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当選発表は本人の発送をもって代えさせて頂きます

どーもはじめまして。


書いてみたくなったので、ファンタジー世界でロボット物、始めました。


 主人公の勇司君が、自分好みの技術やその産物と出会い、それらを見て聞いて深く知った結果、どのように楽しんでキャッキャウフフしていくのか、のんびりとお付き合いください。

「ぃぃいよっしゃぁぁぁぁっ!!」


「うぉっ!?」


 おいおいなんだよ急に、驚かせやがって!!


「いやぁ~、来た来た来た来た来たぁ~~っ! 本っ当に君が来るまでドキドキしっぱなしだったけど、こうして会うと心底嬉しいわぁ!」


「あんた誰だ!? ここどこだ!?」


 ついさっきまでオレはホームの部屋で作業してたはずなのに、気がつきゃ目の前にいきなり叫ぶ変な女が居るし、周りは見渡す限り自然一杯で何一つ建物ねぇし、一体どうなってんだ!?


「私は女神、名はアルフェ、そしてここは私の世界、貴方はいわば転生……」


「はぁ、ごっこ遊びしたいならもっと相手を選べよ、オレは今忙しいから帰るぜ」



 ったく、何が私の世界だ、何が転生だ、宗教キメてて頭おかしい上に誘拐犯とか、救いようがねぇ。



 まぁ、救うどころか理解する気もねぇけどな。



 んな事より、ここからどうやってホームに帰るかだ、持たされてたスマホとか小遣いは手元にねぇし、場所の手がかりもないから歩くしかねぇ。


 さて、これからどうする――


『私をどう思うかは自由だけど、誘拐犯扱いだけは心外ね』


「はぁ!?」


――え、なんだこれっ!?


 ガバッと振り返ってみても、少し離れた女は一歩も動いてねぇし、オレに向かって何かしてるとか、変な道具使ってる様子もねぇ。



 なのにこいつ、オレの頭の中に直接――


『あ、某コンビニのチキンなんて注文しないから、気にしないでそのまま歩いていいわよ』


「んな事言われても、なぁ」


――ネタ振りした訳じゃねぇのに、ニッコリ笑ってそう返されたら、思わず力が抜けるっつの。


 つってもこいつがやったのって、テレパシーみたいな脳内会話するだけの超能力じゃねぇよな、思ってる事とか心が読める、読心術みたいな能力ならまぁ、百歩譲って地球にも居る……か?


 それはさておき、このままだと離れても延々脳内会話続けそうだし、色々聞くだけ聞いてみるか。


「なぁ、女神様よ」


『んもぅ、堅苦しいわねぇ。畏まったり警戒したりしないで、気軽にアルフェって呼んでよ』


 ニッコリ笑顔だったと思ったら、今度は不満そうな膨れっ面か……なんつーか、神様らしくねぇな。


 まぁ、そいつぁ今はいいや。


「分かった、そう呼ぶよ。んでな、アルフェ。オレをホームに帰してくれ」


『無理っ!』



 即答かよ。



 けど清々しいくらいのいい笑顔だし、ここまではっきり言われたら逆に腹も立たねぇな。


「アルフェは神様なのに、なんでオレを元の世界にゃ戻せないんだ?」


『それを説明するには、まず今の貴方の姿を見てもらうのが一番ね』



 今のオレの姿って、おぉっ!



 前触れ無しでいきなり空中にデカい鏡出すとか、神様ってのは何でもありか――


「なんだこりゃあっ!?」


――鏡の中オレよ、なんで頭にっつーか、おでこにこんなカッコよくて立派な角が生えてんだ!?



 あれっ、そういやこの角って見覚えあるな。



『どうかしら、その姿のままで地球に居て、まともに生きていけると思う?』


「あー、確かにそりゃ無理だわ。それと思い出したんだけど、この角オレのお宝じゃねーか」


 そう、今おでこから真っ直ぐ生えてるのは、必死に小遣い貯めてようやく買えた超高硬度ロングドリルだけど、扱い方が悪かったのか作業中にポッキリ折れて、今じゃ身体の一部になってる。


「さっき転生とか言ってたし、こんなの普通は生きてるはずねぇし、多分だけどアルフェが助けてくれたんだろ、ありがとな」


『どういたしましてって言いたいんだけど、助けたのは私だけじゃなくて全ての神々なの。そしてそれが、貴方が今この世界に居る理由の一つよ』



 そりゃどういうこった?



