第16話:初任務
シン「とりあえずいつも通り任務こなしてればいいの?」
階段を降りている。
篠原「そんな簡単なわけないだろアホ。1日に幾つもの任務をこなすんだよ、課長に任務をもらいに行ってでもな」
シン「なるほどね今アホって言った?」
篠原「幻聴だ耳鼻科行けアホ」
シン「…幾つもの任務って、幾つ?」
篠原「とりあえず3つ。余裕があれば4つ」
シン「え?アホはそっちだな!!」
篠原「あ?そのヒビ入ってる背中叩くぞ」
シン「やめてください。いや3つって現実的じゃないでしょ!」
篠原「黙れ、やるんだよ」
シン「昭和生まれ?」
篠原「死ね」
駐車場につく2人。
シン「もう送迎課には連絡したのか?」
篠原「ここで待ってろ」
数分後、車に乗った篠原が現れた。
篠原「早く乗れ、車を手配するより俺が運転したほうが早い」
シン「かっちょいい~サン救急車は119(イチイチキュー)」
篠原「あ?走らせるぞお前」
シン「すみませんでした車ありがとうございます」
アスファルトを滑るタイヤ。
篠原「ターゲットは路地裏にいる。作戦はこう、俺が離れたところから1人を撃つ、2人が動揺したところでお前が話しかけ、動きが止まった1人を俺が撃つ。お前は残りを撃て、近距離なら片腕でも外さないだろ」
シン「よっしゃ任せとけ!」
篠原「……ターゲットは依頼者の娘を殺したらしい。少年法に守られ、重い罰は受けていないそうだ。」
篠原のハンドルを握る手がギチギチと音を立てる。
シン「そうなのか…」
篠原「依頼者は臓器を売って金を作った、この任務が終わったら、死ぬつもりだと」
シン「……」
篠原「この殺しには、意味がある」
タイヤが加速した。
チンピラ達「はははは!!それやぁべぇー!!」
どこかの工事の音と、笑い声が路地裏に響いていた。
篠原「虫唾が走る。」
スコープにニット帽をかぶったチンピラが捉えられる─
─ピュン!
チンピラA「ははは…は…」
一瞬首を押さえた腕は下がり、地面に膝をつく。
チンピラB「はははは!!おいなにやってんだよ!」
チンピラAを軽く蹴ると、うつぶせに倒れ込んだ。
チンピラC「ぎゃははなんの真似だよそれ!」
チンピラB「おーいなんか言えよ!ははは」
仰向けにさせると、唾液が滴る口が半開き、目の焦点が合っていないことに気がつく。
チンピラC「名演技ーぎゃはは!」
チンピラB「…おい?」
体を揺するが、反応はない。口に手をかざすと、息をしていないことに気づいた。
チンピラB「おい!!」
さらに激しく揺らす。
チンピラC「…は?」
胸に耳を当て、心臓の音を聞こうとする。
すると近くで足音が聞こえた。
音がする方向に見えたのは、シンだった。
シン「どうしました?」
チンピラB「おい!!救急車呼べ!俺らスマホ充電切れてんだよ!!」
チンピラC「早くしろ!!」
シン「え?」
チンピラたちに向かって歩き出す。
チンピラB「お前みたいなリーマンが来ても意味ねーだろ!!」
それでも歩みを止めない。
チンピラCは胸に耳を当て続けている。
─チンピラBの怒号にかき消された小さな銃声によって、チンピラCはAに覆いかぶさるように倒れた。チンピラBが振り向き、2人が倒れている姿を目にする。
チンピラB「…は?おい早く!!」
正面を向くと、額に黒い何かを突きつけられ、首が仰け反る。
チンピラB「おいなんだよこれ…」
その瞬間、バン!という音と共に、チンピラBは後ろに倒れた。
銃声は、工事の音に紛れた。
タイヤはまたアスファルトを滑り出した。
篠原「これで依頼者の望みは叶えられた。」
シン「…報われてほしいな」
篠原「あぁ…」
空は暗く、肌寒くなっていた。
シン「なああと任務2つはやっぱ無理だって!もう午後6時…あ、夜ご飯の時間」
篠原「1日はあと6時間ある、余裕だろ」
シン「夜ご飯何食べる?」
篠原「話飛びすぎだろなんだお前」
シン「あ!あの道なら美味いラーメン屋あるぞ!その名も『アー麺』」
シンが指さした道とは真逆の道を走り出した。
篠原「俺は無宗教だ。コンビニで済ます、ゼリーでも買っとけ」
シン「待てゼリーで足りるわけないだろ!」
篠原「10個くらい買って食え」
シン「量の問題じゃない!」
コンビニの駐車場には、2台の車が停まっていた。




