表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/298

ギルドの異変と魔物の暴走

 ギルドの広間では、混乱が広がっていた。

 レオンたちが駆けつけると、数体の魔物が暴れまわり、ギルドの職員や冒険者たちが必死に応戦している。


「クソッ、ギルドの中にまで魔物が入り込むなんて……!」

 レオンは剣を抜き、リリスがすかさず短剣を構えた。カインは魔法の詠唱を始め、セシリアは即座に治癒の準備を整えていた。

 ギルドの床には魔物の爪痕が残り、崩れた家具が散乱している。その中で職員たちは必死に避難し、冒険者たちは汗を滲ませながら戦っていた。


「こんなところで戦闘になるなんて、思ってもみなかったね!」

 リリスが苦笑しながらも、素早い動きで魔物の懐に入り込み、短剣を振るった。だが、魔物の目が一瞬赤く輝き、動きを揃えて反撃に出た。

「おかしい……動きがバラバラだが、時々妙に統率されている……」

 カインが眉をひそめながら魔法を放つ。雷の魔法が魔物を直撃し、火花と共に床が焦げる。しかし、魔物は怯むことなく再び向かってきた。

「やっぱり、これはアプリの異常と関係があるのか?」

 レオンが剣を振るいながら、周囲の状況を確認する。ギルドの冒険者たちも戦っていたが、全員が苦戦している。

「くそっ……エルザがいれば、前線をもっと安定させられるのに……!」

 レオンは歯を食いしばった。防御を担う存在がいないせいで、戦線が乱れがちだった。

「レオン、考えるのは後! 今はこの場を何とかしないと!」

 リリスが声を張り上げる。彼女の短剣が一閃し、魔物の喉を裂いた。


 そこにギルドマスターのガラハッドが、巨剣を構えて戦場に飛び込んできた。

「全員、落ち着け! 冷静に連携を取れば対処できる!」

 ガラハッドは一閃で数体の魔物を薙ぎ払い、冒険者たちの中心に立った。その堂々たる姿に、冒険者たちは次第に士気を取り戻していった。


 だが、レオンたちはすぐに異変に気づいた。

「魔物の一部が、まるで何かを守っているような動きをしている……?」

 カインが観察しながら呟く。その視線の先には、ギルドの奥にある重厚な鉄扉——地下書庫への入口があった。鉄扉は鈍く光を反射し、周囲には異様な冷気が漂っているように感じられた。

「まさか、地下書庫に何かあるのか?」

 その言葉に、ガラハッドが険しい表情を浮かべた。

「……この襲撃、ただの偶然とは思えんな。」


 レオンたちは魔物を倒しつつ、地下書庫の扉へと近づく。しかし、その瞬間——

「全員伏せろ!!」

 エドモンドの鋭い声が響いた。


 次の瞬間、魔物の一体が爆発するように四散し、黒い霧が周囲を覆った。霧は肌にまとわりつき、視界を奪い、冒険者たちの息が荒くなっていく

「っ……なんだこれ!? 体が重い……!」

 レオンが膝をつきそうになる。周囲の冒険者たちも次々と倒れ込んでいった。

「これは……瘴気の魔法!?」

 カインが驚愕の表情を浮かべる。


「レオン、大丈夫ですか!? 皆さん、光の加護を——!」

 セシリアが即座に浄化魔法を唱え、光が広がると、霧が次第に薄れていく。

「助かった……! だが、この魔物たち、ただの野生種じゃない。誰かが意図的に仕向けた可能性が高い。」

 レオンが剣を握りしめる。


「お前たちは下がれ!」

 エドモンドが前へ出た。彼は片手剣を抜くと、魔物の群れに向かって突撃した。剣は魔物の急所を正確に捉え、血飛沫が舞う中でもその動きには一切の迷いがない。無駄のない動きで敵の攻撃をかわし、鋭い一閃で次々に魔物を切り裂いていく。

「強い……!」

 リリスが驚いた声を漏らす。

「こいつらは、ただの魔物ではない。何者かの手によって操られている可能性がある……ならば、迅速に片付けるまでだ!」

 エドモンドは魔力を込めた剣を振り下ろし、周囲の魔物を一掃した。

「すごいな……」

 レオンも息を飲む。その剣技は洗練されており、実戦経験の豊富さを感じさせた。


「いずれにせよ、地下書庫を調べる必要があるな。」

 ガラハッドが扉の前に立ち、鍵を開ける。その重厚な扉が軋む音を立てて開くと、内部から冷気が漏れ、まるで何かが待ち構えているような空気が漂ってきた。

「私はここでギルドの指揮を執る。地下の調査はお前たちで行け。油断するなよ」

 レオンたちは頷き、地下の暗闇へと足を踏み入れた。



 地下へ降りる階段は長く、石造りの壁に魔導灯が灯る薄暗い通路が続いていた。魔導灯の青白い光が壁に影を落とし、不気味な模様を描きながら揺らめいている。

「……何か嫌な感じがするね」

 リリスが周囲を警戒しながら呟く。

「この場所、ただの書庫じゃない。結界が張られている……普通の文献を保管するだけなら、ここまで厳重にする必要はないはずだ」

 カインが慎重に観察しながら言う。


 奥へ進むと、古代文字が刻まれた重厚な扉が彼らを待ち構えていた。その表面には鈍く光る金属が散りばめられている。

「いずれにせよ、この先に重要な情報があるはずだな。」

 レオンが扉を見ながら言った。

 レオンたちは準備を整え、慎重にこの謎を解く手がかりを探し始めた。


 ここで何が待ち受けているのか、彼らはまだ知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