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第13話:崩壊

4階。たった1人だけがその場に立っていた。

だが、壁にもたれている。

男「…毒ガス装置発動したのか、ボス…なんで、なんで俺に連絡がない!!俺はボスの側近なのに!!!」

仲間の死体を踏みつけながら駆け足で階段へ向かう。

男「あぁめんどくさい、5階登れねーじゃん。屋上出たかったのに…早く、早く降りないと」

崩れた階段を眺めている男の呼吸はどんどんと荒くなっていった。もたつきながら手足を使って非常階段を降りていく。


藤原(…あっぶね!!)

倒れていた藤原は目を開き体を起こす。

藤原(死んだふり意味ないかと思ったけどとどめ刺さず降りてった、助かっ…てない!毒ガス装置!!)

藤原「佐々木!」

体を揺らすが、反応はない。首に触れると心臓が動いているのを感じた。

藤原(よかった…!)

佐々木の顔に自分の上着をかけ背負い歩く。

藤原(重!!!)

息をなるべく吸わないように階段を目指す。



2階。

シン「カクカクシカジカなんですよ」

水野「毒ガスだと?」

シン「換気はしましたが皆さん体調は大丈夫ですか?」

同伴者D「俺キツイ…視界がぼやける」

シン「大丈夫ですか?!?!?!」

同伴者D「うるさい。」

シン「すみません。窓割れてるんでそこまで行きましょう、俺ついていきます」

水野「任せた。俺らは秋野たちを追う」

同伴者E「新人に任せられますか?」

水野「抜けても損傷がないの新人だけだろ」

同伴者E「あぁ。」

シン「………」

眉間にシワを寄せたシンと肩を組んだ同伴者Eは2階の窓へ向かい、水野たちは3階へ登る。

シン「鈴木さん、俺今回活躍したんすよ?」

鈴木「俺に言わないでくれよ…」

シン「秋野さんの指導受けてめっちゃ強くなったし!!さっき路地裏でめっちゃ活躍したし!」

鈴木「知らんて。」

─歩いていると、奥で物音がした。2階は制圧したはずなのに。

鈴木「あー頭痛え…」

シンが足を止めて目を凝らす。

鈴木「なんで止まるんだよ、俺の事殺す気?」

シン「いや…」

足を動かし、窓に着く。

鈴木「はぁ〜空気が新鮮ってすぐ分かるのな」

窓から乗り出し深呼吸を繰り返す。

シン「すみません鈴木さん、1人で大丈夫ですか?体調戻ったら先行っててください」

鈴木「待て新人なにするつもりだ?」

シン「さっき奥で物音がしたんです。気のせいかもしれないけど、生き残りがいるなら仕留めないと!」

鈴木「音か、気をつけろよ。」

シン「ありがとうございます!」

鈴木「悪いけど俺は降りるよ、幸運を祈る」

シン「そうですか!では、鈴木さんも気を付けて!」

鈴木「あいよー」

シンは走って奥へ進んだ。

鈴木(荒川みたいに言ってくるかと思った)

顔色がすっかり良くなった鈴木は階段を降りていった。



非常階段。壁にもたれ腰掛けている男は荒々しい呼吸で電話を掛けていた。携帯を持つ手は震えている。

『プルルルルルル…』

何コールしただろうか。

「なんだ?」

男「ボス!!」

ボス「用件を言え」

男「わかるでしょ…なんで毒ガス装置の発動連絡をしてくれなかったんですか!!俺が戦う際に酸素を多く使うって知ってるでしょ!!」

ボス「誰に口を利いている」

男「……なんでですか?俺はあなたの側近で、あなたのために四肢まで捨てて…あなたに全てを捧げたんですよ」

ボス「お前の捧げた全てはこの程度か?…役立たずが」

『プツッ、ツーツーツー…』

携帯は手から落ち、荒々しい呼吸はゆっくりへ、脱力した腕が床に当たり、呼吸音すら聞こえなくなった静かな非常階段に『キン』と冷たく響いた。



2階。

シン(物音…絶対気のせいじゃない。と思いたい。どうしよ自信なくなってきた。)

銃を構えながら多くの死体が転がっている一室を見るが、なにもない。

隣の一室もみるが、あるのは死体だけ。

シン(あと一室…ここもなにもなかったら…

耳鼻科行こう。)

最後の一室を恐る恐る開ける。相変わらず見えるのは多くの作業デスクと死体だけ。シンは隅々まで見て回る。

シン(いや、机の下とか)

屈んで机の下を見る。だがコンセントしかなかった。

ため息をつき、(近くの耳鼻科ってどこだっけな)と考えながら立ち上がると─

─ナイフが頬をかすめた。薄皮1枚だった。

ナイフが飛んできた方向を見ると、そこにはガスマスクを付けた大男が立っていた。

大男が視界に入った瞬間シンは発砲した。



アジトの門。

吉田「じゃあもうわかった、俺らは帰ってくる辰巳会の残りを待ち伏せすりゃいいだろ?今中にいる人らは敵が帰ってきても気づかないぞ。これなら全員で戦ってることになるよな?」

荒川「…なるほどな!!お前賢いな!!そうしよう!!」

吉田「白石さんから応援呼べって来てたから呼んどいて」

荒川「おう!!」

アジトの入り口のドアが開く。

鈴木「よ」

荒川「鈴木!!毒ガスは大丈夫だったか?!」

鈴木「体調悪くなったから降りてきたんだ」

吉田「大丈夫か?」

鈴木「本当は降りたかっただけ(小声)」




3階。

秋野「飛べ!!」

3人は割れた窓から咄嗟に身を投げる。

先ほどまで聞こえていた音が『ピー』という音に切り替わり、3人の背後でアジト全体が一瞬昼間のように明るくなったかと思うと─

─耳をつんざく轟音と共に凄まじい衝撃波が駆け抜けた。宙に浮いた3人は爆風により吹き飛ぶ。壁が裂け、床が波打つ。天井が崩れ、瓦礫が雪崩のように降り注ぎ階層ごと押し潰していった。アジトは、一瞬にして原型を失った。




シン「…なにがどうなって…」

ほんの数秒前まで作業デスクと死体で埋め尽くされていた一室は、瓦礫にまみれていた。

シン(…地震??)

体全体が痛むが、奇跡的に押し潰されることはなかった。

シン(これ骨いってね?治療痛いよな最悪だ)

左腕を押さえながら立ち上がると、瓦礫の下敷きになっている大男が見えた。

シン(ラッキ〜勝手に死んでる!うわ、これどうやって出ればいいんだ?)

入ってきたドアも窓も、すべて瓦礫によって塞がれていた。

すると、『ゴトゴトゴト』

瓦礫の山が不気味に動いた。

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