龍化
それから月日が経ち、グレイが生まれ、シャルが死んだ、これは仕方の無いことだ、人間の寿命がせいぜい長生き出来ても医療等劣っている、七〇年が妥当だ。
そして逆に龍は千年生きられる、この違いはどうやっても埋められない。
そしてこの物語は幕を閉じた。
そう言い終わりルナは悲しそうな顔をした。
今のは昔グレイが伝承として伝えた話だった、だが今ではグレイが許可し、龍の子を元に戻しグレイと言い直している。
「……それがグレイだったんだな、だからあんなに強くて冷静で、魔法もなんでも使えるんだな」
「その代わり、愛というのを知らないのです」
実際にこの話は別に言っても構わないとのことだったのでルーシーには教えてあげた。
「そろそろグレイの儀式は終わったのかな……」
「見に行ってみましょう!」
そして外へ出ると大きな魔力、いやオーラが現れた、そちらへ目を向けるとそこには赤いオーラで包まれたグレイがいた。
「どうも遅れましたね、またせてすみません」
すると周りのエルフが歓喜の声を上げた。
「おぉ、凄いなこれは……で、必殺技とは?」
「ブラックホールです」
何でも吸い込み入ったら出れないというものだ。
「ど、どうやって創るんだ!」
やや興奮気味に問う。
「全魔力が消え、2日魔法が使えない代わりに、このブレスレットに魔力を込めれば使えますよ、そのブレスレットは自分の考える魔法を具現化します、魔力があればですがね」
「分かった」
「あ、あと折角、聖剣があるのですから使えばいいと思いますよ」
グレイはニコリと笑い森に消えていった。
「グレイのやつ意地悪だな!」
だがその顔は少しにやけていた。
そして次第に何かが近付いてくる……大きいものが……。
「来たぞぉ!!!全員逃げろ!」
「グ、グレイはどこだ!?」
「あなた大丈夫ですか!グレイ様の本職は暗殺者ですよ!」
「あっ」
最近グレイが暗殺者じゃなくても強いから忘れていた。
「早く森に急いでください……ルーシー頑張ってくださいね」
「分かった!ルナありがとう」
そしてルーシーは森に急いだ。
皇帝は、慢心していた、己に勝てる者はいないと、だが少し前に恐怖を抱いた、赤い大きなオーラだ。
「ちっ、エルフ如きが抵抗するとは」
そして足を早める、だが体が動かない、身体中に何かが張られている、ワイヤーだ。
それを無理矢理進む、すると魔法が展開され、魔法が皇帝に向かって発射される、だがそれを無視し進む。
次の瞬間ものすごい威力の何かが飛んできた、そしてそれにより吹き飛ぶ。
「な、なんだ!」
すぐに立ち上がるがまたもや見えない何かに吹き飛ばされる。
それが続き10回ほど経った時、なにかは出てきた。
「ちっあの時の暗殺者か!パワーアップしたな」
「これが本来の力ですから」
銀髪の暗殺者はしれっと返す。
「まぁ良い、貴様が肋と腕の損傷が激しいことは知っている」
「そこまで知ってるとは龍の血さまさまですね」
「さてそろそろ殺させてもらおうか。」
皇帝はその場から消える、そしてグレイに殴りかかった……が、グレイはその手を掴んだ。
「んな!?」
「遅いですね」
その時皇帝は苛立っていた、その後も連発で神速の突きを放つがどれも軽く止められた。
皇帝は距離を置いた。
「いいだろう、貴様を本気で殺してやる!」
すると皇帝の腕が龍化した。
そして殴ると、グレイの腕がミシミシと音がした。
「ぐっ!」
これにより皇帝に有利な戦いへと変わった。




