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第4話 波乱の兆し

 **


 ───────2か月後



 オレはなんとか遅刻せずに入学式に行けた。大分ギリギリでの到着だったため、先生から注意を受けたけど。

 今は学生寮で、同学年の人と2人部屋で暮らしている。


 前世でオレが通っていた学校は学生寮なんてものはもちろんなく、家から電車で通学していた。

 当然、同年代の人と同じ部屋で毎日過ごすなんてこと、あるわけがなかった。だから、こういう暮らしはとても新鮮で面白い。


 二人で色々ルールを決めて生活していくさまはまるで───────。




 いや、そんなことを想像して何になる?アレは叶わなかった未来だ。叶うはずもなかった。

『藤上 陽輝』は愚かだったんだ。だから───────捨てられた。



 仕方がないことなんだ、きっと。



 **



 ──────7月某日


 今日は、国立学院の生徒との交流会だ。


 オレが通っているのは王立学院で、現代では私立の学校にあたる。前世でも私立の中高一貫校に通っていたが、入学時からもう進路を決めたりはしないし、学校と行っても生活知識や領地経営を学ぶという点で、明らかに違う。


 ちなみに、オレは貴族上位のクラスにあたるエンペアロウ・エチュージョンに在籍している。

 こう見えて前世でも頭は良かった方なのだ。



 一方、国立学院は、現代では公立の学校にあたる。こちらは、シュベリオヴ(騎士)、ドメスティア(侍女)、バトルェフ(執事)の3科が、上位のイナーと下位のルーザーに分かれている。

 オレとしては騎士科、つまりはシュベリオヴに興味がある。前世でも応援団のようなものをやっていたし、どうやって鍛えているのか知りたい。



 ちなみに、オレのクラスはシュベリオヴ・イナーと交流することになっている。

 ああ、どんな人たちが来るのだろう。楽しみだな。



 **



「いいですか、貴方がたは王立学院の一員、しかも貴族クラスの上位であるエンペアロウ・エチュージョンの生徒なのですよ。くれぐれも、()()()()()、王立学院の方々に失礼のないようにするのです。分かりましたね?」








 ───────いや、何回目、これ?


 かれこれ20分ほど同じ話を延々と聞かされている。最初の方は真面目に聞いていた人たちも、表には出さないがどこかうんざりした様子だ。




 まあとにかく話が長い。長すぎる。

 なぜ同じことを何回も何回も言うんだ?別に「Repeat after me.」って指示されてるわけでもないのに。

 しかも、自分で言うのもなんだが、僕たちは貴族上位クラスのエンペアロウ・エチュージョンなのにそんなに信頼されてないのだろうか?それはそれで悲しいが。

 大きい欠伸が出そうなのをさっきから頑張ってこらえているオレ、偉い、偉いよ本当に。



「ベスティーレ先生、そちらの準備は整いましたでしょうか?我々はもう大丈夫です!」


「あら、もうそんな時間なのですか。分かりました、ご報告感謝いたしますわ、アズノーバフ先生。さて皆さん、行きますわよ」





 ───────やっと解放された!!!!ありがとうございます、アズノーバフ先生!!!国立学院の先生とは関わりがないからあまり知らない人だけど!!


 **


 ■■■side.



 今日は王立学院の生徒との交流の日だ。王立学院には、俺の愛する藤上がいるはずだ。






 やっと、やっとだ。


 藤上が生を諦めたあの日から、世界の全てが灰色に見えた。生きる意味を失ったと思った。

 食事はのどを通らず、何をするにも無気力で、動くのさえも億劫だった。






 ある日、双子の妹から知らされた。藤上の魂は別のセカイで生きているのだと。




 これ以上ないほどに歓喜した。信じてもいない神にも感謝した。






 会いに行くから、待っていろよ、藤上 陽輝。俺が絶対にお前を助けてやる。

読了ありがとうございました。

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