第2話
俺が目を覚ますとそこには古今東西あらゆる遊戯が乱雑に放置された部屋だった。
「おいおい、まじかよ!?これなんてもう製造が終了して2度と手に入らない伝説のレトロゲーじゃん!」
「あっちにはあまりのバグの多さでゲーム会社がアプデを放棄した伝説のクソゲーまであるぞ!?」
俺はいつか遊んでみたいと思っていたゲームが辺りに乱雑に投げ捨てられている光景に目を奪われていた。
「アッハッハッハ、やっぱり君は僕が見込んだ通りのゲーマーだ」ゲームに目を奪われているといつの間にか
手でダイスを弄びながら軽薄な笑みを浮かべる燕尾服を着た男が後ろに立っていた。
「おわっ、お前誰だよ?」
急に現れた男に俺は慌てて問いただした。
「あれ、この部屋と、僕の姿をみても分からないかな?まあ今は神話なんて勉強しないし当然か。」
「でも、ゲーマーの君ならそろそろ僕の正体に気づいたんじゃない?何てったってわざわざ君が昔やってたゲームの姿そのままで登場してるからねぇ」
俺はそのヒントで男の正体に気づいた。
「お前はロキ?あのいたずら好きで遊戯を司るっていう」
「おっ、流石やるねぇ、正解、正解。僕がトリックスターと名高いロキさ」
「いやぁ、君のゲームの腕は凄まじいものがあるね。僕もついつい手に汗握って応援しちゃったよ」
遊戯を司る神に手放しで褒められて俺は返事をすることが出来なかった。
「あれ、緊張しなくたっていいよ?僕は何て言ったって君のファン第一号だからね!」
「さあさあ、この空間では時間なんてあってないようなものだからゆっくり話そうか」
「君は、まだ自分がなんでこの空間にいるかもわかってないでしょ?」
ロキが手を振ると一瞬でテーブルと椅子が現れた。
「さあ、座りなよ、色々と説明しなきゃいけないこともあるしね」
俺はロキに促されるままにテーブルに着いた。
「結論から言っちゃうと僕が喚んだ。そして君はあの世界から消滅した。ただそれだけなんだけどね」
ロキはまた軽薄な笑みを浮かべながら俺に言い放った。
「おい!?ふざけんなよ?俺はまだあのゲームの完全クリアが終わってないんだよ!?喚ぶならクリアしてから喚べよ!」
ロキは俺の返答に一瞬呆気にとられたような顔をした後に今度は満面の笑みを浮かべて
「やっぱり、君は狂ってる。消滅したと聞いて初めに怒るところがそこなのかよ。」
俺はロキにそう言われてなぜ自分がまずそこに怒ったのか分からなかった。
「あれ、なんで俺そこに…」今度はおれが戸惑いの表情を浮かべる番だった。
「安心していいよ、この空間は深層心理が表に出やすいように作ってあるからね、たぶん君の心の奥底で一番納得がいかなかったのがゲームを途中で奪われたことだったんだろうね」
「だからってそれが最初に出てくるとは思わなかったけどね、僕が見込んだ以上だよ。さあもっとゆっくり話そうか、君もそろそろ落ち着いてきたでしょ。」
俺は戸惑いながらもロキの話に耳を傾けていった。
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