと決まりゃあ、さっそく神体能力のテストついでに、追いかけてみようか!


「ふっ、ほっ……はっ!ってうおぉぉぉっ!?」


 軽く準備運動してからダッシュしたけどっ、たった一歩であっさり20メートル以上跳ぶとか、もうダッシュじゃなくてジャンプだろっ!!



しかも地面に水平スレスレを生身でかっ飛ぶのって、思ってたより怖っ!



 とっ、とにかく着地だ着地ぃっ!



「おらぁっ!!」



 いよっしっ成功っ! ……って勢いのまんま走ってるけど、明らかに車並みのスピード出てるぞ!



 つか、こんな激しく動いてるのに、服とか靴は無事なのかっ!?



 馬車に追い付いたら全裸でしたとか、間違いなく変態認定されちまう……って、今度は探索魔法の範囲から外れそうだっ!!



「くっそ、次から次にめんどくせぇっ! ……【探索】ぅ!」



 よーしよし、上手いこと探索魔法はいけたな!



 えーと次は服と靴……強化魔法?



 なんか走り出しの時点で自動発動してたらしいけど、効果とか持続時間より気になる忠告が――


“魔法を単純に使うより、どれだけ使い方を工夫して活かせるかが、魔法使いの腕の見せ所”


――ひょっとして、今この瞬間もアルフェがリアルタイムサポートしてるのか?


 つっても結局なぁ、オレを助けてくれた全ての神様にゃ筒抜けなんだろうけど、覗き見されてるような気持ち悪さなんてのもねぇ、むしろ見守られてる気分なんだよな。



 あいつはオレの母ちゃんかっつの!



「まったくよ、後でママに叱られねぇように、上手いこと慣れなきゃなぁ……【探索】……なんだこれ?」


 三回目の魔法で範囲ギリギリ森のど真ん中辺りに、赤と黄色と黒の点が幾つも出やがった。



 赤は敵性対象、黄色は警戒対象、そして黒は……生命反応無し、ね。



 ざっと見る限り、馬が殺られて馬車は停止、黄色は馬車を守ってて、それを赤が取り囲んで狙ってる、しかも赤は黄色の倍以上いてかなり不利な状況、って感じか。



 そんじゃあいっちょ、ここは馬車の方を助けるとするか。



 相手が魔物か魔獣かは分からねぇけど、森の中で使っても安全そうな魔法の練習台にゃ丁度いいし、助太刀しとけば後で色々教えてもらえるかもしれねぇからな。


 さぁて、森ん中っつってもずっと街道突っ走ってるし、そろそろ見えてくる頃だけど――


「あ? なんだ、両方とも人間かよって、危ねぇっ! 【拘束】っ!!」


「がっ!!」


「うっ!?」


「……えっ、あっ!!」


――うっわぁギリッギリセーフッ!!


 遅れて気付いてビックリしてる黄色の反応出てた一人、スカート姿だし女の人だろうけど、後ろから男二人に弓矢で狙われてた!


 でもまぁ、これでどっちが悪者かはっきり判ったから、結果オーライだ。


「飛び入りだけど助太刀するぜっ!」


「感謝しますっ!」


「かたじけないっ!」


 おっ、もう一人の黄色反応は男の人、馬車の向こうにチラッと見えた頭は白髪、つまりこの悪者共は若い女の人を先に仕留めるつもりだったのか。


 亀の甲より年の功って言うし、何よりあっち側の方が敵の人数多いのに元気そうだから、多分こういう荒事の経験が豊富なんだろうな――


「大人舐めんなクソガキがぶぁっ!?」


「よってたかって人を襲うクズが、大人ヅラしてんじゃねぇよ」


――こっちだってよそ見してるわけじゃねぇのに、そんな大声あげて真正面から突っかかってきたら、足引っ掛けて顔面から地面にダイブさせるに決まってんだろ、こいつらアホか。


 まぁそれはともかく、これでまた悪者一匹退治したし、もうちょい有利になるな。


「凄い……鎧賊相手に無手であっさりと……」


 いやいや、がいぞくってのは知らねぇけど、むしろ普通の剣とか鈍器持ってる男相手に、ロングスカート姿で小振りのナイフだけで立ち向かって、まだ無傷なお姉さんの方が凄いからな。


「お姉さん、そのナイフ投げられるっ?」


「もちろんっ!」


「じゃあ即席だけどっ、誘導こっちでやるから連携よろしくっ!」


「はいっ!!」



 うおぉっ!!



 どっからそんだけナイフ出したんだよ!?



 えぇと合計八本、相手は六人……ってあっちの男の人、あっちゅう間に二人倒してるぅ!



 あーもう、んな事より今はっ――


「【強風】っ!」


――よしっ、上手いこと風にナイフ乗せて避けられねぇように誘導っと。


「ぐぁっ!」


「ぎゃー!」


「がぁっ!」


「うぐっ!」


「くっ……がはっ!」


「うおっ!?」


 わーぉ、男の人がまた一匹仕留めたよ、お年寄り最強伝説、って……あちゃ、ちと即席過ぎて誘導甘かったか、一匹だけかすり傷で避けやがった。


 しゃーねぇ、あいつはオレが倒すか。


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