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生徒会

やっと形になってきた気がする。

 学園長の長い話が終わり、入学式が終了した。今は、教室で委員長を決めることになっている。


「初めてのやつもいるから困ると思うが、委員長と副委員長を決めなきゃいけない。こっちで勝手に成績とかで決めてもいいんだが、部活とかいろいろとあるだろう。とりあえず立候補はいるか?――まぁ、いないだろうな。じゃあ、推薦は――沖田」


「紅がいいと思います」


「一応、理由は?」


「また生徒会に入るって言ってたし、中学の時3年間やってたからです」


 なんだろう、中学の時も同じ様なやり取りが何度もあった気がする。それで、俺が光一を推薦して終わりだ。


「じゃあ、蓮水。いいか?」


「はい。頑張ります」


「よし、じゃあ、次は副委員長だが、こちらも一応立候補から、いるか?」


 そこで、いつもとは違う事が起きた。手が上がったのだ。しかも隣の席、つまり舞である。


「えっと、トイレか?」


 先生にも予想外の事だったらしく、立候補という考えを除外している。


「ち、違います!立候補です!」


「ちなみに理由は?」


「一度やってみたかったんです。それに、紅くんが相手なら安心かなって」


 おぉー。教室がざわめく。「くそ、いつの間に手を出しやがった」「愛だわ!愛!」など、あらぬ誤解を受けている気がする。


「お前等静かにしろ!――副委員長って言ってもイベント毎に決定権があるだけで、基本雑用だけどいいのか?」


「はい。大丈夫です!」


「そうか、他に立候補は――いないな。じゃあ、決定。宿題集めるぞー」


「OK、忘れたのはいないみたいだな。よし、蓮水と二宮、初仕事だ。礼が終わったら手分けしてこれ持ってこい。日直、号令」


「起立。礼」


 HRが終わった。舞と手分けして宿題を運ぶ。


「でも、大丈夫なの?」


「何が?」


「ほら、神社の仕事とか忙しくないのかなって」


 委員会の仕事で帰りが遅くなる事もあるのだ。


「それなら大丈夫だよ。忙しい時にたまに手伝うだけだし、朝のは少し緊張して眠れなくて、やることないから掃除してただけだから」


「そうなんだ。じゃあ、部活とかは考えてるの?」


「今のところは何も。紅くんは?」


「俺は誘われてるから、生徒会かな。あと陸上部の手伝いの手伝い」


「手伝いの手伝い?」


「いや、妹が、まぁ、従妹なんだけど、それが陸上部で、暇なときにぼんやり見学してたら美空に見つかって、ほら、美空も陸上部だから。暇なら手伝えって言われて」


「そうなんだ。あっ、着いたね。失礼します」


 ガラガラ。職員室は何度来ても慣れないものだ。斉藤先生は――いた。


「おう。ご苦労さま。本当は日直でもよかったんだけど、初めてだからな。だいたいこんな感じだと思ってくれ。あと、わからない事があったら何でも聞きに来い。蓮水もいるし、後は沖田でもいい。あいつも中学の時副委員長やってたから」


