第4話:射撃場
涼しげな朝。シンと藤原が乗った車は薄暗い山奥へと入っていった。
シン「……藤原さんもしかして俺のこと埋めるつもりですか?」
藤原「埋めねーよ!射撃場がここなんだよ」
シン「こんなとこに?」
藤原「人にバレたらまずいからな。一応、サバゲーの会場ってことにしてるらしい」
シン「へぇ〜!でもそれ逆に人来ません?」
藤原「予約制にしてて、いつも予約は埋まってるって表示してるから来ないよ」
シン「うわお主も悪よのうですね」
砂利の上をタイヤが滑る。
藤原「お、見えてきた」
シン「…おぉ!!」
そこには的、塀、壁、コンテナ、大きな倉庫などが設置されていた。
シン「広いし色々あるしすっげー!」
藤原「だよな〜今人もいないっぽいし、朝に来てよかったな」
車を停め、銃を持ち車を降りる。
藤原「あの倉庫ん中の的動くからそこ行かないか?」
シン「動くんですか?!いいですね!!」
シンはテンションが上がっており、倉庫に走り出した。
藤原「おちつけー」
倉庫の中には、人型の的が動く機械音が冷たく響いていた。
シン「すっげー!!」
藤原「あれ?人いないのになんで動いてるんだ?」
シン「いつも動いてるわけじゃないんですか?」
藤原「あぁ、あそこのスタートボタンを押さないと的は動かないんだよ。だから誰かが…」
そういい、起動スイッチを指さす。
シン「……怖い話ですか?やめてくれます?」
藤原「いやいやいやいや」
その瞬間、『バアァン!!』という爆音が倉庫に響く。
シン&藤原「うわー!!!」
シン「心霊スポットとか聞いてないんですけど!!」
藤原「いや俺も聞いてないって!」
動いてる人型の的に目をやると
藤原「…あれ」
脳天の位置に、大きな穴が空いていた。
シン「なんですかビビらせたいんですか?『あれ』とか急に言わないでください」
藤原「いや見てみあの的」
シンも的を見て、穴が空いているのを目撃した。
藤原「さっき全部の的、穴なかったよな?」
シン「……やっぱ心霊スポットですか?」
藤原「心霊から離れろ。これ銃痕だ、誰かいるってこと」
シン「…誰かいるとか怖すぎるんですけど」
次の瞬間、再び爆音が倉庫内に響く。
シン「よし帰りましょう。」
藤原「いやせっかく来たんだぞ?!」
藤原「きっと誰かがスナイパー練習してるだけだ、気にせず練習しようぜ」
シン「…そうですね!もし幽霊だったとしてもこっち銃あるし負けませんよね」
藤原「幽霊って物理攻撃効くの?」
シン「…………」
藤原「……気にせず」
シン「はい。」
藤原「てか多分さっき話した狙撃王だな」
シン「えぇ!!」
藤原「2発ともヘッドショットだし…気配も察知できないし」
シン「いやまた怖いこと言うし藤原さんも気配察知できる系ですか?」
藤原「まぁ…なんとなく?」
シン「マジすか…どうやってできるようになりました?」
藤原「…なんとなく?」
シンは眉間にシワを寄せる。
藤原「いや、本当になんか気づいたらできてたから…多分シンも経験積んだら…」
シン「…なるほど!!」
藤原「納得したんだ」
2人はそれぞれの的の前に立ち、シンはまだ不安そうな表情を浮かべつつもピストルを構える。
藤原「じゃ先にやるぞ」
シンの隣では、『バンバン』と音が鳴る。
シンも続いて、前と後ろにしか動かない的を狙い撃つ。
『バンバン』…10回ほど音が鳴った。
たまに『バアァン!』と爆音が鳴るが、気にしないことにした。
2人は銃を降ろし、的を確認した。
シン「…なんで?!?!」
シンが撃っていた的には、ヘッドショット付近に一発、余白に2つ、穴が空いていただけだった。
藤原「あーピストル苦手?」
