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第14話:勝者は

瓦礫の山が不気味に動いた。

すると、瓦礫の下敷きになっていた大男が立ち上がる。シンは胸ポケットに手を突っ込むが、拳銃がないことに気づく。

大男「失敗した…私の作戦が」

血が流れている頭を抱え、シンを睨む。

シン「そこのデカ男、俺にナイフぶん投げたこと許してやるから瓦礫どかすの手伝え!」

瓦礫で埋もれたドアを指さす。

大男「クソガキ…貴様のせいで」

シン「クソ?!協力しないなら俺がここ出たら外側からドア埋めてやるからな!」

大男に背を向けて瓦礫に手を伸ばす。

大男「戦わないつもりか」

シン「お互い生きてるの奇跡なんだから一旦停戦にしよう、ここ出たらアンタのこと白峰会に誘ってやってもいい」

大男「私が誰だか知らないのか」

目が血走り、首と額には血管が。

シン「知るか!」

大男がキレている事にも気付かず瓦礫をどかす。

大男「…私は、辰巳会のボスだ。」

シンは手を止め振り返る。

シン「…なんで2階にいんだよ!」

ボス「辰巳会のボスの座に君臨しているこの私を知らないだと…?」

シン「質問の答えになっていない!アンタ国語の点数低かったろ?」

ボス「ましてや私を侮辱するとは…許せん…殺してやる…消し炭に…」

シンは耳に手を当てる。

シン「声ちっせえ!」

ボスの怒りは限界を超えた。充血した目は見開き、浮き出た血管は波打っている。異様な雰囲気を感じ取ったシンは

シン「キレてる?頭から血出てんのにそれ以上血のぼったら貧血で死ぬよ?え今めっちゃ上手いこと言わなかった?」

次の瞬間、人の何倍もの大きさの瓦礫がシンに向かって飛んでくる。

咄嗟に横に逃げたが、避けた瓦礫の先に待っていたのはボスが振り被ったテレビだった。

『ゴン』

頭にもろに食らったシンは体勢を崩す。地面に手がついた瞬間─

─逆立ちのような姿勢で蹴りをボスの顎に入れる。だが、体格差がありすぎて入ったとは言えなかった。ボスの中段蹴りが放たれる。即座に姿勢を正したシンは屈んで避け距離を取る。

ボス「無駄な抵抗をするな。私に出くわした貴様に勝機はない。」

歯ぎしりしながらボスは倒れたデスクを踏み潰し、シンに近づく。

シン(あの秋野さんに教わった蹴り上手くいったと思ったのに!他に何教わったっけ…)

武器を探しながら距離を取り続ける。ボスは潰したデスクを投げ視界を遮り、また距離を縮めた。するとシンは宙に浮いたデスクごとボスに向かって突進する。ほんの少しぐらついたボスの横を走り抜け、シンは一直線に何かに向かう。ボスがまたデスクを踏みつけながら一気に近づくと、

シン(重!!)

シンも真似てデスクを投げつけ視界を遮る。デスクを払い除けたボスの視界にシンは見えなくなった。

─体格差が故に足元にいるシンに気付かず、いつの間にか手に入れたナイフが腹に深く刺さる。一気にスーツが赤く染まり、ボスの口から獣のようなうめき声が漏れる。シンは確実に仕留めるためにナイフを腹から抜き大腿に突き刺すが、ボスの拳がシンの腹を貫く。防弾ベストを貫通して届いたダメージは大きく、口に血の味が広がった。ボスは大腿に刺さったナイフを自ら抜き、呼吸が乱れたシンに飛びかかる。シンは構えたが意味はなく、巨体の突進と共に腕にナイフが突き刺さる。シンのスーツも赤く染まり、腕が熱くなるのを感じた。

突進により地面に倒れ込んだ二人。シンはすぐに立ち上がり腕のナイフを抜こうとする。

シン(刺さったときって抜かないほうがいいんだっけ?訓練で習ったっけもういいや!)

