表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マッチングアプリで最強パーティを作った結果!!!  作者: MMM
エルディア魔塔国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

414/527

春風と冷気の交錯-1

 王都ルミナスは、晩冬と初春が入り混じる、なんとも落ち着かない季節に包まれていた。

 街路樹はまだ寒さに震えているのに、吹き抜ける風だけは妙に軽く、冬と春がせめぎ合う境界のような空気。石畳には雪解け水が細い筋を描き、朝の光がその水面に反射して揺らめいていた。

 そんな中で、レオンは仲間たちとともにギルド本部へ向かっていた。


「にしても、ギルド本部って何度見てもデカいよなぁ……」

 リリスが腕を伸ばしながら、白亜の建物を見上げる。紫の短髪が、朝日の反射でうっすらと光っていた。その声は軽やかだが、巨大な建物の前では小鳥のさえずりのようにかすかに響く。

「ふふ、王国の威信の象徴ですからね。……こうして見ると、やっぱり凄い建物です」

 セシリアが柔らかな声でつぶやく。深紺のローブが風に揺れ、その姿がなんとなく神々しい。彼女の言葉は、石造りの壁に刻まれた歴史を讃える祈りのようだった。

「建築技術としても興味深いですね。防御的構造が随所に配置されている。……戦時を想定した造りですよ」

 隣でカインが冷静に分析する声が響く。銀髪が朝光を反射して冷たい輝きを放っていた。その分析は、建物の威容をただの美ではなく、力の象徴として浮かび上がらせる。

「まぁ、何にせよ……用件を済ませるのが先だ。オーケルベーレの使者から連絡が来た以上、領都イェブールへ向かう準備を整えなければならない」

 レオンは歩みを進めながらそう言う。その声は、仲間たちの心を一つに束ねる鎖のように確かだった。

 エルザが大剣の鞘を軽く叩きつつ前をゆく。

「叔――ゴホン、ガラハッド様には一応ご挨拶しておかないとね。どうせあとで問い詰められるから……」

「その“叔”って言いかけたの、絶対あとで本人にバレるわよ?」

「言いかけたというか、ほぼ言ってたよな?」

「まぁ、聞かなかったことにしてやるよ」

 そんな軽口が飛ぶあたり、これまでの冒険での疲れはみんな抜けてきたらしい。笑い声が冷たい風を押し返し、季節の狭間に小さな春を呼び込んでいた。



 ほどなくして、ギルド本部の巨大な扉が目の前に現れる。

 石造りの壁に刻まれた黄金の紋章は相変わらず輝いており、冒険者の聖域と呼ばれるだけの風格は十分だった。その輝きは、朝の光を受けてまるで太陽の欠片のように眩しく、訪れる者の心を引き締める。


 扉を押すと、中は暖房の暖かさと人いきれ、そしていつものざわめきに包まれていた。

 外の冷たい風とは対照的に、ここは熱気と活気が渦巻く場所。剣の音、笑い声、依頼書をめくる紙の擦れる音――それらが一つに混ざり合い、冒険者たちの鼓動を形にしていた。

 その受付に――

「あっ、レオンさんたち。いらっしゃいませ」

 自然なウェーブのあるダークブラウンのロングヘアを揺らしながら、クロエが落ち着いた笑顔で迎えてくれる。いつ見ても丁寧で柔らかい雰囲気の女性だ。彼女の微笑みは、ざわめく空気を静かに整える灯火のようだった。

「クロエさん、少しお伝えしたいことがありまして」

「はい、伺います。レオンさんたちが揃っているということは……何か大きな依頼ですか?」

「いえ、依頼ではなく……領都イェブールへ向かうことになりました」

 レオンがそう告げると、クロエは目を瞬かせた。その瞳に映る驚きは、春の芽吹きに触れたような淡い揺らぎだった。


「イェブール、ですか?北の国境の街ですよね」

「オーケルベーレ辺境伯からイェブールに行ってほしい、と話がありまして」

「なるほど……事情はわかりました。皆さまの実力であれば安心ですが、道中には魔物も多いので、どうかお気をつけて」

 そう言うクロエの言葉は、気品と気遣いが入り混じったものだった。その声は、冬の冷たさを和らげる春風のように、仲間たちの心に温もりを残した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