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4 思考試案のメシ作り

 ふぅ、ごちそうさまでした。

 やっぱり自分で作ると美味しさが段違いだね。

 ぼっちメシだろうと美味しければそれでいいのだ。

 進んでぼっち道に向かってるわけじゃないし。

 だって誰もいないんだもん!

 しょうがねーだろ畜生ッ!


 さて、今日出発する予定だったけど、どうしようか。

 思いのほか料理に時間かかっちゃったし、今から出発しても昨日と大して変わらなさそう。

 それに、まだ魔獣混ぜご飯は残ってる。

 腐っても私は料理人。

 食べ物を粗末にはできんのです。

 うーん。


 ま、今日はいいか。

 やけど傷の対処は必須事項だったし、自分の手際の悪さを再確認できたし。

 旅の途中でこんなに手間暇かけてられないしね。

 もう一日ここに泊まって、改めて準備して出発しよう。

 そうと決まればまずは混ぜご飯の処理だ。

 私一人でだいぶ食べたけど、それでもまだそこそこの量が余ってる。

 握り飯にすれば明日の夜くらいまでは持つかな?

 ということで、余ったご飯を握る作業です。


 握って、握って、握る。

 握って、握って、握って……

 ……飽きた。

 単純作業は眠くなるんだよ!

 一人で黙々と握り飯握るとか退屈にも程があるわ!

 料理人として飽きるとか言うなとは思うけども!


 んー、あ、そうだ。

 ちょうどいいし、これまでの事でも一旦整理しようかな。

 情報整理って大事だしね。


 まず、一番気になってること。

 私、一日瓦礫の下敷きになってたって思ってるけど、もしかしてもっと長い時間がが経ってるんじゃないか?

 これまで誰とも会わずに、というか「誰も見ていない」ことがなんとなく引っ掛かる。

 あんまり想像したくないけど、普通街が滅んだりしたら死体があるはずじゃない?

 死体が見たいってわけじゃないからね?

 勘違いしないでよ?

 んで、私はここ二日で誰とも会ってないし、死体なんかも見ていない。

 これは、おかしい。

 実に不可解である。

 たった一日で死体が消えたり、街の人達が街を離れるなんて、ちょっとあり得ない。

 普通、もし家が焼けてたとしても確認に来たりするはずだ。

 それなのに私は誰も見ていない。

 これは明らかにおかしいだろう。

 あ、待てよ。

 もしかして、まだワイバーンがいるから人が帰って来れないとか?

 その場合、私はワイバーンのお膝元でメシを食ってるってことになるのか?

 あっはっはっはー。

 私がメシになっちまうじゃねーか!

 私美味しくないぞ!

 どっちかっていうと壁とか言われる部類の女だぞ!

 もっとグラマラスな女食いなさい!!

 まぁ、流石に無いと思うけどさ。

 今のところワイバーンなんて見てないし。

 とにもかくにも、私は数日間気を失っていた可能性が高い。

 何故かお腹の減りは大したことなかったんだけど、それも一種の脳の防衛反応だったのかね?

 メンタルブレイクしないようにするためとか。


 まぁ、あんまり考えてもしょうがないか。

 こういう状態になってる以上、その状態をなんとかすることを考えなくちゃいけない。

 何故とかそういう疑問は後に回そう。

 他に人はいないんだから、自分で何とかすることだけを考えよう。



 そんなこんなを考えつつ、ひたすら握り飯を作る。

 なかなか思い通りの三角形にならないのが若干ムカつく。

 くそう。

 こういうのって手に塩付ければいいんだっけ?

 味は変わらないけどさー、やっぱり握り飯はきれいな形にしたくない?

 きれいな三角、けどどこか丸みを帯びたようなあの形状。

 治料理人(ヘルス・クッカー)として、いや料理人として、あの形状は妥協してはならぬのだ!

 そもそも握り飯くらい軽く握れよっていうツッコミは無しね。

 私不器用なんだってば!

 できたらとっくにやってるわい!


 あ、そうだ。

 明日以降、いよいよ私はこの街を出るわけだ。

 なんだかんだ、他の街に行く機会なんて初かも。

 初めての旅がこんな状況なの嫌すぎるけど。

 ラノベとかなら家族とかに見送られての旅立ちなんだけどなー。

 神からの祝福を受けて旅立つとか、チートスキルでバンバン敵をボコしたりとかするんだけどなー。

 焼け落ちた街での旅立ち、生存者無し。

 スキルステータスレベル無し。

 ついでにやけど傷は有り。

 ひでー。

 読む気失せるわな、そんなラノベ。



 考え事しつつ、時々つまみ食いもしつつ握り飯完成。

 思い付きで何品か料理作ったりして、まぁまぁ時間かかった。

 さて、まだ寝るには早いし、何しようか。

 あらかた持っていくものは決まってるし、食料も足りてる。

 あと足りないもので言うと、武器とかかな?

 この世界モンスターは普通にいるし、旅の途中で襲われる可能性は普通にある。

 か弱い私じゃ戦うなんてできないだろうけど、最低限護身用の剣くらいはあった方がいい。

 ナイフはあるけど、こんなもんが当たる超近接で戦いたくない。

 剣があったところでって感もするけどねー。

 ないよりはマシだと思うわけですよ。

 武器屋とかにまだ残ってないかな?

 ちょっと行ってみようか。



 というわけで着きました武器屋。

 正確には、武器屋があった場所といいますか。

 そこそこキレイな作りだったと思うんだけど、キレイに瓦礫の山になってる。

 だと思ったよ畜生。

 おのれワイバーン。

 どんだけ強いんだよアイツ。


 何か残ってないかなーと淡い希望をもって、適当に瓦礫をどけてみる。

 うぐ、なかなか重い。

 せーの、どっせい!

 あー、手がビリビリする。

 レンガ作りの建物の瓦礫って結構重いのね。

 んー、なんもないか。

 こっちはどうだ?

 手あたり次第瓦礫をどけてみる。

 目ぼしいものはなかったけど、一本だけまだ使えそうな長剣(ロングソード)があった。

 ちょっと拭いてやれば、夕日を反射して結構かっこよく見える。

 ほほう、いいじゃないか。

 今日から私もいっぱしの剣士ってわけだ!

 正しい構えなんて全く知らんけどな!

 袈裟斬りと振り下ろしくらいしか分からん!

 回転斬りくらいならできるぞ!

 おそらく当たらないだろうけども!

 


 その後日が暮れるまで瓦礫を漁って、なんとか小さめの丸い盾なんかも見つけた。

 こんな小さな盾に期待はできないけど、売ってたってことはそれなりに使えるはず。

 あんまり信頼はできないけど、一応持っていこう。

 後は包帯とかちょっとした手当て用の道具。

 こっちも貰っていこう。


 こんなことやってると、なんかサバイバルゲームみたいだなーと思う。

 回復アイテムとか弾薬とか漁って戦う系の。

 FPSって言うんだったっけ?

 

 なんだかんだ、地球の記憶ももう薄れてるなー。

 もう17年も異世界で暮らしてるわけだし。

 それに、現実でゲーム気分だと本気で死ぬし。

 ゲームでも強い装備とか漁ってても普通に死ぬしね。

 回復アイテムはこっちもあるけど、大してアテにならないからなー。

 一流の治料理人(ヘルス・クッカー)呼んできてくれ。

 私はまだ作れん!

 あー、お腹すいた。

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