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御神市

……頑張る

 目を覚ますと何やら違和感があった。身体の内部ではなく外部に。


 恐る恐る右に顔を向けた。


 ――クレハ(大)の寝顔があった。


 恐る恐る左に顔を向けた。


 ――命姉さんの寝顔があった。


 ……………………あれ?


 良く思い出してみよう。


 まずはクレハ。昨日クレハに食事や睡眠はどうするのか聞いたら、食事は趣味みたいな物で特に必要はない。睡眠は疲れたりしたらするけど別に布団はいらない、カミじゃからなっ!と言われた。


 ……保留。


 命姉さん。昨日は家に行くから待ってて、と言われた。


 ……保留。


 次に現状を確認しよう。


 服装は、クレハ俺命姉さんの順に、着物パジャマ私服。


 そして、分かりきってはいたが考えたくなかった体勢。


 ……1人用の布団に3人が入ると必然的にこうなるというか、きっとわざとですねこの人達。俺の腕を抱える様に寝ていて身動きが取れません。


 下手に声を出すと早苗さんが来るかもしれなくて、クレハが見える見えない以前にややこしくなりそうで。


 ――こんな時、俺は無力だ。



「う、う〜ん。……あ、おはよう紅。もう起きてたんだ」


 そう言って、俺の腕に頬を擦り付ける命姉さん。


「お、おはよう命姉さん。これはどういう事なの?」


「むぅ……それはこっちの台詞だよ。何でクレハと一緒に寝てるの?」


「は?いや、それはこっちが聞きたいと言うか……」


「「?」」


 とりあえず、次は未だに眠っているクレハを起こす事から始めよう。



「ふぁ〜。おはよう、主殿」


「あぁ、おはよう。なぁ、クレハ。ちょっと聞きたい事があるんだけど」


「なんじゃ?」


「何で紅と一緒に寝ていたの?」


「それは――」



 2人の記憶をまとめるとこうだ。


 クレハは、自分が隣で寝ていたらとても狼狽するだろうと悪戯で布団に入ったら、疲れと、接触によるより強い魔力の回復により、気付いたら眠ってしまったそうだ。確かに、契約をしたからといってすぐに昨日の怪我が治るはずがないのだ。


 命姉さんは、予告通りに家に来て、早苗さんにまだ俺が寝ているのを聞いた上で部屋に入ったら(この家の住人は人によってだが、俺のプライバシーに関係なく部屋に人をあげる習性がある)、俺の隣にクレハが(大)で眠っていたので、ついカッとなってやった。寧ろ満足している。らしい。



 昨日聞けなかった説明を受ける為に、資料が揃っている図書館に移動することに。


 まず、目の前に出されたのはこの街の歴史書。そこには、小学生の頃に宿題で調べた通りの事が書いてあった。つまり、神を鎮める為に二ノ宮神社が建てられたという事だ。


「でも、これは少し違っててね、本当は神様を鎮めたんじゃなくて、神様で封じたの」


 ――御神市は、カミが最も産まれやすい土地である。


「カミというのは、願いや信仰など想いの力が集まり、実像となったものじゃ。そしてこの土地はそういった想いが集まり易い特異点だった」


 ――想いの力は魔力。魔法は願いを叶える力。


「そして、あるものを生み出してしまったの」


「あるもの?」


 ――多くの人が願ったもの。


「人の願いが叶う場所。――理想郷」


 でも、と区切って命姉さんは続ける。


「理想郷は個人に対しての理想郷であって、みんなにとっての理想郷にはならなかった」


 理想なんて人それぞれで違うのは当たり前だ。


「だから、それぞれの理想郷というセカイが創られた」


 そこで、問題が起こったのだという。


「死者を蘇らせたつもりでいたり、大金持ちになったつもりでいるうちはよかったの」


「……つもりって?」


「実際には生き返ってなんていないから。個人の理想郷なんて覚めない夢みたいなもの。現実には持ち帰れなんてしないし、帰って来た人も殆どいなかったみたい。……話を戻すけど、だんだんとみんなの理想が狂っていったの。理想を叶え続けておかしくなった人や、自分の奥深くにあった自分でも気付いてなかった欲望をさらけ出されて耐えられなくなった人。とにかく魑魅魍魎で溢れかえる様になってしまった」


「それは確かに問題かもしれないけど、こっちには影響はないんでしょ?」


「普通はそうなるはずだったんだけど、理想郷で産み出されたものたちにも願いが生まれたの。――現実世界に行きたいって願いが」


 ――そして、理想郷の侵蝕が始まった。


「このままだと、少なくとも街が大変な事になるから、神様にお願いして理想郷の入口を閉じて貰う事にしたの。場所は、学校にある一条神社、山にある二ノ宮神社、最後に現実と理想の狭間にある三雲神社。そこに奉られている3人の神様から三神。これが御神市の語源」


 つまり、俺がこうやって生活出来るのは、その神様のおかげであって、そう考えると何だか無性に祈りたくなってくるから、現金なんだろう。


「カミなんて、そんなもんじゃ、あんまり気にするな」


 なんてクレハの言葉に少し救われた気がした。


設定に矛盾がでないことを祈るばかりです。



そろそろ生徒会のメンバーをだしていこうと思います。

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