 まさか、異世界転生お約束の魔王だか竜王だかを倒せ、なんて無茶振りじゃ――


『え、もしかしてそういうバトルしたかったの? ……私の世界にも、過去に両方とも存在したけど今の時代にはいないし、困ったなぁ』


――昔はどっちも居たのかよ!?


「いやいや、つーかむしろ平和バンザイだからな、ってかひょっとしてこの世界って……」


『剣と魔法のファンタジー世界ね』


「チェンジだ」


『えっ?』


「チェンジ!!」



 ふざけんなよ!



 神様ならお見通しだろうから敢えて口にゃ出さねぇし、むしろ心読まれてるから、言葉に出来ねぇ思いをぶちまけるけどな!



 オレはなぁ、 ロボットが大好き なんだよ!!



 それなのに何が悲しくて科学もねぇ、工業技術も未熟かもしれねぇ、そしてロボットのロの字も一切期待出来ねぇ、そんなオレ的地獄に堕とされなきゃならねぇんだ!!


 何やらせたいのか知らねぇけど、いくら助けてもらった身でも我慢ならねぇ、だからはっきり言わせてもらうぜ!



 ファッキンファンタジーだ!!



『そっか、なら仕方ないわね。でも残念ねぇ、この世界にもあるのに、パワーアシスト……』


「えっ」


 そう聞いた瞬間、何でか記憶から一つのイメージが、何やら魔法を使ってるらしい、パワーアシストの技術が浮かんできた。


『パワードスーツも……』


「なにっ!?」


 そしてまた一つ、大体高さ4~5メートルくらいの西洋鎧と、それに乗り込むパイロットらしき誰かのイメージ。


『もっと大きい、人型ロボットもあるのになぁ』


「マジっすか!」


 とどめはズラッと並んだ七体の、ちょっとしたビルよりデカいロボットのイメージ。



 そうか、神様ならオレの好みだって丸っとお見通しだから、わざとこうしたのか。



「くっ……殺し文句にあっさりやられるみたいでアレだけど、アルフェの願い事はなんだよ?」


『何もないわよ』


「は?」


『貴方を助けたのは、世界の壁を貫くほどの強い思念に私達みんなが興味を惹かれたからよ。そして、そんな貴方が自由に生きたら何が起きるかを知りたいの。だから、強いて言うなら願い事は好き勝手に楽しく生き抜いて、ってとこね』


「えぇぇぇ~……」


 ロボットが無い世界じゃなかったのはいいけど、暇潰しのタネ扱いもなんだかなぁ。


 まぁ、使命とか役目なんかに縛られるよりは、まだマシなんだろうけどな。


『それにしてもチェンジしなくて良かったわ、次の大抽選会で決まる行き先にロボットがあるなんて保証、何一つないんだもの』


「は? 大抽選会?」


『そ、大抽選会。なにせ全ての神々が手を差し伸べて助けたんだもの、平和的かつ公平で公正な手段で行き先を決めるしかないわ』


「オレに選ばせるってのは?」


『ロボットのある世界限定にしても、一通り知るまで何万年もかかるから無理よ』



 うわぁ、下手なガチャより当たらねぇっつーか、むしろそれどの神様も確率ほぼゼロだろ。



 しかも、当選発表は本人の発送をもって代えさせて頂きます方式とか、そりゃ出会い頭にあんだけ喜ぶのも分かるし、そう聞いたら現金な感じだけど、この世界に来て良かったって心底思う。


『という訳で、好き勝手に楽しく自由に生き抜いてほしいし、あげるヒントはそのイメージだけ、後は頑張って自力で探してね』


「おっ、おいちょっと待て!」


 オレが声かけても止まらずに、アルフェはそのままスーッと透明になって消えていく。


『大丈夫よ、大抵の問題に対処出来るように神体調整してあるから』


 最後にそれだけ言い残して、あっさりアルフェは見えなくなっちまった。


「せめて最寄りの街くらい、教えてけよぅ……」


 はぁ……しゃーねぇ、人が住んでるとこに辿り着くまでに、自力チュートリアルでもするか。



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