Sight

第2話：組織

シン（この同伴者…）

シン（苦手な先輩だ〜！！この人と2人きりで任務…？）

？「おい」振り向くとそこには、

資料の同伴者写真と同じ顔が。

シンの顔面は蒼白なんてものじゃなかった。

同伴者「お前任務の同伴者だってな」

シン「お疲れ様です岩瀬さん、そうみたいですねよろしくお願いします」

いきなり胸ぐらを掴まれる。

岩瀬「足引っ張るなよ？」

シン（顔ちっけえ…）「尽力します…」

シンは突き離され、

岩瀬「明日の7時に送迎班を手配する。遅刻したら殺す」

シン「了解です」

岩瀬は去っていった。

シン（だから苦手なんだよなあの人…）

シンはエレベーターに乗り、地下3階へと降りていく。降りた先には、ドアがたくさん並んでいた。

シンは鍵を取り出し、部屋に入っていく。

シン「この会社寮費払わなくていいの最高だよな〜！ちょっと窮屈だけど…」

シン「いや気の所為だな！シャワー浴びよ」

髪が濡れたシンが部屋に戻ってきて、ベッドに飛び込んだ。

シン「今日も頑張ったぜ〜おやすみ世界…」

「……ん？明日の任務7時って言ってたけど…

午前？午後？やばい聞いてなかった！！」

シン「…どっちでもいいように早起きしとくか！！俺天才だな」

3秒で眠りにつく。

ジー、ジー。6時のアラームが鳴り響く。

シンは飛び起き、スーツを着てスナイパーの不備確認。

シン「よし！」

エレベーターに乗り、自分のデスクで岩瀬を待っていた。

だが、8時になっても、9時になっても、岩瀬は現れなかった。

シン「…午後7時だったか…」

あくびをしながらパソコンを開く。

シン（殺し屋も書類仕事やるなんてな〜）

しばらくパソコン作業をしていると、

「おい」と後ろから声が。

振り向くと、岩瀬がいた。

シン「おはようございます、今日の任務よろしくおね」

言い終わる前に遮られた。

岩瀬「行くぞ」

シン「え、今10時ですが…」

岩瀬「新人が口答えか？」

シン「いえ、了解しました。」

同伴者が先に出ていった。

シン（腹立つ！後ろから撃って殺し…）

シンは自分に驚いた。

シン（俺…すぐそんな思考になるようになっちまったのか。）

タクシーの元へ走るシン。

シン「おまたせしました！」

タクシーに足を踏み入れた。

シン「…あ！！！」

岩瀬「何だようるせーな」

シン「スナイパー忘れました。」

岩瀬「あぁ？！」

運転手の黒澤は笑っていた。

シン「すぐ取ってきます！！」

アジトへと走っていった。

岩瀬はため息をつく。

岩瀬「おい運転手」

黒澤「どうした？」

岩瀬「進め」

黒澤「シンがまだだぜ」

岩瀬「聞こえなかったのか？送迎班が殺し課に逆らうなよ」

黒澤「…降りろ」

岩瀬「あ？」

黒澤「ずいぶんと送迎班を見下してくれるじゃねえか、そんなに殺し課は偉いのか？」

岩瀬「当たり前だろ？こっちは命賭けてやってんだ。車運転してるだけのお前らとは格が違うんだよ」

黒澤「こっちだって命張ってるぜ？敵対組織に見つかった、警察に追われた際に運転技術で巻く。お前らにできるか？」

岩瀬「お前らこそ人殺せんのかよ？」

銃口を黒澤に向ける。

黒澤「当たり前だろ」

黒澤は腰から銃を取り出した。

銃口を向け合う。車内は緊張に包まれる。

黒澤「送迎班は訓練後に運転技術が評価されて割り当てられるんだぜ？それに、俺はきっとあんたより人を殺してる」

岩瀬は黙り込んだ。

黒澤「同じ組織に所属してんだ、仲良くやろうぜ？」

シン「すみません遅れました！」

息を切らしたシンが車に乗り込む。

シンは銃口を向け合ってる二人を目撃した。

シン「…どういう状況ですか？！」

2人は銃を降ろした。

シン「あのー大丈夫でしょうか…？」

黒澤「気にするな！早く向かうぞ」

シン「…お願いします！」

同伴者は不機嫌な顔をしていた。

黒澤「となりの県まで行くんだっけか？」

シン「はい、運転キツくなったら言ってください！俺も免許ありますし」

黒澤「ハハッ、それじゃ送迎班がある意味がなくなっちまうべ。心配すんな」

車をしばらく走らせる。

ビュンっと隣をバイク集団が通り抜けた。

シン「うわいいなバイク！かっけえ〜」

黒澤「シン、バイクの免許は？」

シン「2回挑みましたがダメでした。」

黒澤「ハハハ、よく車の免許取れたな？」

シン「教習所の車は試運転の時にぶつけまくりました…」

黒澤「尚更運転を変わる理由がなくなったな」　

赤信号で止まる。

黒澤「そういえばさ、さっきから追跡されてるかもしれないんだよね」

シン「へぇ〜！…へ？」