勢いよくナイフを抜き、膝をついて腹と足を押さえているボスを目にする。チャンスだと思い近づくと、ボスは大きな足を振り、ブレイクダンスのような技を繰り出す。

シンはこめかみに向かって飛んできた蹴りを両腕で受け距離を取り直す。

ボス「私がこんなかすり傷程度でやられると思ったか…!」

シン「どう見ても刺し傷だろ!」

血だらけのボスは笑みを浮かべていた。

シンはその圧に押しつぶされそうになる。

ボス「もう痛みはない…貴様は楽に殺してやらない!!」

先程よりスピードが上がった突進がシンを襲う。シンがよろけると、2度目の巨大な拳が腹を襲う。肺の空気が一気に吐き出され、思わず声が漏れる。血が口から滴り、痛がる暇もなくボスの殴り蹴りの巨大で重い攻撃が畳み掛ける。その場に血が飛び散り、シンは気を失いそうになりつつも、手に集中して離さなかったナイフがボスの腕を刺す。だがそれは浅く刺さったところではじき飛ばされ、ナイフは遠くの地面に転がる。シンは取りに走るがボスはそれを許さない。蹴り飛ばされて下にあった斜めの瓦礫に背を打ち付け、息が詰まる。姿勢を正し周りを見渡すと、瓦礫の下にまた何かを見つける。

