バイオレンスアンサー・夫 ④
ある日、仲睦まじいかは別として、一つの家族が、ある特別番組を見ていた。その番組内容はこうだった。
「いやー、明後日には今の元号が終わり、新しい元号が発表される訳ですが、一体、どんな元号になるのでしょうか? みんなで予想してみましょう!!」
「元号は漢字二文字ということですが、これは中々、難しいかもしれませんね」
その番組は、新元号をみんなで予想する……というものだった。
それを見ていた夫が開口一番、こう言った。
「無罪」
「…………」
その答えを聞いた妻は両手を握り締めると、そのままテーブルに突っ伏してしまう。
「あなた……、なんなの……? その無罪って言うのは……?」
「何なのって、言葉の通りだよ。ほら、小◯◯三が額縁を持ってこう『新しい元号は【無罪】です』って」
それを聞いた妻は、夫の肩を激しく掴むと激しく揺さぶる。
「何!? あの事!? まさかあの発表の事を言っているの!? 馬鹿じゃないの!? だいたい、何に対して無罪なのよ!?」
夫は三半規管を攻められながらも、平然と言ってのける。
「そりゃあもちろん、政治家の汚職事件や問題発言といった、不祥事全般さ」
「馬鹿じゃないの!? あなた!! あんな人達のしでかした事を無罪放免で許せって言うの!? どういう神経してたら、そんな言葉が出てくるのよ!?」
夫の言葉を真に受ける妻は激昂し、ある意味言ってはいけない事を口走る。
その姿を見た夫は落ち着かせようと妻にある質問をする。
「じゃあ君はさ、一体誰の事が許せないんだい?」
それは正しくバイオレンス・クエスチョン
「そんなの決まってるでしょ!! あいつよ!! ……っ」
妻は興奮するあまり、口を滑らせる。……が、すんでの所で、思い止まる。
「……って!! 何を言わせようとしているのよ!! あなたって本当、最っ低!!」
「うーん、惜しいなぁ? もうちょっとで、面白い事になったんだけどなぁ?」
その夫の言葉を聞いた妻は一言。
「あなたが思っているほど、周りは面白いとは思って無いからねーー!?」
ごめんなさい、
あぁ、ごめんなさい、
ごめんなさい。