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第12話:音

爆弾を体に巻いた数十人が、岡村たちに向かって走っていく─

─屋上班が放った銃弾に1人が当たった瞬間、ドカン!と爆発。その爆発で1人、また1人と連鎖する。

ドガァァン!!

大爆発を引き起こした。埃を混ぜた爆風と鼓膜を刺激する音が岡村たちを襲う。



先ほどより大きな轟音がアジト全体に響き、大きく揺れた。天井からはポロポロと何かが落ちてくる。

三浦「やばいな、本当にアジト壊すつもりちゃうか?どうする」

3階へ行く階段で地上班は止まっていた。

荒川「おい!!さっきからなんなんだ!!」

吉田「2階終わったんすね、おつかれっす」

同伴者A「とりあえず進め。崩れたらそんときだ」

吉田「え、まじすか水野さん」

水野「何か案があるのか?」

吉田「いいや…でも崩れる恐れがあるなら少しでも生き残る方を選んでは?俺たち今なら逃げれますよ」

荒川「は?!仲間見捨てんのかテメー!!」

勢いよく掴みかかる。

吉田「なんだよ、全滅よりマシだろうが!」

同伴者B「俺は進む。言っておくが、死ぬのが怖えなら生き延びたとしてもお前はこの先やっていけない。」

吉田「ハァ…死ぬのが怖いんじゃなくて合理的な判断を…もういいっす、俺は降ります」

掴んでいる荒川の手を振り払い背を向ける。

荒川「待てよ!!」

荒川は吉田の背中を追いかける。

同伴者B「他も怖いなら降りていいんだぜ」

全員無言で階段を上がっていく。



爆発による耳鳴りに加え目が眩み、立っていられない屋上班。

藤原「大丈夫ですか?!」

5階から降りてきた2人。

佐々木「立てますか」

岡村「…生き残りがいないか探してこい、俺らはしばらく動けない。」

佐々木「了解です。あとすみません、黒峰会の情報は何も得られませんでした」

岡村「一旦いい、目の前の任務に集中しろ」

佐々木「はい」

奥に進む佐々木と藤原を映した岡村の瞳は瞼で隠される。

すると奥のドアから唯一爆弾を体に巻いていない男が姿を現した。姿が見えた瞬間に佐々木が発砲する。

─男は手袋をはめた手で銃弾を受け止めた。確実に当たったはずなのに、敵には血も傷も痛がる様子も見られなかった。

藤原「なんで?怖。」

男「爆発巻き込まれなかったのか。めんどくさ。」

大きく息を吸った男に一気に距離を縮められ、拳が藤原の顔の前に。当たる寸前機械音が男から鳴ったかと思うと、異常なスピードの拳が顔に直撃する。藤原は吹き飛び、なんとか意識を保つが血とふらつきは抑えられない。また男が大きく息を吸いこむ。その動作に気づいた佐々木は構えたが、次の瞬間には機械音のする蹴りが横腹を貫いていた。壁に叩きつけられ気を失う。

藤原「なんなんだお前…」

藤原は変な方向に曲がった鼻を押さえながら銃口を向ける。

男「すごいでしょこのスピード。義手義足改造したの。」

手袋を外し、鉄に覆われた腕を見せつける。その腕からは煙が立っていた。

藤原「反則だろ…」

意識が朦朧としながらも乱射する。今度は四肢ではなく胴体に直撃した。だが、またもや動じる様子は見られず。

男「じゃーん防弾ベスト。悪いけど俺は殺せないよ。」

藤原は気を失い倒れ込んだ。

屋上班、行動不能。

男「俺ってサイボーグ名乗れんのかな」

静かになった廊下で、謎の『シュー』といった風音がなっていることに気づく。

男「…?」



地上班。

階段から3階の床に足を踏み入れた瞬間、手榴弾が足元に転がる。

水野「下がれ!!」全員後ろに飛び、2階まで階段を転げ落ちた瞬間、バァン!!と爆発。床には大きな穴が開く。壁や天井さらには階段にもヒビが入り、今にも崩れそうな状況。