─そこにあったのは拳銃だった。手を伸ばすが、背後には鉄パイプを振りかぶったボスが立っていた。



荒川「おい!!大丈夫か?!」

秋野「…着地失敗したー、クソ痛い。」

吉田「大丈夫ですか…?生きててよかったです」

三浦「痛い痛い痛い痛い!!目やべえ!」

白石「俺耳やべえ…痛いし聞こえへんし」

秋野「大丈夫そ?」

三浦と白石は地面に倒れ込んでいた。

鈴木「派手に爆発したなー、秋野さん無傷すか?」

秋野「いや多分足の骨いったよ。

やられたね」

崩れたアジトを眺める。

秋野「三浦と白石は端で休んどいて、動ける?」

肩を抱える

荒川「おら頑張れ!!」

三浦「痛え!!」

吉田「秋野さんも休んどいてください」

秋野「俺はモーマンタイ」

秋野たちは瓦礫の山に登り、仲間の姿を探す。

鈴木「ほんと逃げててよかったわ」

荒川「テメーも手伝えや!!」

鈴木は安全地帯からそれを眺めていた。

鈴木「退かない選択を取った宿命だろ?どうせ皆死んでるし」

荒川「……お前まじかよ。」

吉田「全員殺し屋としてのプライドを取ったんだ。せめて弔おう」

鈴木「俺は遠慮する」



瓦礫をどかしてしばらく経つと、駐車場は帰ってきた辰巳会メンバーの死体で溢れていた。空はもう明るみがかっている。

鈴木「こいつらも殺し屋のプライドでノコノコと敵がいるアジトに帰ってきたのか?絶対連絡いってたよな。ただのバカじゃん」

「…」

秋野と荒川と吉田は黙って瓦礫をどかしていた。鈴木はその後ろ姿を眺める。

鈴木「…俺帰っていい?」

秋野「うん。」

吉田「…」

荒川「…テメーいい加減にしろよ」

瓦礫の山を下りて鈴木に向かい、胸ぐらをつかむ。

荒川「一緒に命張った仲間だぞ!!なんとも思わねーのか!!」

鈴木「ただ職場と任務が一緒だったってだけだろ、そんなアツくなるなよ。それに一人一人に情かけてたら殺し屋なんてやってられんよ?」

荒川「なあ吉田、これは感情論どうこうの話か?」

拳を振り上げる。

吉田「倫理観の話」

荒川「そうだよなぁ!!」


瓦礫の山で3人はスーツがボロボロに、鈴木は容姿がボロボロに。

鈴木「ふざけんなよ、なんで俺が殴られなきゃならねぇ…」

荒川「黙ってろこのクズが!!さっさと帰れや!!」

鈴木「上に報告してやるからな。吉田も俺と同じ考えだろ?帰ろうぜ」

吉田「俺はお前とは違う」

鈴木「…そうかよ」

門に向かうと、バンが何台も向かってきた。

4人は警戒態勢に入る。

だが、窓から顔を出したのは白峰会メンバーだった。車はアジトに入り何人も出てくる。

黒澤「うーわこりゃ悲惨な…」

荒川&吉田「黒澤さん!!」

秋野「おつかれー」

黒澤「おつかれおつかれ。生きててよかったよ」

吉田「俺たちは大丈夫っすけど…すみません、意見が割れて俺たち退いたんです。あのとき無理にでも引っ張り出してれば…」

黒澤「君らがいなきゃこうして応援呼べなかったでしょ?胸張りなよ、いい判断だってさ」

胸を小突かれ、白峰会数十人で仲間と敵の安否を確認する。

端で倒れている三浦と白石。

黒澤「送迎班、先この2人送ってって」

送迎班A「了解」

鈴木「じゃ俺は先帰ります」

仲間A「…貴様は何を言っている??」

仲間B「落ち着け、あいつ仲間どうでもいい派だ。よくいるだろ」

仲間C「帰りたくば帰れ。だがお前に報酬は渡されない。」

鈴木「な!?」

仲間C「当たり前だろう、活躍していないのだから。吉田たちは安心しろ、お前らは作業をしているから報酬は渡される」

仲間D「お前敵と殴り合いでもしたのか?なんでこの任務でアザができるんだ」

鈴木「アイツらのせいです」

荒川と吉田と秋野を指さす。

荒川「テメーをボコしたのは俺だけだしなんか文句かこの雑魚!!」

仲間E「いいから作業進めてくれないか?」

鈴木はため息をついてアジトに帰った。

作業効率はぐんと上がり、瓦礫を次々とどかしてついに敵の死体、そして、

仲間の死体が見えてくる。

仲間A「…隠蔽班、遺体を。」

隠蔽班たち「了解」

仲間A「敵と仲間はしっかり分けてくれ。」

後ろでは、何人かが手を合わせて祈りをしていた。

そのとき、ポロポロっと音がした。そこはまだ瓦礫をどかしていない場所で、全員が目を光らせる。

ガタガタガタ!!

─出てきたのは、満身創痍で血だらけの

シンだった。その手には拳銃が強く握られていた。

シン「……お疲れ様です…」

その場に膝をつく。

黒澤「シン!!生きてたか!」

秋野「死んだかと思ってたよ」

数人がシンに近寄り、容態を見る。

シン「俺勝ちました、ボスと一対一で、勝ったんすよ!!」

秋野「マジ?」

黒澤「よくやったなぁ!」

背中をバンバンと叩く。

シン「いってぇ!!黒澤さん?!」

黒澤「あごめん」

送迎班B「怪我人、早く来い。一足先にアジトに帰らせる、速やかに治療を」

シン「ありがとうございます…」

車に乗ったところで、シンの意識は途絶えた。



─後日。

課長「辰巳会壊滅ご苦労。あの状況でこれだけ生き残ったのは奇跡としかいいようがない。お前たち、運が良かったな。」

秋野「運じゃなくて俺のおかげね?」

課長室には、シン・秋野・三浦・白石の4人がいた。

課長「瀬戸と柊、藤原と佐々木は息はあるがまだ目を覚まさない。ほか3人はすでに任務に出向いている。お前たちはいつ任務に出れる?」

シン「俺一般人相手の任務なら行けます!」

頭と腕が包帯で巻かれている。

課長「あばらは何本いった?」

シン「たしか4だっけな」

課長「ならスナイパー構える姿勢も無理だろうアホが」

シン「あたり強くないですか?ボス倒したの俺っすよ?」

課長「秋野は明日から任務を頼む、三浦と白石はまだいい。では解散」



シン「皆さん本当に生きててよかったです!!」

今にも泣きそうになっていた。

三浦「そーやな〜柊ちゃんたち心配やね」 

白石「三浦…お前…厨二病になっちまって…」

三浦「ちゃうわ!」

左目に眼帯をつけていた。

シン「目どうしたんです?」

三浦「ガラスの破片入ったんよ」

白石「それ治るん?」

三浦「わからんらしい」

白石「やばいやん、近距離得意にしとるのに」

三浦「そしたら俺送迎班か隠蔽班移るわ」

白石「俺も片耳イカれたんよな、任務出て判断しようぜ」

秋野「隠蔽班覚えること多いらしいよ?」

三浦&白石「まじすか…」

秋野「てかボス殺したのシンって本当?」

シン「よくぞ聞いてくれました!!そうなんですよ俺が…」

秋野「あそうなんだすごいね」

シン「聞いて下さいよ。」

白石「いつそんな強くなったん?」

シン「秋野さんに教えてもらったこと色々やって、最後は三浦さんが教えてくれた撃ち方で殺しました!!本当にありが」

秋野「あマジで?なら9割俺のおかげだから報酬くれるよね?」

三浦「俺のおかげで仕留めたんなら俺にもくれるよな?」

シン「えぇ…」

白石「あの時食べたラーメン屋最初に見つけたの俺やから俺のおかげだよな」

シン「それは絶対に違いますよね?」

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