私は最強の至高の生き物を作ってしまったかもしれない。
賢い猫をご存知か?
私とネチコヤンの出会いはベランダだった。
家のアパートにしては広めのベランダにキャンプ用の椅子を置いて、一人暮らしの優雅さを演出する為にたまにコーヒーや酒などをそこに座って外の景色を見ながら飲んでた。
ある日、春のぽかぽかの日差しの中、ネチコヤンは優雅にその椅子で寝ていた。椅子を毛だらけにして…。
そして、彼はコーヒー片手にベランダに出てきた私を見た。
そして、寝た。
いや、逃げろよと思った。そして、言った。
だが、ネチコヤンは今思えば害意を読みとったのだろう。
寝た。
しょうがないので、立ってコーヒーは飲んだ。たまにネチコヤンを撫でてみたら、ゴロゴロいったので満足はした。
そこからネチコヤンはほぼ毎日、うちのベランダへ来た。椅子は毛だらけでもう座るのを躊躇する程になった頃、愛着も生まれて餌をあげるようになった。
もう、飼うしかなかった。
来ないと心配で泣きそうになるし、ネチコヤンは賢かった。兎に角、甘え上手で、貢がせ上手なのだ。
撫でさせてくれるし、私が歩いていると寄り添う様にまとわりつく。猫は素早いので「ねこふんじゃった」なんて創作だと思ってたけど、猫は踏める。ってか何度纏わりつくように私の前に跳びこんで、蹴ってしまっただろう。ビックリするので本当に止めて欲しい。猫には通じないが。
だが、ネチコヤンは呼んだら来るし、寝たら寄り添うし、撫でたらゴロゴロいうし、柔らかいし、気持ちいいし、可愛いし、飼い猫として最高のネチコヤンだった。
ネチコヤンとの生活は私の生活を一変させた。
金はかかるが、生活の潤いは今まで生きて中で一番だった。
ネチコヤンもそのまま居てくれて、私と生活してくれた。
幸せだった。
その日はネチコヤンの検診でペットバックに背負って歩道を歩いていた。
そしてトラックに跳ねられて死亡した。
そして異世界の神に出会った。
そして流行りの異世界転生する事になった。
ネチコヤンと共に。
3つのスキルをくれると神様は言った。
私はもう勢いで言った。
「ネチコヤンが誰からも殺されない力とネチコヤンが飢えないように好みの食事が食べれるような力とネチコヤンが過ごしやすい環境を整えられる力を下さい!」
自分が死んだ事よりネチコヤンが死んだ事に私は耐えられなかった。
そして私はネチコヤンと異世界に転移した。
森だった。
普通に魔物っぽいものが出た。
「うっ…ぇえええええ?!」
魔物に悲鳴を上げる前に、ネチコヤンが瞬殺して、そっちに叫んだ。
「にゃー(ほらいくよー)」
何事もなく、ネチコヤンが私を見て鳴いた。ってかニュアンスが伝わった。
「えええええええぇ?!!!」
「にゃーにゃー(やかましいよ。しゃべれるようになったんだからふつーにしゃべんなー。)」
ネチコヤンに促されて、森を歩きながらネチコヤンも神様から3つスキルを貰ったとの事で、私と話せるようになる事と私が異世界で暮らせるようなスキルがある事を頼んだそうだ。
「にゃーにゃーにゃー(みなはさーほしいものがたまにずれてるからこまるんだよね。)」
「しゃーないやん、猫語わからんし。」
森の中でもスキル:猫の餌で水は出せるし、自然食品でカツヲの缶詰も出せた。私もそれ食った。夜はスキル:ペットハウスで自宅が召喚できた。ってか私のアパートの部屋はペットハウスかよ?!ってツッコんだが、私もネチコヤンとベッドで寝た。猫好きスキル、割と最強だと思った。
ゴブリンっぽいものも、一角獣っぽいものも、オークっぽいものもネチコヤンは瞬殺した。
そう、私は最強に至高なネチコヤンという生き物を作ってしまったのかもしれない。
そんな、ネチコヤンは私が出すスキル:猫の餌のちゅー○で今日も言うことを聞いてくれる。
「にゃーにゃ。にゃー?(もう、しょうがないなぁ。ちゅー○ちょうだい?)」
いつまでも一緒にいてくれるというネチコヤンと今日も割かし安全に異世界を私は生き延びる。
常々思ってたが、ちゅー○は麻薬だ。
ありがとう、神様。これからも宜しくネチコヤン。