表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

第二話

「・・・様」









声が聞こえる。









誰か分からない、女性の優しい声だ。









「・・・さい。・・・様」









何だ、何が起きている。俺はどうなった。









「・・・お・・・め・・・さい。・・・様」









誰だ、お前は誰なんだ。











「お目覚めください!勇者様!」




―――――――――――――――――――――




ハッと目を、あける。


そこは、今まで一度も見たことがない場所だった。


辺りを見回すと、広さは四方5メートルだろうか。柱もなく、ただ広いだけの部屋だろう。壁や床も真っ白だ。


また、俺を中心にローブの男が七人と、巫女の服装をした女性が一人いた


しかし、更に見慣れないものがある。


魔方陣だ。


勿論、オカルトじみた知識はないが、裕たちとゲームをしているうちに、魔法やら魔方陣やら色々出てくる。


その魔方陣の中心に俺はたっていた。


俺がこの光景に呆然としていると、


「――――――勇者様」


前から巫女服の女の子が話しかけてきた。


「いきなりの召喚にも関わらず、お応えいただき、誠に感謝致します。お分かりかと思いますが、私たちを救って頂きたいのです」


―――――――――召喚。


その事から、俺は異世界転移、もしくは転生したのだろう。


姿が変わって無いため転移だと思うが、それでも俺は背中を刺されてる。それで死んでいたとしたら転生になるはずだ。(その辺りのことはよく分からんが)


しかし、それ以前に気になるのが、俺が勇者だと言うことで、


「ちょ、ちょっとまて!俺が勇者って、一体何の冗談だよ!」


「冗談などではありません。貴方は、私たちの希望の“勇者”なのです」


どうやら、向こうがたは本気らしい。正直、何が起きているのか全く分からないが、話を聞かないことには進まない。


「・・・分かった。何がどうなってるのか分からんが、話を聞きたい。一番偉い人とか居ないのか?」


「この部屋には居られません。ですので、玉座の間に移動してもらう必要があります」


「分かった。なら連れてってくれ」


「その服で行かれるのですか?背中に血痕がありますが」


あぁ、そう言えば刺されてたな。なんか、色々あって忘れ・・・て・・・


「・・・ああああああああああああああ!!!!!!」


「ど、とうされました!勇者様!!」


ヤバイ!そうだ!


刺されたって分かった、あの時!




妹が、一緒にいたんだ。




なんで!どうして忘れてた!守るって誓ってたのに!!


「お、落ち着いて下さい!」


「これが落ち着けるか!」


「一人でパニックになられていてはこちらが困ります!その事を話していただければ、何か分かるかもしれません!」


「分かるわけないだろ!」


「分かります!」


巫女服の女の子が言い返す。そのハッキリとした物言いに対して、息を飲む。


「お忘れですか?ここは、勇者様にとって異世界。勇者様の世界とここでは、出来ることや出来ないことが違うのです」


―――――――――そうだ、ここは異世界。


召喚なんて出来るんだ。だったら、妹のことだって分かるはずだ。


「・・・分かった、話す。だから、何とかしてくれ」


「承知しました。ですが、ここにいるのは『召喚法』の使い手のみ。勇者様が王と話をする間、私が手筈を整えておきます」


『召喚法』、魔法と同じようなものかな?


「本当に頼んでいいんだな」


「勿論です。私は、勇者様の巫女ですから」


その目を覗き込む。


その目には、力強い意志が宿っていた。信用するぶんには申し分ない。


「・・・信用しよう。この世界の最大の誓いは?」


「・・・我が身にかけて、です」


「そうか。それと、あんたの名前は?」


「サシャラです。サシャラ・エルフォールド」


「分かった。言葉だけだが、勘弁してくれ」


「?」


巫女服の、いや、サシャラが首をかしげる。俺は、サシャラに向かって声を張り上げる。


「サシャラ・エルフォールド!私は!我が身にかけて!其方を信用すると誓おう!」


「な!?」


サシャラが、目を見開く。そりゃそうだ。見ず知らずの相手に、いきなりの最大の誓いを贈ったのだから。


周りの男達もざわついている。「勇者様!?」「お気を確かに!」なんて聞こえるが、意識ははっきりしてるからな?


「勇者様!今すぐお取り消し下さい!その言葉は、軽々しく使うものではありません!」


「いや?お前は大丈夫だ。俺がそう判断したから使っただけだ」


「い、今までの会話のどこにそんな確証を「俺ってさぁ」っ!はい!」


申し訳ないが割り込ませてもらおう。大事なことなんでね。


「昔、大変な思いをしてきたから、大体その人がなに考えてるか目を見れば分かるんだよな」


「・・・本当ですか?」


「あぁ、だからサシャラの目を見たとき、こいつは大丈夫だって判断できたんだ」


「・・・そうですが」


サシャラが赤くなって俯く。まぁ、恥ずかしいだろうしな、しゃあない。


「そういうことだ。頼んだぞ、サシャラ」


その言葉に、サシャラは初めて見せる笑顔で、


「はい!」


と、大きくうなずいた。

ちなみに、サシャラは落ちてます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