第9話:想定外?
同僚1「休憩交代だ。今日は遅れるなよ?」
秋野(南)「わかってるわかってる」
日差しが強い昼間時、秋野とシンはファミレスにいた。
シン「とうとう明日ですね、任務最終日!」
秋野「君が肉壁になる記念日だね!」
シン「祝ってくださいね!」
秋野「無理」
防犯カメラが赤く点滅し、二人を捉えていた。
秋野「明日の午前中に仕掛けようか。もう必要な情報は集め終わったし」
シン「仕事早いですね!了解です!」
秋野「俺から課長に連絡しとくよ、君は夜から備えておくように」
シン「夜から?!わかりました、きっとそれが強さの秘訣なんですね!!」
秋野「うんうんそうそう。休憩戻ったら周りのをよく見といてね」
シン「了解です!」
しばらく談笑した後、防犯カメラにはもう2人の姿は映っていなかった。
?「店を出ました、防犯カメラからはもう見えません。得られた情報は、明日の午前中に仕掛けてくるということのみ。仲間に連絡すると言っていたため複数人の可能性が」
?「了解した。では今晩こちらから仕掛けるとしよう。連絡によって明日の午前に来るお仲間を迎え撃つ、伝達しておけ」
?「了解」
秋野「シン、じゃなくて肉壁。どっかでサボろう」
肉壁「でも早く戻らないとまた怒られますよ!」
秋野「それでいいんだよ、俺らが変装してる2人はサボり常習犯だからね」
シン「それならサボりましょう!!あの仕事ただ画面眺めてるだけで苦痛でした!」
秋野「よし、じゃ俺オススメスポット行こう。人来ない穴場がある」
シン「いいですね!なんの店ですか?」
秋野「ジム的な」
シン「ジム?サボりなのにジムですか?」
秋野「いいから行くよ明日に備えて特訓してやるから」
シン「それはありがたい!!お願いします!」
?「別の防犯カメラの映像にアジトとは真反対へと向かっていくのが映りました」
?「了解。充分に備えることができる、自らの首を絞めるとは哀れな奴らだ」
低い圧のある笑い声が携帯から響く。
秋野「ジャジャーン」
連れて行かれた先に待っていたのは、
ボロッボロの廃墟だった。
シン「帰りますか。」
秋野「いや無理だよ」
シン「はい俺も無理ですジムはどこへ??」
秋野「だからここだって」
シン「どう見たって!ここは!心霊スポットでしょうが!!」
外から窓を覗くが、壁と床に天井隅々にヒビ、空気中を舞う埃、よく分からない草、ジム要素はゼロだった。
秋野「早く」
窓から軽々と入り込む。
シン「えこれ冗談じゃないんですか?」
後を追う。
秋野「電気つければいい?」
シン「そういう問題じゃっていうか電気つくんですね」
秋野「よし、君受け身取れる?」
シン「分かりません!」
秋野「おけ!」
次の瞬間、ゴンっと硬い音と共に建物自体が揺れた。
シン「痛ってえ!!!え??」
秋野「おけ」
シン「いや何もおけじゃないですけど。投げるなら一言言ってくださいよ!」
頭と背中を抑えながらキレる。
秋野「ちょ見てこれヒビデカくなってね?」
シン「あなたのせいですし話聞いてますか?」
秋野「君には今から武器無しの戦い方を教える」
シン「おぉありがたい!お願いします!」
秋野「え記憶飛んだ?まあいいや。まず受け身からね、その後打撃技とかいろいろ…」
ペラペラのマットをどこからか引きずり出した。
シン「マット薄すぎません?厚さ2ミリ程度ですよ意味ありますかこれ?」
秋野「じゃ無しでやるね」
シン「気の所為でした厚さ2メーターあります」
秋野「ごまかし下手すぎるだろ」
受け身や打撃技柔道技その他諸々いろいろ教わり、空のトーンが少し暗くなった頃。廃墟からヨレヨレのシンと冷静にスーツの埃を落とす秋野が出てきた。
シン「ありがとうございました…てかサボり過ぎじゃないですかこれ」
秋野「大丈夫でしょ。その疲れとるためにもっとサボるよ」
シン「いやクビになりませんか?交代時間から3時間過ぎてますけど…」
秋野「うーん大丈夫じゃない?」
車に戻り、辰巳会アジトへ向かう。
秋野「シン、じゃなくて肉壁はあと1時間くらい休めば動ける?」
肉壁「毎回それ直さなくていいですよ。休まなくたって動けますよ!」
