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マッチングアプリで最強パーティを作った結果!!!  作者: MMM
エルディア魔塔国編

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春風と冷気の交錯-2

 と、その時――背後から低く笑う声が響いた。その笑いは、石造りの広間に反響し、まるで古い戦場の残響のように重く響いた。

「ほう。イェブールか。奇遇だな、レオン」

 振り返ると、そこにグラハムが立っていた。大柄で筋骨隆々、そして何より腕にある大きな傷痕がトレードマークの男。その傷は、過去の戦いの記憶を刻んだ勲章のように、光を受けて鈍く輝いていた。

「あれ、グラハムさん?」

「なんだ、お前らもイェブール行きか?」

「ええ。そちらも?」

 声をかけると、グラハムは満足げにニヤリと笑い、手をポンと叩いた。その仕草は、まるで戦場に向かう前の兵士が仲間を鼓舞するような力強さを帯びていた。

「おうよ。依頼板を見てたらよ、イェブール周辺の討伐依頼が数だけやたら多いからな。どうも気になってよ」

「なるほど……」

 カインが目を細める。銀の瞳が冷たい光を宿し、思考の深みを映していた。


「冬の終わりは魔物が動く時期よね。獲物が動き始めるから」

 リリスが軽くうなずく。紫の髪が揺れ、彼女の声は軽やかだが、その奥には鋭い直感が潜んでいた。

 そして――グラハムの後ろに、彼の“仲間”である二人の冒険者が立っていた。

 筋肉・傷跡・肩幅、全部ほぼ同じ。まるで鏡に映したかのように、グラハムが三体並んだようにしか見えない。だが、その眼差しは真摯で、礼儀正しさが彼らの存在を引き締めていた。

「グラハム殿の知己とあれば、われわれも力を尽くそう」

「よろしく頼む」

 それぞれ低い声で名乗りを上げてきた。声は低く重く、石床に響く太鼓のようだった。


「こいつらも一緒にだ。……まぁ、見てのとおりだが性格はまともだから安心しろ」

「見てのとおり、っていう自覚はあるのか……」

 リリスが笑いを堪える。笑いは焚き火の火花のように一瞬弾け、すぐに消えた。

 

 そんなやり取りが終わったところで、奥から重い足音が響いてきた。その足音は、石造りの床を揺らし、空気を震わせる。

「また賑やかな声だと思ったら……お前らか」

 ギルドマスター、ガラハッド・ストラウス。鋭い眼光と巨体、そして圧倒的な経験値を感じる男。

 エルザの叔父だが、本人はほとんど口にしない。その姿は、まるで古の巨岩が歩み出したかのような威圧感を放っていた。

「ギルドマスター、おはようございます」

「おう、エルザ。それにレオンたちもか。……何か大きな動きか?」

「イェブールへ向かうことになりました。オーケルベーレ辺境伯からの依頼で」

 レオンが言うと、ガラハッドは腕を組んで唸った。

「……ふむ、あの辺り、最近魔物が妙に増えているという報告があったというのは知っているな。お前らのような実力者が向かうなら安心だが……油断はするな」

「わかっています」

 エルザがきっぱりと答える。凛としたその姿を、ガラハッドは満足そうに見つめた。その眼差しは、血の縁を超えた信頼を宿していた。


「それで、グラハムたちもイェブール行きか?」

「ああ。討伐依頼が山ほどあるんでな。稼ぎどきってわけだ」

「……なるほどな。ま、あちらはあちらで勝手に動くだろうが、お前ら同士で協力するのも悪くないだろう」

 その言い方はぶっきらぼうだが、根底には信頼がある。言葉の奥に、戦場を共にした者だけが持つ絆の響きがあった。


「では、しばらく王都を留守にする旨、ギルド本部の方で記録をお願いします」

 レオンが言うと、クロエが頷いて帳簿に記入を始めた。

「登録完了しました。皆さま、どうかご無事で」

「ありがとうございます」

 こうして手続きを済ませてギルド本部を出ると、外の空気はさっきより冷たく、しかしどこか澄んでいた。冬の名残を含んだ風が頬を撫で、遠く北境からの呼び声のように感じられた。


「さて……」

 レオンは仲間たちを見回す。

 リリスは背伸びをし、エルザは大剣の柄に手を置き、カインは無言で杖を軽く地面に当て、セシリアは微笑んでローブを整える。そして後ろには、筋肉三兄弟……いや、グラハムの仲間たちも揃っている。

「なんだか大所帯になったねぇ」

「少し騒がしいですが……まぁ、心強いですよ」

 セシリアの言葉に、エルザもうなずいた。

「どうせイェブールでは何かしら起こる。人数が多いのは悪いことじゃない」

「では、急ぎ準備を整えて……出発とするか」

 そう言うと、カインが静かにこちらを見る。

「――目的は明確です。帝国への橋渡しのため、イェブールへ先行して待機する。それが最優先事項ですね」

「ああ。道中の魔物も増えているらしいし、相応の覚悟が必要だ」

「とはいえ、私たちなら大丈夫でしょう?」

 リリスが笑って肩を叩く。

「そうだな。……なら決まりだ」

 仲間たち、そしてグラハムたちの視線が一斉に俺へ向けられる。その視線は、まるで未来への扉を押し開く力を宿していた。


 王都での準備も整い、ギルドへの挨拶も済ませた。ならば、もう迷うことはない。冷たい風が吹き抜ける街路の先に、北境イェブールへの道が確かに続いていた。

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