第1話:Sight
スコープの標準には、ビルの屋上から景色を眺めている人物が収められていた。
?「ターゲット捕捉」
次の瞬間──ピュンッという音がしたと同時に、標準に収められていた人物が膝から崩れ落ちた。静かな屋上にパシャリと音を響かせ、倒れている姿を写真に収める。
?「任務完了」
ジジッと無線の音。
無線の声「よくやった、シン」
シン「お安い御用です」
無線が切れた。
シン「新しいサイレンサー、全然音鳴らないな!良い買い物したぜ〜」
──彼は、殺し屋だった。
道路で手を挙げると、タクシーが停まった。
ドアがゆっくりと自動で開く。
運転手「おつかれ新人」
シン「お疲れ様です!黒澤さん!」
タクシーに乗り込む。
黒澤「任務どうだった?」
シン「問題無しです!」
黒澤「お前この業界に入って3ヶ月だよな、よくやるよ」
シン「ありがとうございます!まだまだ成長しますよ!」
黒澤「ははっ、張り切り過ぎんなよ」
シン「はい!」
和やかな会話に包まれたタクシーは、ネオンの光で照らされている都市に紛れ込んでいった。
タクシーがあるビルの駐車場に停まった。
シン「運転ありがとうございました!」
黒澤「いいってことよ。お前たち殺し課の送迎が俺の仕事だからな」
黒澤はまた車を走らせ、シンはビルへと入っていった。
『コンコンコン』、ノック音が響く。
?「入れ」
シン「失礼します」
中には煙草を咥え、整ったスーツを着ている人物が座っていた。
シン「任務遂行しました、課長」
そう言い、証拠写真を見せた。
課長「ご苦労、報酬金だ。」
封筒を受け取る。
シン(分厚いな…)
シン「ありがとうございます」
課長「どうだ、スナイパーは」
シン「最高です!新しくサイレンサーも買ったのですが、全く音が鳴らなくて!」
課長「…そのスナイパーは元から音は鳴らないぞ」
シンは笑顔のまま固まった。
課長「その銃に装填されているのは実弾ではなく神経毒の針だ。」
シン「…」
課長「…サイレンサー、いくらだったんだ?」
シン「……24万です…」
「……」
沈黙が流れた。
シン「失礼しました…」その場を後にする。
シンは両頬を自分の手で挟み叩いた。
シン(シャキッとしなきゃな!)
笑顔になった。
シン「…いや、24万は笑えねえ…」
真顔になった。
シンは自分の課に戻り、デスクに着く。
シン「お疲れ様です」
同僚たち「おつかれ」
報酬金を貰ったことを思い出し、封筒を覗く。目を見開き、取り出す。
シンは震える指で数え出した。
渋沢栄一を10枚ずつ並べると、
シン「52万…」
シン「…課長ミスったのかな、1人殺しただけでこんなに…過去最高額だ」
シンは封筒を抱え課長の元へ行った。
シン(わんちゃんホントに52万貰えるのかも…)期待に胸を膨らませていた。
課長「…あぁ、入れすぎたな」
シン「…………」
課長「悪い、50万だ」
シン「……え?」
課長「どうした」
シン「二万円しか減らないんですか?」
課長「あぁ」
シン「…ホントにこれ俺1人がもらっていいんですか?」
課長「あぁ」
シン「……本当に本当に」
課長「しつこい、殺すぞ」
その場を後にした。
シン(上げて下げて上げられたけど50万!!最高!!何に使おう!!とりあえず寿司だな)
自分のデスクに戻ると、書類が置かれていた。
シン「あぁ、別任務か」
その書類にはターゲット三人と、
任務同伴者1人が記されていた。
シン「…!?」
シンの顔面は蒼白になった。
シン(この同伴者…)
次から面白くなるのでぜひ読んでください。