秋野「その体力肉壁にピッタリだね!」
シン「ありがとうございます!!」
秋野「…ホントになんなの君?調子狂うんだけど」
シン「え、すみません…なんで怒ってるんですか?」
秋野「いやさ、いろいろあるけどまず肉壁になる事への抵抗がないのがおかしいよね」
シン「課長の命令は絶対ですから!課長に怖気づいてない秋野さん凄いっすよね〜」
秋野「まあ課長より俺のほうが強いからね」
シン「かっこいいな!!どうやってそんな強くなったんですか?」
秋野「センス」シン「嘘でしょ?」
秋野「うん」シン「え?」
秋野「特別に教えてあげるよ。俺この組織来る前は別の組織にいてね、そこで先輩とか強いと思った人の動きを細か〜く分析して真似てたらこうなった、まあセンスもあったんだろうね〜」
シンは尊敬の眼差しを向けていた。
秋野「俺の変装も盗んだ技術を幾つも組み合わせたものだよ、この世に俺の変装技術を使えるのは俺だけ」
シン「ずっとかっこいいじゃないですか!!参考にさせていただきます!でも殺し屋業界じゃ一度組織に入ったら死なない限り抜けられないですよね、秋野さんはどうやって組織を移ったんですか?」
秋野「元いた組織壊滅させたからね」
シン「えぇ?!1人で?」
秋野「そう、別にデカい組織じゃなかったから余裕だったよ」
シン「凄いな、なぜ壊滅させたんですか?」
秋野「俺が殺し屋になったきっかけは飼ってた犬がその組織に脅しに取られてたからなんだよ、けどその組織は犬を殺しやがったんだ。腹立ったから皆殺しにしてやったよ、口外するなよ?」
シン「いい話ですね…涙出そうです…」
秋野「涙腺チュートリアルの敵じゃん」
シン「弱いってことか分かりにくいな」
秋野「君はなんで殺し屋になったの?」
シン「俺は〜……なんでだっけ?」
秋野「バカにも程があるよ」
同僚1「おい!」
秋野(南)「うわ、待ち伏せとか趣味悪」
日は沈み切り、月が光ってた。アジトの駐車場に車を停める。
同僚1「いいから車から降りろ」
秋野(南)「遅れてすんませんした」
同僚1「……ついてこい」
同僚が向かっている先は狭い路地裏だった。
秋野(南)「うわボコすつもり?勘弁してよ」
同僚1「…」
何も発さず、ただ黙って奥へ奥へと入っていく。そして、行き止まりに着く。
秋野(南)「で何さ?」
同僚は振り向き──
─「本物の南とコウはどこにいる?」
銃口を向けてそう放った。
秋野(南)「何言っちゃってんの?俺等の分も仕事して疲れちゃったのかね」
シン(なんでバレた…?!やばい!仲間が来るの明日なのに…)
同僚1「質問に答えろ、変装しているのには気付いている。お前たちは逃れられない」
秋野「あーそう。でも悪いけど君がいるのは壁側だよ?俺らの後ろ、がら空き笑」
同僚1「それはどうかな」
静かな足音が後ろから鳴り、振り向くと
同僚5「なぜ路地裏に誘い込んだ?入ってくるまで待てば良いものを」
向けられた銃口の数が2つに増えた。
秋野「あーあ逃げ道なくなっちゃった」
シン(うわあの人、トイレのときの…)
同僚1「俺たちの組織は仲間を消耗品だと思ってる。消えた南とコウの行方を探すことなど、この組織の頭には無いだろ。だから直接聞くしか無いんだ」
同僚5「組織の価値観のほうが殺し屋として理にかなってるがな」
同僚1「不満なら帰れ」
同僚5「俺はコウさんに恩がある、今回だけは協力してやる」
秋野「長々と語ってないで来るなら来なよ」
同僚1「いい度胸だな」
同僚5「お前たち侵入者の存在はもう組織に知れ渡ってる、俺の大手柄だ。コウさんに変装してるお前、トイレ行くとき俺に会ったのが運の尽きだったな。コウさんは俺と会ったら必ずハイタッチをしてくれるんだよ」
シン「なんだよその習慣!秋野さんすみません、俺のせいで…」
秋野「モーマンタイ」
同僚1「答えろ、南とコウはどこに」
秋野「殺した。ずいぶん呆気なかったよ笑」
遮り、南の顔のまま嘲笑した。
秋野「安心して、2人と同じところに埋めるよう言っとくから笑」
変装マスクを破り捨てる秋野たち。
その瞬間、二方向から銃弾が2人に飛ぶ。




