表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水鏡は半拍遅れて笑う-異世界最強の環の守護者、涙鍵の恋と逆ハーレム-  作者: NOVENG MUSiQ
第6章 半拍の買い手に、休符の署名を

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/72

第68話 休符の精、ナイチンゲイル=レストライン

 夜半、祝灯が一呼吸ぶんだけ暗くなり、すぐに戻った。戻る刹那、白い細糸が空気の隙間に縫い付く。羽音はないのに、耳の奥がやわらかく空く。呼吸の背骨が一本、静かに置かれた感覚。

 |休符の精《ナイチンゲイル=レストライン》「命令ニ従ウ習性ハ無イ。条件文ヲ」

 夜菜「『私が“返す規範”を破らない限り、あなたは休符の位置を可視化する』」

 レストライン「代償ハ——“約束ナキ沈黙”一夜。言イ訳禁止」


 言い訳は心の即時解熱剤だ。封じられると、熱は意味に変わる。私は頷き、火帳に朱で脚注を入れる——『代償:弁明の禁止(可逆)』。この夜だけ、私たちは“理由”を口にしない。結果と段取りだけが紙に乗る。


エイリク「今夜だけ、僕は“待つ”を増やす」



 零雅「刃は出さない。沈黙を護る役ならある」


 レストラインは翼を折りたたみ、符頭のような白点を空に置いた。街じゅうの掲示、放送、噂話の行間に、空席が次々と現れる。席は記号ではない、座れる場所だ。

 レストライン「署名ヲ与エル。【休符署名】。命令ノ空白ニ効ク。記号デハナク、席」


━━"ことり"。

 最初の椅子が鳴る。|雷の精霊《メリン=アークフォイル》は遠雲で短く瞬き、短評を落とす。

 メリン「位相ノ座標、可視化。電位差、整流」

 スワン「凍結ニ非ズ、遅延ト整合」

 とだけ言い。

 カラドリス「温度差ノ緩衝、良」

 と歌う。私は頷く。三冊の運用——時間を句点で刻み(雷)、温度差に橋脚を打ち(火)、返す先を地絡に落とす(水)——そこへ第四の席が噛み合った。


 夜は深まる。断線皇の放送はなお続く。だが椅子が先に置かれた箇所では、命令の歯車が空回りしはじめている。私は一度だけ、踵で地を叩いた。━━"ぱち"。

 礼儀の火花は音にならず、余白に沈む。沈黙は空白ではない。可視化されたインターフェイスだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