表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マッチングアプリで最強パーティを作った結果!!!  作者: MMM
エルディア魔塔国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

410/493

王国北部のざわめき-1

 ギルドマスター室での報告を終え、重厚な扉を閉めた瞬間――それまで張りつめていた空気が、ふっと軽く解き放たれた。まるで長い冬の夜が終わり、朝の光が差し込んだかのように、肩にまとわりついていた重圧が少しずつ溶けていく。

「ふぅ〜……なんか、肩こったぁ……」

 リリスが伸びをしながら、通路を歩く一行の先頭にぴょこんと飛び出した。その仕草は、閉ざされた空気を破る小鳥の羽ばたきのようで、仲間たちの緊張を和らげる。


 午後の光が窓から差し込み、古びた壁飾りを照らし、床石に淡い反射を落とす。

 光は静かに揺れ、長い影を伸ばしながら、レオンたちの歩みを導いているようだった。

 レオンは歩きながら、何度か深呼吸をしていた。

 ガラハッドの前で気を抜いたことはほとんどない。相手の視線が重くても、あの人は「ただ重いだけ」ではなく、「責任の重さ」をまとった重さだ。――だからこそ、気を抜けない。


 エルザはきゅっと背筋を伸ばしたまま、控えめに息を吐く。

「叔……ギルドマスター、今日はいつもより優しい表情だった気がします」

「『今日は』じゃなくて『レオンたちの報告が思ったより深刻だった』のほうじゃない?」

 リリスの言葉に、エルザがむっと頬を膨らませた。

「別に、そんなこと……」

「あると思うわよ」

 横でカインが淡々と断言する。あいかわらず表情は薄いが、微妙に口角が上がっているのが分かる。

「レオンが冷静にまとめて説得力を持たせてたし、セシリアは安定して空気和らげてたし……エルザも真面目さで場の芯を作ってた。ギルド側も、あなたたちの成長を見たってことよ」

「そ、そう……なのかな?」

 少し照れたようにエルザが目線をそらすと、セシリアがくすりと笑う。

「ふふ、大丈夫ですよ。ガラハッドさんは、いつも私たちのことを気にかけてくれています」


 柔らかい声が通路に響き、レオンの肩から力が抜ける。

 その響きは、冷たい石造りの壁に春の風を吹き込むようで、仲間たちの心を温めた。

 ――本当に、この四人と一緒でよかった。そう思う瞬間だった。



 カウンターのある広いホールに戻ると、さっきよりも少し人が増えていた。

 冒険者たちの声、装備の金属音、依頼書をめくる紙の擦れる音――それらが一つに混ざって、独特のざわめきを作っている。そのざわめきは、まるで大きな川の流れのように絶え間なく続き、レオンたちを現実へと引き戻した。

 すると、リリスが何かに気づいて足を止めた。

「ねぇ、レオン。あそこの依頼板……」

 レオンも視線を向ける。


 依頼板の右側、討伐系の依頼が張り出されるエリア――そこに、見慣れた地名がずらりと並んでいた。

「……イェブール?」

 エルザが目を瞬いた。

 イェブール――王国北境のメルセドーラ辺境伯領の中心都市。シィグルダ帝国との境にあり、交易と軍事の要衝でもある土地だ。その名は、冷たい風と鋼の匂いを伴って響く。


「こんなに数が多いの、珍しくない?」

 リリスが依頼板の前で首をかしげる。

 見ると、魔物討伐の依頼が集中している。

 イェブール北方の山岳地帯、国境沿いの警備路、農村周辺の森――それぞれに魔物出現頻度増加の文字。紙片に記された文字は、まるで不吉な鐘の音のように並び、読む者の心をざわつかせる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