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第一話

初めて金銭だしたので価値をこちらに書いておきます。

1トルは日本円で100円です。

1ゼントが日本円で10円です。よろしくお願いします。


リビーの支度を手伝ったあとは、ついに街へ向かう時だ。

正直に言って姉妹二人で仲良く買い物をするときに護衛がいるのは邪魔だけど、仕方のないことだ。わたしたちはまだか弱い少女だから。特に私達みたいに、お忍びでやってくる貴族のお嬢様は、誘拐されるリスクが高まる。この国は特別治安が悪いわけじゃないけど、治安が良いとはお世辞にも言えない。護衛がいない街散歩は危険極まりないのだ。


「お嬢様、つきましたよ」

もうついたんだ。リビーは窓の外を見て目をきらきらさせている。

貴族の馬車はやはり特別仕様だ。全然揺れないし音もうるさくないし、こころなしかちょっと早い気がする。

馬車から降りると、護衛が私にひっそりと耳打ちした。

「お嬢様...本当にあの私生児と一緒に出かけるのですか?お嬢様まであらぬ噂を立てられてしまいますよ」

それにムッとした私は、すぐに反論する。

「それがどうしたの?別に私はそんなくだらない噂建てられたってどうだっていいわ」

護衛は私のきつい物言いに、不服そうに黙る。

まだ言いたいことはあったけれど、視界の端に馬車の中で心配そうに様子を眺めるリビーが見える。リビーが険悪な雰囲気を感じ取ってるみたい。このくらいにしないと、不安がらせてしまう。

「...お姉様?」

「そうね、そろそろ行きましょう?」


馬車を降りた後も、リビーはまだ心配そうだ。優しいリビー。それなのに、どうして復讐に走ってしまったんだろう。

いや、考えてみれば必然だ。リビー自身は何一つ悪くないのに、周りにこんなふうに疎まれ、虐げられてきたんだから。そんなこと絶対にあってはならないことだって、私でもわかる。

そんななかで、何年も何年も過ごしてきたなんて...

突如、服の袖を引っ張られる。それでやっと私の意識は現実に戻ってきた。

「聞いてる?お姉様」

「えっ?!ごめん、考え事をしちゃってたわ...」

リビーと折角のお出かけなのに、私としたことが!このことはまた後で考えることにしよう。

「...仕方ないからもう一回言ってあげる!私、あれ食べたい」

リビーが指差す先には、ホットドッグがあった。

「あ、これ!」

私がリゼだった頃、大好きだった食べ物だ。とはいえ、ラヴィアだったときに食べたことはない。

だから、あんまりこういう反応をしちゃいけないのに...つい口が動いてしまった。

「お姉様知ってるの?どんな味がするの?」

「し、しらないわ!ただ面白い見た目だと思って...」

「そっか。まるで知ってるみたいな反応するから、知ってるのかと思っちゃったわ!」

鋭い。そう、確かに私は知ってる。知ってるけど...今この立場と段階で知っててはいけないの...

わからないけど、リゼだったときのことや、この人生を送るのが2回目だってことも、周りにバレてはいけない気がするから。

「じゃあ、買ってみる?今日は多めにお小遣いを持ってきたから、お腹いっぱい食べましょう!」

私がそう声をかけると、リビーは嬉しそうに頷く。可愛すぎる。


ホットドッグを買った後、リビーはあっという間に平らげてしまい、なんとおかわりホットドッグまでしてしまった。

「美味しかった!」

終始可愛いリビーに顔が緩む。ホットドッグ2個で10トルは高い気がするけど、そんなのがどうでも良くなるくらい可愛い。


でも、さっきから違和感がある。護衛の気配がしないのだ。そんなのおかしい。いつも近くにいて、しつこいぐらいつきまとってくるのに。

「リビー、なにかおかしいわ...護衛がついてきてないみたいなの...まだどこも回れていないけど、一旦馬車に戻りましょう」

「え?わかった...お姉様がそういうなら」

困惑するリビーの手を引き、馬車のところまで走る。

するとなんと護衛は馬車の前に突っ立っていた。

「あなた、どうしてここで突っ立ってるの?!」

「...」

イライラする。リビーを連れて歩いていなかったら、あるいは私が強い剣士だったら文句の一つも言わずに護衛無しで歩き回るけど。私もリビーもまだ小さい。なのに自分の仕事も放棄するなんて。

「ありえない。主人のことを守れずに何が護衛?あなたふざけてるの?!」

「お姉様、落ち着いて...」

「そんなの無理よ!護衛がいないのに気づかずそのまま歩き回ってたら、悪い人に捕まって、そのまま私達は死んじゃってたかもしれなかったのよ!」

死、という言葉を聞き、リビーがハッと目を見開く。その表情から、怖がらせてしまったことを察する。ごめんなさい、リビー。でも、このふざけた護衛を見逃すことは出来ない。

護衛は依然反抗的な顔をしていて、反省する気はないみたい。

「もういい。ついてくる気がないならいいわ。でも、もしこのまま自分の役目を果たさないようなら、お母様とお父様に報告するから。このまま私達二人だけで歩き回って、誘拐でもされたら、あなたにはどんな処分が下されるのかしら?楽しみね」

ここまで言ってやっと自分の愚かさに気づいた護衛は、申し訳ありませんと小さく呟くと大人しくついてくるようになった。

信じられない。本当にこんなのを侯爵家が護衛として認めたの?

「お姉様...大丈夫?」

リビーを見ると、ついさっきまで燃え上がっていた怒りの炎すら静まってしまう。

そう。こうやって一緒にお出かけできることは滅多にないこと。次がいつになるかもわからない。

あんなのに怒っている場合じゃないんだ。

「もう大丈夫。心配なんてしなくていいの、買いたいものや食べたいものだけ見ていていいのよ」

このひとときを楽しまないと。とりあえず護衛はきっと護衛として機能してくれるだろうし。まあ、その腕前には疑問が残るけど。


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