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31 そして海へ


「アレク~」


「アレク様ぁあああ」


「アレク殿――」


 アレクは必死に逃げた。


(まさか、こんなことになるとはな……)


 ハンターモードに切り替えると手を後ろにかざし風圧で加速した。これで逃げ足の速いシービングキャットをも上回る速度で走ることができる。


 アレクを追う声は小さくなって行った。



 ミツメ火炎ガラスを仕留めた後、アレクはギルド長とイザベルとサラに、自分がミツメ火炎ガラスを殺ったことを誰にも言わないでほしいとお願いをした。


 分不相応なスキルがあることが知られるとトラブルに巻き込まれるし、自分はただの料理人として生きたいからだと説明した。


 ミツメ火炎ガラスはロンブーゾが最後に放った氷結魔法で弱ったところをギルド長が長剣で心臓を貫き倒したことにした。


 問題はその後だ。


 アレクがバラデロ草で助けたにもかかわらず、疑うような眼差しで見ていたサラが、アレクのことを精霊神の使いと誤解して拝み始めた。


 一方、ギルド長からはたいそう気に入られた。胃袋も虜にされたなどと訳の分からないことを言い出して、自分のバディになれと迫られるようになった。


 さらに、イザベルはアレクのためなら何でもするといい、なんならアレクは働かなくても一生自分が面倒を看るとまで言い出した。


 好かれるのはいいが、なんだか居心地が悪くどうしたものかと思った。


 そこで、本来ならちゃんと別れを告げて旅立つところだが、内緒で明け方に町を出ようとした。


 ところが3人に見つかってしまい。逃げ出すように町を出たのだ。


 後ろを振り返り誰もいないのを確認してアレクは、やっと疾風のように駆けるのをやめた。


 アレクがリゲイン草を採りすぎたことが、今のリゲイン草の高騰の原因の一つだと思い、その罪滅ぼしのつもりでイザベル姉妹を助けたにすぎない。しかし、イザベルもサラも、そうは思わず、なんだか変な展開になってしまった。ちゃんと話せば誤解は解けるのかもしれないが公爵家から追放されたことや、スキルの詳しい内容を話したくなかった。


 だから色々誤解されたままの旅立ちになってしまったのだ。


(とにかくサラが元気になったのだからそれでよしとしよう)


 アレクは海をめざしていた。


 海の無い国に育ったアレクは海を間近で見たことがなかった。


 イザベルが言っていたカナルに行ってみようと思った。


(カナルの港町は建物を白にするのが決まりで、コバルトブルーの海と白い町並みがとても綺麗だとイザベルが言っていたな)


 途中の町や村で港町カナルの方角を訊くと、その方向に疾走した。


 大人の足で一週間かかるというが、アレクは風に乗り疾走したので、夕暮れ前には海岸線の近くまで来ていた。


 小高い丘を越えると、そこには、白い町並と海が開けていた。


(何だろう)


 息を吸うと、空気がしょっぱかった。


(これが潮風なのか)


 アレクは白い港町に向けて丘を駆け下りた。


第2章はこれでおしまいです。次は港町カナルでの新しい冒険が始まります。


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