シン「痛ってえ…」

下敷きになったことで助かった者が数人。

三浦「大丈夫っすか?」

水野「…クソが。おい、階段が崩れる前に早く制圧してこい。3階ならそろそろ屋上班と合流できるはずだ」

同伴者B「俺らを盾にしやがって…」

秋野「勝手になったんでしょ?笑」

白石「動けるんは俺三浦シン秋野さんの4人だけか」

瀬戸「すぐ追いかけるから…」

三浦「無理せずに〜」

4人は仲間たちを背に階段を登る。

秋野「てかなんで攻めてこないんだろうね」

白石「そこが疑問すね」

シン「きっと俺らに怖気づいてるんすよ!」

三浦「怖いと思ってる相手に手榴弾投げるん度胸エグいやろ」

途中で止まり、様子を見る。

白石「どう攻めますか?」

秋野「うーん、とりあえず屋上班と連携取りたいね」

三浦「それが、さっきから無線機で信号送ってるんすけどなんも反応ないんすよね」

秋野「えーうそーやられた?」

三浦「可能性はあるっすね」

シン「やば!!」

白石「吉田さんに連絡します、外から見える状況を報告してもらいましょう。あと、遅いかもしれませんが応援要請を」

三浦「ナイスアイデア〜」

秋野が鼻を触り、天井を見つめる。

『シュー』

秋野「…攻めてこない理由分かったよ、息とめて。意味ないかもだけど」

三浦たちは困惑しながらも言われたとおりに息を止めた。ヒビの入った階段を慎重に登り、穴が空いた床を避ける。

すると見えたのは─

─敵全員が倒れている景色だった。

秋野「毒ガス蔓延。第一優先事項、窓割って換気、OK?」

3人は親指を立てて即座に行動した。



アジトの門で取っ組み合いをしている2人。

荒川「テメーふざけんなよ!!」

吉田「あーほんとダルいわお前。感情論でなんでもいけると思うなボケが」

荒川「あぁ?!」

そのとき、パリン!と何かが割れる音がした。2人は音のした方向を見上げると、暗くて見えにくいが窓を割る三浦たちの姿が目に入った。

荒川「おーーい!!なんで窓割ってんだ!!」

三浦が荒川たちに気づき、窓から身を乗り出して叫ぶ。

三浦「そこからでいいんで窓割ってください!」

吉田「なぜ?」

隣の割れた窓から乗り出す白石。

白石「アジト内に毒ガスが蔓延してます!協力してください!」

2人は目を見開き、顔を見合わせる。

荒川「おい吉田!!俺らのガスは上にいかねえっつったろ!?」

吉田「そのとおりだ、上にいくはずがない。なぜだ?」

三浦「とにかくお願いします!」

三浦たちは乗り出した体を引っ込めて中へと戻っていった。

荒川「おいガスグレネードの調整失敗したんじゃねーのか!!」

吉田「そんなわけない、グラム単位で造ったんだ。それにあの黒澤さんから教わった改造方法だぞ?」

荒川「わかんねーけどとりあえず割るぞ!!」

銃を取り出し、1階の窓から次々と割っていく。



─秋野班。

三浦「なんで毒ガスが?」

白石「1階を任せた2人のミスではないですよね」

口元を上着で覆いながら会話をする。

秋野「天井見てみ、小さな穴が空いててそこからは音もする。これは辰巳会の仕業だね」

白石「…ありえますか?仲間諸共殺すって」

三浦「てかシンはどこに?」

秋野「さっき瀬戸ちゃん…だっけ?が動けそうだったから向かわせたよ」


2階の階段。

シン「瀬戸さん柊さん!動けますか?」

瀬戸「うん!待たせたね!」

同伴者B「俺たちもな。盾にしたこと償わせてやる」

水野「地上班、復活だ」


秋野「行動不能の仲間がいたら外に連れ出すよう言っといた。けどまあ全員動けるでしょ、すぐ来るよ」

白石「さすがっす。ガスも薄まってきましたね」

三浦「階段で待ちます?」

秋野「そうしようか」

─すると、転がっている敵の死体から突然一斉に『チッチッ』と鳴り始めた。その上着からはみ出て見えたのは、爆弾だった。

秋野「走れ!!」

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