プロローグ
最初、連載の形で書いている途中に無理かなと思って短編にしたのですが、結局短編という形でもまとまらず、また連載という形で書き上げました。そういった迷走から読みにくかったりするかもしれませんが、よろしければどうかお付き合いください。
とある大陸の東の端、そこには変わった街がある。大陸のどの民族とも違い、特徴的な文化をもち、不思議な工芸品を作り出す民族たちの街である。そして、彼らは自らを「日本人」、自分たちの住む街を「異世界の日本人街」とよんで暮らしていた。
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昼を告げるラッパが響くと、俺は勤務日誌を開く。
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平成31年7月1日 月曜日
・勤務者
斎藤勇気
朝風大和
ワーオン(犬)
キャッド(猫)
フォッグス(狐)
・午前取り扱い 筆記者 朝風
暴行1件
・午後取り扱い 筆記者
※事件事故は報告書に詳細に記載すること。
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俺は暴行事件1件の下に「その他異常なし」と書き加えた。結局暴行事件以降、何も事件は起こらなかった。それにその暴行事件も冒険者同士であったことから当事者同士で解決してすでに街を出ているし、報告書も書き終わっている。
ふと外を見れば、朝は大通りがあれほど混雑していたにも関わらず今は閑散としている。少ないが出歩いている人間たちをみれば金属や革でできた鎧を着て、剣や槍など様々な武器を持っている。鎧や武器の組み合わせは実に様々なので、見ていても飽きることがない。