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三
夏の盛りが過ぎた頃、美智子さんから絵葉書が届いた。
いくつもの赤紫色。その輪の中は白く抜け、周囲に濃淡の緑が配されている。絵柄は朝顔のようだ。
余白に青色絵具で『暑中お見舞い申し上げます』と書かれていた。皆で描きましたと小さく一言が添えられていた。
どんな顔をして描いていたのだろうか。
絵葉書を見つめて思う。
「私には無理よ、こんな難しいのはできないわ。あなたやって」
そう言っていそうだ。
朝晩は涼しくなって来たがまだまだ日中は暑い。わたしは空に広がる高い雲、眩しい夏の光を眺めながら彼女にどんな返事を送ろうかと考えるのだった。