夜勤者ウル
「よくやるな~。もう帰ったらどうだ」
「明日休みなんだよ」
「ふーん」
俺は夜勤者であるウルとともに交番に詰めて報告書を書いていた。夕方の獣人二人の喧嘩の報告書が、あともう少しで書き終わるのだ。
ウルはこの交番に勤務する者としては唯一の女性で、黒い狼の獣人である。行動や言葉遣い、どれをとっても品がないが、姉御肌の頼れる存在である。
「で、なんの報告書なんだ」
「ケンカ」
「いいな、俺もやりたかったぜ。どっかでケンカしてねえかな」
やけに好戦的だが、ウルは先ほどまで一緒にいたワーオン達三人と戦っても無傷で勝てるぐらい腕っぷしの強い女傑だ。
これはワーオン達三人が、狩猟犬など狩猟○○(ハンター○○)といわれるのに対して、ウルは戦闘狼といわれる上位互換の種族だからなのだという。簡単に言えば戦闘民族と狩猟民族の違いのようだが、そこにはかなり高い壁があるのだそうだ。
ちなみに、夜間の交番はウル一人だけになるが、報告書などは本部にいる夜勤者が作成することになっている。犯人を本部に連行後、担当者がウルから話を聞いて報告書を書くという形になっているのだ。
「ふー。終わった」
書き終えた書類は交番の書類入れに入れてあれば明日の日勤者が本部に提出してくれる。
「それじゃあ帰る」
「なんだ。帰って寝るのか」
「当たり前だろう」
俺はそういいながら小さくあくびをして家へと帰る。どうやらウルはどちらかというと夜行性でそういった時間で働けるうえ夜勤手当がつくので結構いい仕事なのだという。
だが俺は普通の人間で夜行性ではない。あとはまっすぐ帰ってあとは体を休めるだけだ。
どうでもいい話ですが、なぜか「バトル・ウルフ」という部分を気に入ってしまい半ば無理やり出しています。