シン「いや苦手って程では…昨日ヘッドショットしたんですよ!」
藤原「うーん」
シンは藤原が撃っていた的を見る。
その的には人型の部分に穴が幾つも空いていた。
シン「藤原さんって意外と凄い人ですか?」
藤原「[意外]は余計だけど、まあ俺3年目だし」
シン「すげー…どうやったらそんなに当たるんですか?」
藤原「……なんとなく」
シンはまた眉間にシワを寄せる。
シン「一生この顔になる前に他の言葉を発してください。」
藤原も眉間にシワを寄せ、顎に手を当て考える。
そのとき、『ガガガガ』と砂利の音と共に車が来た。
藤原「あぁ、そりゃ他の人も来るよな。他の人に聞いてみたらどう?」
シン「こっち来たらそうしてみます!」
2人はまた銃を構え、的を撃つ。
シンが撃っていると、
「お前ヘッタクソやな笑」
いつの間にか真後ろにいた知らない人にそう言われた。
シンは驚きと困惑と苛立ちが同時に来て不思議な感情になった。
シン「?!…初めまして、新人のシンですよろしくお願いします」
?「よろ、俺三浦」
藤原も隣を見て、
藤原「三浦さん!」
三浦「おー久しぶりやな藤原、生きとったんか笑」
藤原「相変わらず腹立ちますね」
藤原は怒りを胸に的を撃ち出した。
三浦「にしてもシン、お前エイム悪いな?笑」
シン「いえ。今日は調子が悪いだけです。」
三浦「見栄張んなって」
シン「いえ。ホントです。」
三浦「ちょいと貸してみ」
そう言われ、持っていた銃を差しだす。
すると三浦は片腕で的を撃ち出した。
三浦「どうや」
シンが的をみると、ヘッドショットとなる部分が穴で埋め尽くされていた。
シン「」
シンは言葉を失い、口は開けっ放しになった。
三浦「調子に左右されないのが一流ってもんやで」
シン「すみませんでしたありがとうございます」
三浦「めーっちゃ素直やん笑」
?「三浦、新人をいじめてるんか?」
倉庫の入り口から声がした。
三浦「ちゃうって笑教えてあげよーか思てん」
?「エセ関西弁野郎は信用できんやろ、新人君、俺が教えちゃるよ」
三浦「いい顔すんなって白石、てかエセちゃうわ!」
白石「シン君、俺は白石や。よろしく」
シン「よろしくお願いします!」
白石「藤原もいるやん」
藤原「ども!前ラーメンご馳走様でした!」
白石「ええよええよ」
三浦「うわラーメンとか聞いたら腹減ったわ、ラーメン行こうや」
白石「賛成」藤原「いいっすね!」
シン「俺も行きたいです!」
三浦「あ、じゃあ的に一番当たらなかったやつ奢りにしようや」
白石「賛成」藤原「よし。」
シン「え???」
三浦「じゃ的リセットすんで」
三浦がスイッチを押すと、『ガチャン』という音と共に的は引っ込み、新しい的が出てきた。
シン「すげー!」
三浦「来るの初めてか?」
シン「はい!そんなことより奢りってガチですか?」
すると、再び倉庫の入り口から声がした。
?「あれ、白石くんたち」
?「お疲れ様」
白石「おー柊ちゃんに瀬戸ちゃん」
白石「こっちは新人のシンと70年目の藤原」
シン「よろしくお願いします!」
藤原「3年目の藤原ですよろしくお願いします」
柊&瀬戸「よろしく」
三浦「2人もやる?ラーメン奢りを掛けた戦」
瀬戸「面白そう」
柊は頷く。
シン「おわった俺の財布。」
三浦「大丈夫だって新人〜」
白石「手加減してやろうか?しなくていい?おっけー」
シン「泣きますよ」
藤原「シン、ゴチです」
瀬戸「なるべく高いラーメン行こ」
シン「いやあの」
三浦「では皆さん配置についてください」
全員が配置につき、ピストルを構える。
シンは一周回って冷静になり、渋沢栄一との別れを惜しんでいた。




