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第10話 モーマンタイ

銃弾が2人に飛ぶ──

─瞬時に屈んだ秋野と引っ張られたシンは銃弾を避ける。

が、額に血管を浮かべた同僚1が一気に距離を縮める。同僚5は仲間に被弾する可能性があるため撃つことができない。月光を反射する鋭利なナイフが、かがんだままの秋野を映す。

次の瞬間、秋野の背を飛び越えたシンの蹴りが同僚1のこめかみを振り抜く。上手く力が加わった蹴りは、相手の気を失わせた。

秋野「俺の指導のおかげだね」

同僚5は仲間に被弾する可能性がなくなった今、蜂の巣にする勢いでトリガーを引きまくる。遮蔽物がない二人は今まさに絶体絶命。

─秋野はシンを再度引っ張り自分の目の前に立たせた。幾つもの銃弾が、シンの腹を直撃する。

同僚5「本当に肉壁にするとはな」

シンは地面に膝をついた。シンの上から放たれた銃弾が額を貫く。血走った目のまま、同僚5は倒れ込んだ。

秋野「我ながら素晴らしい動きだった、君もそう思うだろ?肉壁ならぬ鉄壁くん」

鉄壁「mmmまじで怖かった…」

冬の朝のように口が震えるシン。銃弾が当たり、破れたスーツの奥には防弾ベストが見えた。

シン「防弾ベストってこんなに大丈夫なんですね。寿命が32年縮みました。」

秋野「あれ君3ヶ月目だよね、さすがに防弾ベスト渡されてるでしょ?使ったことなかったの?」

シン「渡されませんでしたよ」

秋野「…課長に嫌われることした?」

シン「いいや?」

秋野「もっと…媚びへつらった方がいいよ」

シンはホコリを払い立ち上がる。

シン「それよりどうしますか…?辰巳会に俺たちの存在知れ渡ってるって言ってましたけど、作戦決行って明日ですよね?」

秋野「まーね」

壁に寄りかかった秋野は笑みを浮かべていた。

シン「今応援呼んだとしてもここに着くまでに数時間掛かるし、この路地裏出ても防犯カメラと警備の目に映って死ぬし、ていうかこの路地裏に入るところ防犯カメラに映ってますよね?えこれ詰んでません?」

秋野「君ってそんなに考えられるんだ!」

シン「言ってる場合ですか?!」

秋野「俺がこの事態に気付いてないとでも?」

?「おつかれーっす」

─そのとき、路地裏の入り口から声がする。

シンは死ぬ覚悟と撃つ準備をした。

三浦「ちょいちょい俺や!銃降ろせ!」

シン「三浦さん?!なぜここに!」

白石「俺らもおんで」

瀬戸「生きてたー?」

柊「…」

シン「うわ、なぜ?!」

秋野「モーマンタイっつったろ?疑われてたのも防犯カメラで監視されてたのも全部気づいてたんだよ。ファミレスで明日の午前中って言ったけど、あれは監視カメラで見られてたからね。課長には今日の夜って伝えたから彼らが来たってわけ」

