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最強パーティの決意と新たな試練

 ギルドの執務室を後にしたレオンたちは、一時的に宿へ戻っていた。

 窓から差し込む夕陽が彼らの影を長く伸ばし、部屋には静かな緊張感が漂っていた。 


「……改めて考えると、私たち、本当にヤバい状況にいるわよね」

 リリスがベッドに腰掛け、小さくため息をつきながら言った。

「そうね……敵対勢力が存在し、私たちの行動が監視されている可能性も高い」

 カインが落ち着いた声で冷静に分析する。

「でも、これで確信した」

 レオンは拳を握りしめ、目の奥に揺るぎない決意の光を宿した。

「俺たちがただの冒険者ってわけじゃなくなったんだ。ギルドの正式な支援は受けられなくても、自分たちの力で真実を突き止めるしかない」

 セシリアが静かに微笑んだ。

「レオンの言う通りですわね。選ばれた者かどうかに関係なく、私たちはもう後戻りできませんもの」

 レオンは深く頷く。


「これからどうする? 何か手がかりがあるの?」

 リリスが尋ねると、カインがいくつかの古文書を広げた。古びたページにはかすかなインクの匂いが漂い、静かな空気が室内を包み込んでいた。

「まだ確証はないけれど……この書庫の記録には、ゼルヴァ王国に関する記述がいくつかあった。すべての謎を解くには、さらなる情報が必要ね」

 カインは慎重に古文書のページをめくりながら続けた。

「なら、次の行動を決めないとね」

 リリスは椅子に腰掛け、足を組みつつ少し挑戦的な声色で言った。


「まずは、これまでの情報を整理しましょう」

 セシリアが穏やかに言った。

「選別機能が存在することは間違いない。そして、俺たちはその対象になっている可能性がある」

 レオンは軽く息を吐きながら頷く。

「それに加えて、敵が私たちを排除しようとしている」

 カインが鋭く続ける。

「となると、今後どう動くかが重要ね」

 リリスが椅子に腰掛け、足を組みつつ静かに言った。

「そうだな……エルザがいない今、戦力的にも不安が残る」

 レオンは腕を組み、エルザの不在がもたらす重圧を感じながら呟いた。

「エルザがいれば、戦闘のバランスも取りやすいんだけどね……」

 リリスが少し遠くを見つめながらぽつりと呟く。

「でも、彼女が戻るまで待つわけにはいかない」

 セシリアが真剣な表情で続ける。

「今、私たちができることをやるしかないわね」

「……そうだな」

 レオンは深く頷く。


「次の目的地は決まったの?」

 リリスが問いかけると、カインが地図を広げた。部屋の窓から差し込む微かな光が地図を照らし、静かな緊張感が漂っていた。

「ギルドの書庫にあった情報によると、ゼルヴァ王国の遺産に関する手がかりは、古代の遺跡にも残されている可能性がある」

 カインが冷静な声で説明する。

「遺跡か……場所は?」

「ルミナスの東、山岳地帯にある“封印の谷”と呼ばれる場所よ」

「封印の谷……なんか物騒な名前ね」

 リリスが少し眉をひそめながら苦笑した。その名前は、過去の争いと王国の滅びを暗示しているかのようだった。

「そこには、ゼルヴァ王国の最期にまつわる遺物が眠っていると言われているわ」

「なら、行くしかないな」

 レオンが力強く言った。

「準備を整えて、明日出発しよう」


 そうして、レオンたちは次なる目的地へと進む決意を固めた。



 しかしその夜、レオンのスマートリングが静かに振動した。宿の窓には静かな夜の闇が映り、リングの光が部屋を淡く照らしている。


【第二段階の起動を確認。新たな適性診断を開始】

 画面上のキャラクターは、一瞬ふわふわの耳をピクッと動かしながら少し驚いた表情を見せるが、その後、にっこりと笑顔を浮かべ、持っている魔法の杖を勢いよく振る。杖の先端からはキラキラと輝く星屑のエフェクトがふわりと舞い上がり、画面に向かって虹色の光が広がる。

 「やったね!第二段階の起動を確認したよ!」 キャラクターは元気いっぱいの声で伝え、両手を元気よく振りながらその場で小さく跳ねる。その動きとともに、大きなピンクのリボンが愛らしく揺れ、ふわふわの毛並みも軽やかに動く。


「……また、アプリか」

 レオンは静かに画面を見つめ、その瞳にわずかな警戒心が宿った。

「これは……どういうこと?」

 セシリアが覗き込み、その声には不安の響きが滲んでいた。

「アプリが、新しい適性診断を開始した……?」

 カインが低く呟き、画面に視線を走らせた。

「まさか、何かが変わるの?」

 リリスは言葉を呟きながら、その瞳にかすかな緊張を浮かべていた。

「……これは、俺たちの次の戦いの幕開けかもしれないな」


 レオンはスマートリングを握りしめ、冷たい感触の中に覚悟を滲ませた。


「明日からの行動が、ますます重要になるわね」

 カインが慎重に言うと、部屋の空気が引き締まった。

「そうね……。もしかすると、アプリは私たちをどこかに導こうとしているのかもしれない」

 セシリアの言葉に、一瞬沈黙が流れた。

「でも、どんな意図があるにせよ、アプリの指示には従わない。私たちは私たちのやり方で進む」

 リリスが拳を握りしめながら強く言う。

「そうだな。これは俺たちの戦いだ。アプリに操られるつもりはない」

 窓の外には夜の静寂が広がり、その闇に向けてレオンは鋭い視線を送り、力強く頷いた。


 新たな試練が、すぐそこまで迫っている。

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