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2 それぞれの選挙運動

 その1   織田くん


「秀吉、家康、分かっているだろうな」

「うん、織田くん、君に投票するよ。安心して」

「僕も」

「そんなの当たり前だ。お濃は俺に入れてくれるから四票。お前ら、このクラスで他に友達はいないのか。寧々と淀君はどうだ。秀吉、お前、幼さ馴染みだろう」

「ちっちゃい時は仲良く遊んでくれていたんだけどね。中学生になった頃から、あまり相手にしてくれなくなったな」


無理もないな。織田くんは思った。

こいつ外見冴えないものな。やたら派手な私服を着てるけど、全然似合ってない。

家康は・・・だめだな。ただのデブだ。


「ちぇ、役にたたないなあ。票集め、がんばってくれよ。なあ秀吉」

「うん、がんばるよ。」

「家康も頼むぞ」


 織田くんは、言うだけ言うと、背中を向けて去っていった。


豊臣くんは、今も織田くんの言いなりだな。


 家康くんは思った。

 織田くん、どこかに転校してくれないかな。そしたら、学校も少しは楽しくなるのに。

 



 その2 ナポちゃん


「ジョセフィーヌ」


「なあにナポちゃん」


「お金を貸してくれ」


「あら、またなの。今度は何に使うの」


「選挙資金だ。クラスの奴等を、別々に誘って食事を奢る。各個撃破だ」


「買収するのね」


「そうだ」


「ボーイフレンドが委員長、悪くないわね。協力するわ」


「ありがとう」


だが、ジョセフィーヌの心は、今はナポレオンから離れていた。

新しいクラスで、ジョセフィーヌは一目惚れしてしまった。

相手は、光源氏。


こんなにハンサムな男の子がいたなんて。ジョセフィーヌの心はときめいた。

ナポちゃんには罪滅ぼし。お金くらい貸してあげよう。戻ってはこないだろうけど。


でも光くんは、A組の藤壺ちゃんや、紫の上ちゃんと噂がある。

このB組でも、紫式部ちゃんととても仲がいい。モテモテだ。


「で、先ず誰を誘うの」


「ベートーベンだ」


「へえ、あの人、付き合い悪いでしょう」


「でもあいつ、曲作るの上手いんだよね。ナポレオンを讃える歌を作ってもらおう、と思っている」



 その3 シコちゃん


「孔明」


「はい、何でしょうかね。始皇帝陛下くん」


「お前の票読みはどうだ」


「難しいな」


「だからあの時、一週間後に選挙、と言ったのだな」


「ああ。あの場で選挙となると勝つのは難しい、と思った」


「で、今の状況は?」


「孔子、老子は僕らの近所に住んでいるからね。何とか取り込みたいけど、老子は、選挙にはまるで興味がないし、孔子は、みんなの演説を聞いてから判断すると言っている」


「あいつは相変わらずかたいな。面倒くさい奴だ。」


「それに、陛下くんは、前にあいつに喧嘩をふっかけて、あいつが読んでいた本を破ったことがあったろう。それに穴に突き落としたこともあったし」


「ああ、あいつ何か腹が立つんだよな。穴に落としたとき、そのまま埋めてやればよかった」


「まあ、そんな過激なことを言わずに」


孔明くんは思った。

自分は表に立ちたくはない。目立つ奴の陰で、その参謀役をやるというのが性にあっている。

そう思って、始皇帝に付いてきた。

こいつの行動力は凄いと思う。でも考え方が乱暴すぎる。

別の奴に乗り換えたほうがいいかもしれないな。


「則天武后はどうなんだ。やっぱり立候補するのか」


「ああ、女の子を委員長にしよう、と言って女子票をとりまとめようとしている。クラスの半分は女子だからね。あなどれないな」


「あいつは権力欲が強いからなあ」



 その4 イエス様


「ジャンヌ」


「はい、何でしょう。イエス様」


「ねえジャンヌ。クラスメートなんだから、その様というのはやめてよ」


「でも私は、あなたのことを尊敬していますから」


「やめてほしいんだけどな。ねえジャンヌ、僕は今度の委員長選挙に立候補しようと思う。」


「ついに、ついに、布教を始めるのですね。イエス様」


「ああ、みんなが神の栄光を讃え。愛と喜びにみち溢れる。僕はそんな世の中になってほしいと思っている。先ずはクラスからだ」


背中から笑い声が聞こえてきた。

ふたりが振り返ると、ニーチェがいた。


「あい変わらず、くだらないことを言っているなイエス。

神だと。愛と喜びだと。

そんなのはな、心の弱い奴が言うことだ。

人間は強くなければならない。なあイエス、神などというものを持ち出すな。

この世界が全てなんだ」



 その5  番外 複雑な関係の三人


「なあ、大海人」


「なんだい。とりあえず双子の兄の、中大兄にいさん」


「額田王とのデートなんだぞ。なんでお前が付いてくるんだ」


「何言ってるんだ。額田王は元々は僕の彼女じゃないか。兄さんが取ったんだろう。」


「お前しつこいな。諦めが悪いぞ」


「ひとの彼女だと思うと余計恋しくなっちゃうんだよね」


大海人は、額田王に向かって、袖をふった。


額田王は、微笑えんだ。



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