シン「秋野さん…!でもなんで俺に伝えてくれなかったんですか?」

秋野「だって君緊張で動けなくなりそうだし、俺の凄さ見せつけたかったし」

シン「なるほど…いや最後私欲すごいな」

秋野「セキュリティは解除済み、辰巳会は俺たち2人の対策網しか張ってないし、明日の対策準備で結構な人数がアジトから出てったから余裕で壊滅できるよ」

三浦「さすがっすね、シンちゃんと動けた?」

シン「いつセキュリティ解除したのかすら分かりません」

白石「秋野さん、俺たち地上班に着いてきてくれませんか?あとシンも」

シン「俺完全に後付けじゃないっすか…」

秋野「OK、行こう」


藤原「ちょ、岡村先輩待ってください」

壁のパイプ等をつたい、屋上を目指す。

岡村「早くしろ、お前何年目だ?足引っ張りやがって。この役立たずが」

藤原「すみません。」

佐々木「先行って大丈夫です、俺が連れていきます」

岡村は舌打ちを鳴らし軽々と先に進んだ。

藤原「佐々木〜ありがとな!」

佐々木「礼なんていいから、手足動かせ」

藤原「もうなんで俺屋上班なんだよ高所恐怖症だって言ったのに!!」

壁のパイプをつかみ張り付いている藤原の足は激しく震えている。佐々木はすでに屋上に着いており、上から指示を出す。

佐々木「今さら言ったって仕方ないだろう。その体勢のまま横に進め、下を見るな」

藤原「わかった、お前冷静だな…」

佐々木「藤原のバディはどうした?」

藤原「もうとっくに進んでるよ」

佐々木「バディと仲悪いのか」

藤原「そうなんだよ…佐々木のバディは?」

佐々木「俺のバディはさっきお前にキツく言ったあの人だ、岡村先輩」

藤原「そうだったのか、メンタルやられない?」

佐々木「俺良くも悪くも人の言葉真に受けないから」

藤原「見習いたいよ」

気を紛らわすように会話を続け、あとはジャンプで飛び移るだけ。

藤原「…無理じゃん」佐々木「いける」

手を合わせて祈る。

藤原「ジャンプ力足りますように!」

呼吸を改め、前屈みに。足を曲げ、腕を振り上げ、宙に浮く─

─藤原は見事、屋上に着地した。

藤原「うわ怖すぎだろ!!血の気が引くってこういうことか…」

拍手する佐々木「おめ」



同僚2「おい侵入者2人はいつ戻ってくるんだ?情報班が『情報を貰わないと明日の対策の仕様がない早く捕まえてくれ』とキレてるんだが」

同僚3「確かに遅いな。5分前程に1台だけ駐車場に入る車は見たが」

同僚2「…なんだと?防犯カメラに車は一度も映っていないぞ!」

同僚3「は?」

同僚4「落ち着け。防犯カメラの映像巻き返せ、俺も見る」

同僚2「はい、5分前に巻き戻しま」

同僚4「どうした」

同僚2の顔は蒼白で汗が滴り、指先は震えていた。

同僚2「今まで見てたの…1年前の映像でした…」

同僚4「……なぜだ、操作ミスか?」

同僚2「いいや、過去映像記録に切り替えた覚えはありません…車が入ってきてるなら、もう侵入者は戻ってきてる可能性が!」

同僚4「落ち着け、相手は2人だぞ。実働班も既に準備をしている。実害が出る恐れはない」

同僚6「情報班には気長に待っておくよう伝えましょう」

同僚7「休憩がてら屋上行って駐車場見てくるよ」

同僚4「頼む」

ドアに手を掛けようとした瞬間──

─勝手に開いた。

同僚7「は」

視界には見知らぬ顔に見知らぬスーツがずらりと並んでおり、銃口が向けられていた。

口を開く間もなく同僚7は撃ち抜かれた。

同僚4「!!攻撃準備!実働班に連絡しろ!!」



実働班1「…いつ来るんすかね」

実働班2「そのうち来る。」

入口で待ち伏せをする武装した実働班は、待ちわびた結果集中・警戒共に痺れを切らしていた。

入口から複数の足音がする。

実働班3「…相手2人じゃないのか?足音多いぞ」

実働班4「監視班から連絡が来ていない。アジトに帰ってきた誰かだ」そう言い、小型無線機を手に取る。

「こちら実働班。監視班、現況報告を」

「……」

実働班たちは顔を見合わせる。

「監視班?応答しろ!」

そのとき、入口のドアが勢いよく開く─

実働班の間合いに、何かが素早く入り込む。

入口から差し込む光になにかが反射した瞬間、実働班全員の首が胴体と切り離された。

三浦「さすが白石」

シン「すげー!!」

秋野「ワイヤー使い?やるね」

白石「あざす」

同伴者B「チッさっさと行けよ」

同伴者C「どけ」

わざとぶつかり先に進む。

三浦「態度悪いっすよ先輩方」

同伴者C「…三浦。お前最近調子乗ってんな、口に気をつけろよ。殺すぞ」

同伴者F「おい!!全員早く進め!!チンタラすんな!!」

その声で全員が侵入していく。

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