04 餃子
「翔君、起きて。」
僕は体が揺すられているのに気づき、うっすらと目を開けた。目を開けると、すぐ前にめぐみさんの顔がこちらを覗き込んでいたのか、かなり近い場所にあった。僕が目を開けたとわかったら、すぐさま離れ、
「ご飯できたよ。」
と一言言い、すぐに部屋から駆け足で出ていった。
「もう、部屋に戻ったら色々話そうと思ってたのに。」
ベッドの隣にサナは座っていた。随分退屈だったのか、まだうとうとしている。
「ごめん。」
「別にいいよ。それよりご飯行かなきゃ。」
サナは僕よりも先に部屋を出ていった。僕はあっけに取られた。サナは他の人にはみえないから、ご飯だって食べられないのになぜそんなに楽しそうに行くのか不思議だった。ともかく、悪魔的事情はあとにして、ご飯が冷める前にリビングに行こう。
「今日は餃子作ったの、結構自信作よ!」
食卓には餃子と味噌汁と白米が並んでいた。めぐみさんの作る料理は上手いものばかりで、毎日満足している。辺りを見渡すと、ソファに寝っ転がるサナがいた。サナはかなり満足そうな顔をしている。
その後めぐみさんと2人で食べていた。今日あったことを聞かれたが、流石にふられたとか悪魔に会ったなんて言えずに、適当な話ばかりしていた。
食事を終え、食器を洗い自分の部屋に戻ると、いつの間にかサナが戻っていた。
「やっと戻ってきた、そしたら私質問がありまーす。」
まさかのこっちが質問される側だとは思わなかった。
「何が聞きたいの?」
「なんでお姉さんのことをめぐみさんって呼ぶの?」
「めぐみさんは普通のお姉ちゃんじゃないんだ。」
「どゆこと?」
「僕の家族は海外にいって、僕は家に残りたいっていったから、親戚のめぐみさんの家族の家で預かって貰うことになったの、そしたら家族は事故にあってもう帰って来なくなった。」
「そっか、嫌なこと思い出させちゃったね。あ、そしたらめぐみさんの両親は?」
悪魔の癖に良心的なやつだなと、思いながら応答し続ける。
「海外。ちゃんと生きてるよ。」
「じゃあ家にはいつもお姉さんと翔しかいないんだ。」
「そうだよ。聞きたいことはそれだけ?」
「うーん、まだあるけど、眠くなっちゃった。」
そう言うとすぐさま僕のベッドで寝始めた。
こっちは質問したいのに。しょうがないからそのもやを飲み込み、僕はカーペットで眠りについた。