鬼畜なローブの中には
おはようございます…。とにかく眠いです。
謎の男が帰ってきたのは消えてから十分程だった。
先程のように突然目の前に現れたのだ。
「偉いですね、一歩も動かないなんて。」
「……はい。」
もちろんルーシーは逃げ出したかったが、見ず知らずの場所に置いていかれた場合、そこに罠がある可能性を、頭に入れて置いたからこそ逃げることができなかった。
「あぁ…罠なんてありませんよ。」
「一ついいか…。」
男はなにかに反応した、その瞬間。
何かがルーシーの足に激痛を走らせる。その痛みはまるでそのまま続けていたら足がちぎれそうな程の痛みだ。
「あなたは自分に置かれた立場を分かっていない…いいか?じゃないんですよ。」
「ぐっ、一ついいでしょうか…。」
また一瞬で痛みは消えた。
「なんですか?」
「さっきの兵を一気に殺した方法とは…。」
そう先程の殲滅能力が高いものがどうしても疑問でしょうがなかった。
「私の固有スキル、操作です。」
「そ、それがなんの関係が…。」
ルーシの頭の中では最悪の場合を想定していた…操作…この場合相手の体や内臓器官、血液なども操作することが出来れば、それはもう逃げるどころか、生きていけるかさえ分からない。
「貴女が思っていることが答えですよ、私は全てを操ることができます、この世界の理、天候、事情…ですが、それが昔にそれをやりたい放題やって気付きました…つまらない、と。
なので物体や液体の操作しか今は使っていません。
ですからさっきの答えは物体であるワイヤーです。」
ルーシーは、この時もう既に逃げるという見込みを心から失った。
「…そ、そうですか。」
「まぁもう夜は深い、なので寝ましょう。」
「!…寝るとは?!」
犬であるルーシーは顔を真っ赤にして聞いた。
「はぁ、普通に寝ますよ。」
そして男はローブを脱ぐ…。
ナイフや刃物、小道具がローブに入っているのかガチャガチャとうるさい。
その時ルーシー、いや人類で初めてそのローブの中を見た。
それは銀髪の美青年…だった。
もう絶対みんなわかってたよね、わかんない訳ないもんね。