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『あずちゃん結婚とか興味ないの?可愛いのになー』
よく言うよ、と友人から来た緑色のSNSのメッセージを見ながら夕方会社帰りの誰もいない道でちょっぴり良くない歩きスマホをしながら思う。
私はショートにした髪の毛、目は少しばかり大きいがすごく美人とか可愛いというわけでもなく、心ない人には醜いと言われ、そうではない人にはそんな事ないよ可愛いよ、と言ってもらえるような、まあ所謂普通の顔をしている。
『そういえば里來くんがこの間私におもちゃをハイしてくれたんだよ!うちの子天才すぎ!』
なんて返そうか考えているうちに届く2通目のメッセージにこの友人は幸せそうだ、それに比べて私はどうだ、キャリアも夢も彼氏も自分だけの家族もいないと少し悲しくなってしまう。
でもそんな事はこの友人には全く関係はないし、友人自身は優しく、劣等感を持つ自分がおかしいのはわかっているので無難に
『へーすごいね大きくなったねー子供が大きくなるのは早いねー』
なんて返してスマホを鞄に入れ、さっさと家に帰って、この間大量に揚げた唐揚げを口の中に放り込み大盛りの米と一緒に食べてこの感情も飲み込もうと決める。
ピコン
さっさと家に帰ろうと決めたのは誰だったか、
友人とやりとりしているSNSとは違った黄色いアイコンのアプリの1、という数字を見て心が少し上向く。
早る気持ちを抑え込んでトッと押すと
『今日会わない?』
の文字
今日は私としたくなったんだな、下半身で物事を考える生き物はこれだから、とその男と同じく下半身で物事を考えている私はこう返す
『おけ、からあげあるけど食べない?』
ドキドキしながら返事を待っているとまた軽快な音がする
『そうなんだ、じゃあ食べるから準備しといて』
是、の返事を見てやはりさっさと家に帰らねば、と改めて決意をし、帰ったら掃除機かけてお風呂に入って準備しとこ、と2週間ぶりにうちに来る男にからあげと同じような運命にある会社帰りの疲れた己の肉体に鞭を打った