黒澤「ほら、後ろの後ろの黒いバン。ナンバープレートが削れてた。まぁ多分、同業者だな」

シン「えぇ？！敵対組織とかですか…？」

黒澤「そうだな」

シン「ど、どうしますか？」

黒澤「うーん相手の狙いが分からないからな、こっちから動くのは無しだ」

シン「なるほど…冷静ですね」

黒澤「慣れてるからな」

岩瀬は銃を用意した。

黒澤「何もするなよ？」

岩瀬「わかってる。すぐ反撃できるようにだ」

黒澤「誤射するんじゃないぞ」

岩瀬「舐めるな」

青信号になった。

すると、バンがスピードを上げて横に並んできた。

黒澤「横、見るなよ」

シン「ハイ…」緊張で心臓が高鳴りしている。

横の車が窓を開けた。

窓を開けた先には─

─ピストルを構えた黒服が並んでいた。

バン！！岩瀬側の窓が粉々に砕けた。

岩瀬は身を伏せ、銃の安全装置を外した。

黒澤「撃ち返せ！！」

シンがいつの間にか準備したピストルで撃ち返す。相手も身を伏せた。同伴者も撃ち返す。

バンバン…激しい銃撃音が2台の車を包んだ。

黒澤たちの車は加速した。敵の車も同じく速度を上げてきた。

黒澤も車に隠していたピストルを取り出し、片手で撃ち返す。

黒澤「タイヤを撃て！」

岩瀬が撃った弾は見事にタイヤに命中。

敵の車は速度に乗っていたためスリップし、塀に激突した。

黒澤「やるじゃねえか」

黒澤たちの車の速度は下がることなく、多くの車の中に紛れ込んだ。

シン「巻けましたね…よかった…」

心臓の高鳴りが収まらない。

岩瀬は汗をかいていたが、黒澤は笑みを浮かべていた。

シンたちは高速に乗り、

ひと息ついていると──

─上の道路に銃を構えた別の黒服がいた。

黒澤「上！攻撃準備！」

カチャッとリロード音が2回鳴った。

──次の瞬間

バァン！！と重低音が響き、フロントガラスの一部が砕けた。身を低くする黒澤。

シン「黒澤さん！！」

黒澤「問題ない」

黒澤「ピストル5人、スナイパー1人だ！」

前のトラックが上の道路をくぐる瞬間…

スナイパー以外の黒服たちが『ドン』とトラックの上に飛び降りた。

黒澤「まじか？」シン「バケモンだ…」

黒服の1人がトラックの窓を割り、運転席に入り込んだ。

シンと岩瀬が窓から身を乗り出し黒服たちを撃つ。銃撃音が道路に響く。

黒服の数人に命中した。だが、何発当たっても倒れなかった。

シン「え？！マジバケモン？！」

岩瀬「防弾スーツだ！」

次の瞬間、トラックの上から黒服2人が黒澤たちの車の上に飛び乗ってきた。ドン！車の上に着地した音が車内に響いた。

黒澤「酔い注意！」

蛇行運転をし、サイドミラーに転がっていく黒服1人が見えた。

黒澤「…あと1人上にいるぞ！」

シンと岩瀬が身を乗り出す。

岩瀬が乗り出した瞬間、至近距離に銃口が見えた。景色がスローモーションになる。

引き金を引かれる瞬間、黒服の額のど真ん中に風穴が開いた。黒服は倒れ、転がっていくのがサイドミラーに映る。

シンの銃口からは、煙が上がっていた。

黒澤「ナイスだ2人とも。だが早く身を隠したほうが良い。」

その瞬間、またバァン！！と2度目の重低音が響き、後ろの窓が撃たれた。

だが、今回は窓は砕けなかった。

同伴者「ハッ、外してやがる」

黒澤「当たったさ。防弾ガラスなだけだ。

後ろのスナイパーより先に、前のピストル2人、運転手1人をどうにかしないと。」

蛇行運転で黒服たちが狙うタイヤには当たらなかった。だがそれはこちらも同じく。

シンと岩瀬はスーツで守られていない頭を狙うしかないが、揺れるせいでエイムが定まらない。

黒澤「2人、俺がいいって言うまで息を止めろ」

2人は大きく息を吸う。

黒澤はドアポケットから何かを取り出し、

前方にぶん投げた。

瞬間、ボン！！という音と共に煙が充満した。煙の中で銃撃音がする。

スナイパーは何も見えず、舌打ちをした。

煙の中から出てきた車を再度スコープでのぞくと、標準に映ったのは──

─窓から身を乗り出しスナイパーを構えた、シンだった。

ピュンッと音が鳴り、スナイパーの首に命中。スナイパーの視界は暗点し、前に倒れ、上の道路から落下。煙が晴れて見えたのは、穴があいたタイヤのトラックと、倒れた黒服たちだった。

黒澤「どう？俺ブレンド毒ガス。…おーい。

…あ忘れてた。息していいよ」

岩瀬「ふざけんな！」

シン「っは！死ぬかと思った…」

黒澤「お前たちの戦闘スキル、想像よりマシじゃねえか」

岩瀬「…なんだと…」

シン「先輩大丈夫ですか？」

岩瀬「袋あるか？」

黒澤「あ、酔った?」

岩瀬「あんな運転で酔わないわけがないだろ…」

シン「俺は平気っす！」

岩瀬「黙ってろお前」