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第八章 発覚



「篝……?」

 一緒に仕事に連れて行こうと家の中を探したが、どこにも見当たらない。

 いくつかの小型魔物が持ち出されていることに気づき、瑚太朗はため息をついた。

(あいつ、また森に……)

 危ないから一人で行くなとあれほど言ったのに。

 篝ならば使役する魔物で攻撃から身を守れるが。

 それでも目を離すわけにはいかなかった。

 最近、攻撃型魔物が多く出没する。

 普通に考えてもそれはあり得ない。

 以前のガイアとガーディアンの闘争はもうないのだ。凶暴な魔物を作る必要なんて……。

「そうだよ……」

 今さら気づいた。

 作るわけがないのだ。

 なのに増えている。

 これと同じ現象を、瑚太朗は以前一度見ていた。

 現世側が滅びたとき。

 次から次へと凶暴な攻撃型魔物が現れた。

 てっきり高砂がすべて呼び出しているのかと思っていた。

 違う。あの男は自身を強化してはいたが、あれほど多くの魔物を呼べるほどの力はない。

 魔物はどうやって現れていた?

 ――空間の亀裂。

 そこから溢れ出ていた。

 召喚されていたのか?

 ……違う。

 あれは召喚じゃなかった。むしろ生まれていたような。

(生まれていた……?)

 魔物が魔物を……生んでいた?

 だが魔物は人間が自分の命を使って生み出すものだ。

 思い出すとあの時、魔物に殺されたのは直接的な食い殺され方だけではなく、急激に寿命をなくした人間も多かった。

 むしろそのほうが多かった気がする。

 魔物が人の命を吸い上げていた。

 吸った人の命を使って、新たな魔物を生んでいた。

(そんなことが、あるのか?)

 ……あり得るかもしれない。

 あのとき、現世は滅びへと向かっていた。

 歌による急激な命の加速化。生命化といってもいいだろう。

 植物は必死に次世代を残そうと根を張り、胞子を撒き散らし、人すら飲みこもうとしていた。

 魔物だって同じことがいえる。

 人間が死ねば自分たちだって命がなくなる。

 その本能が人間を襲い、命を吸い上げ、魔物が魔物の複製を作って、なんとか生き延びようとした。

(じゃあ、今起きている現象も……)

 魔物が増えている原因。

 魔物が人を襲い、人口が減っている原因。

 間違いない。

 現世側ほど急激ではないけれど。

 滅びが起きている。

 もしこれで歌でも起きれば……。

 あっという間に滅亡するだろう。

(だけど……)

 この人工来世は、推計では千年持ちこたえるはずだった。

 人々は滅びを受け入れた上で、この空間を維持することにした。

 放っておいてもいずれ滅ぶ。

 なのになぜ、こんなに早く滅びの現象が起きている?

 まだ5年ほどしか経っていないのに。

(何かが起きている……?)

 この家で使役されていた魔物。

 篝が解き放って自由にしたけれど。

 あんなことを何の疑いもなく常識的に人々が行っているのだとしたら。

 魔物だって人間の命を奪おうとするだろう。

 自分たちが生き延びるために。

 人口はいま減っている。

 人の命が資源なのだとしたら。

(資源の奪い合いが起きている……)

 魔物同士の間で。

 人の命がなくなれば、いずれ……。

「なんてこった……」

 瑚太朗は愕然とした。

 人間が星の資源を奪い合っていたことと同じことが、今この空間でも起きていた。

 これで鍵でも生まれたら。

 人間も魔物も、滅亡する。

「篝……」

 そんなわけ、ない。あるわけが、ない。

 篝は人間だ。

 鍵なんかになるわけがないんだ。

「……っ」

 瑚太朗は唇を噛み締めて走り出した。

 森の中にいる篝に会うために。






to be continued……

短くて申し訳ありませんが、ここで一旦区切ります。

次回から話を大きく動かしたいと思います。

そろそろ一番書きたい部分(近親相姦)に移りたいので(笑)

倫理的にどうなの?と思われる方はここから先はご遠慮ください。

一応納得いく形で書きたいとは思ってます。

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