「はい、わかりました。頑張ります!」


「おう、その意気だ。今日はこれで終りだ。お疲れ」


 あ、そうだ。アメやるよ。学校で食うなよなんて言われながら1つずつアメを貰い職員室を出る。


「なんかいい先生みたいでほっとしたかな」


「斉藤先生はいい先生だよ。生徒からの人気も高いし」


「今日だけでも何か分かる気がするよ。紅くんはこれからどうするの?」


「生徒会に顔出していこうと思ってる」


「そっか。じゃあ、また始業式の日に、かな?」


「うん。また」


 さてと、生徒会室に行くかな。教室で帰り支度を済ませ、階段を登っていく。


 生徒会室は一番上の階にある。学校の象徴だからだろうか。


 こんこん


「はい、どちら…………紅!」


「あ、命姉さん。…………来ちゃった」


 どこぞの遠距離恋愛中の彼女の様な台詞をはいてみる。


「終わったら来いって言われたから来たんだけど」


「うん。とりあえず座って」


 言われるままに席に座る。


 目の前にいるポニーテールの人が上条かみじょう命。高2で生徒会副会長で、俺の幼馴染み。文武両道の完璧超人で少し口数が少ないのが玉に瑕で、よく人に冷たい人だと思われがちである。(実際はそんなことはなく、むしろ少し抜けてるくらいだ。)俺の母さん、つまり楓さんの友人の娘だそうで、料理の出来ない俺と母さんの代わりに飯を作ってくれた事も少なからずあった(小さい頃から凄い人だった)。俺と棗の姉的存在で、3人でよく遊んだものである。ある日突然ポニーテールにしてきて、どうしたのか聞いたら、紅はポニーテール好きでしょ?なんて言ってくる油断ならない人でもある。


「本当は紅を生徒会に誘ったり、顔合わせとかいろいろと企ててたんだけど、いきなり追加の仕事を頼まれちゃって、それどころじゃなくなっちゃったの。呼んだのに悪いんだけど、また今度にしてくれる?」


「それは構わないけど、何か簡単な仕事なら手伝おうか?元々、生徒会には入ろうと思ってたし」


「いいの?」


「うん。大変なんでしょ?」


「ありがとう!大好きだよ、紅!」


 命姉さんはそういう事を恥ずかしげもなく言うから、反則だと思う。


「じゃあ、これを取ってきてもらえるかな?詳細は紙に書いてあるはずだから。紅、どうしたの?」


「な、何でもない!これに書いてある通りにやればいいんだね!いってきます!」


 俺は、赤くなった顔を隠す様に生徒会室を出た。


 数分後、それは生徒会室で起こった。命が書類を整理していると、一枚のプリントに目が留まる。それは、紅が持っていったはずのプリントで、先程から1枚の重要書類が足りていない。それが示す事はつまり、


「…………間違えた」


 これにより、蓮水紅葉の世界は、1歩外れた所にある本当の姿を見せ始める事となる。


命「…………おまけコーナー」


紅「これは(以下略)」


命「私があの時間違えなければ、紅はあんなことにはならなかったっ!」


紅「命姉さん?」


命「紅が不良になったのは私のせいなの」


紅「いや、適当な事を言うのは止めようよ」


命「…………てへ」


紅「で、今回は何をするの?」


命「私達の性別を変えます」


紅「は?ちょっ――」


命「ではどうぞ」





 こんこん


「はいはい、誰だ…………紅葉もみじ!」


「あ、命兄さん!…………来ちゃった」


「お、おう。入れよ」


「うん。それで、今日はどうしたの?」


「あぁ、それが生徒会の仕事が急に入っちまって。呼んだのに悪いんだけど、また今度にしてくんねぇか?」


「それはいいけど、手伝おうか?」


「いいのか?」


「うん。大変なんでしょ?」


「ありがとう!大好きだ、紅葉!」


「きゃ、いきなり抱きつかないでよ!」


「悪い。こんど何かお礼するよ」


「じゃあ、ホットケーキ作ってよ」


「それでいいのか?」


「あと、駅前にクレープ屋さんが出来たらしいの。だから一緒に食べに行こう?」


「それはデートか?」


「…………バカ」





命「…………」


紅「…………なんだ、この甘ったるいのは」


命「…………」


紅「命姉さん?」


命「…………これはこれで」


紅「いや、目を覚まそう!俺は、これより命姉さんの方が好きだから」


命「…………紅、嬉しい!」


紅「み、命姉さん?何か目が据わってるんだけど、ちょっ、待って…………」


小夜「終わります」


紅「また取られた!ってだから待って…………っ!」





次回は、遂に紅葉ちゃんの登場です。(予定)※予定は変更になる場合があります




次回こそはファンタジーっぽくなるはず。

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