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Prologue : 寝所にて

はじめまして。何卒良しなに。


18.10.14追記

プロットが雑だった為、色々と難航しています。

ごめんなさい。

 頸椎を叩き折る。

 骸骨兵のしゃれこうべが縦に回転しながら、砕けた骨の海に落ちた。指揮系統を失った骨の身体は長かった戒めから解き放たれ、洞窟内のわずかな空気の流れに押し負け、崩れ落ちて形を失う。

 骨の状態から、かなり古株の個体だとはわかっていたが、一瞬で風化するほどの古強者であったことにアキレスは驚いた。


 しゃれこうべだけはいくら時間が経とうと呪いが解けぬようで、いつも通り形をとどめている。顎を懸命に動かして歯を鳴らし、威嚇を繰り返す。動く為の身体が無くなれば、頭蓋骨だけでは何もできない。しかし、放っておいてもかまわないという訳ではない。踏み込んだ先に、倒れた先に、こいつが口を開けて待っていればどうなるか? 想像は容易い。トラバサミを思い浮かべるといい。

 故に、下顎を砕く。そこまでが骸骨兵討伐の本来のプロシージャだ。

 首を断ち、顎を砕く。単純な行程だが、厄介事がないわけではない。そんな些細な手間を伴う作業の為に、攻撃手段を失ったに等しい炉端の石相手に向かい合う。その程度の余裕もない戦場には、カタカタと威嚇をするだけの存在は10や20では済まない。

 事実、倒したばかりの骸骨兵のしゃれこうべを、せめて足元から蹴り飛ばそうとアキレスも考えてはいるものの、それを実行に移せない。

 次に控えた一体が、強度硬度共に異常な数値を持ち、通常より巨大なカルシウム製ツヴァイハンダーを振り下ろした。鉄よりもはるかに軽いとはいえ、十分に重量のある刃が地面を穿つ。大きな音をたて、宙に骨が散らばり、隙間から土の床が姿を現した。


 死角からの攻撃という訳でもなく、予備動作の大きい正面からの一撃は比較的避けやすい。武器が下がり、首が曝される。回避の動作に合わせて振り上げた片手持ちの剣を、アキレスは左手を添え、ガラ空きの頸椎へと振り下ろす。基本的な攻撃パターンの1つとなっているためか、動作に無駄が少ない。

 ただ、一撃では首を外す事は出来ず、骨の繋ぎ目をわずかにずらしながらも、硬い体に刃が弾かれた。あと数回は全力の一撃を叩き込む必要があるだろう。


「夜明けは近いぞ! 耐えろ!」


 アキレスの耳に、後方で叫ぶザックの声が飛び込んだ。

 距離を整え、半身に武器を構え、体勢を立て直す。向かい合う骸骨兵が虚空の眼球をこちらから離さぬまま、正面にツヴァイハンダーを構えた。刃と骨の接触音、しゃれこうべの威嚇音。戦場に様々な音が響く中、アキレス達の動きが止まった。

 骸骨兵の剣先に理性や知性すら感じ、自分から踏み込むのを躊躇する。そんな刹那の攻防に割って入った代理指揮官様の声が、アキレスを現実に引き戻した。集中力が切れるのとは違う。むしろ、骸骨兵達の一挙手一投足にのみ向けていた意識が現実に引き戻され、視野が広がった。ふぅ、と息を吐く。気を抜いたわけではない。


 骸骨兵が動いた。右足の踏み込みを利用した痛烈な突きを繰り出す。単純な動作とはいえ、筋肉が無いので先読みが効かない。ただ、幸いなことに本能で動く骸骨兵達の攻撃パターンは少なく、この構えから来る攻撃手段をアキレスは知っていた。

 回避は間に合わずとも、せめて軌道を変えようと、剣先を片手剣の腹で流そうと試みる。肘を引き、右手の手首を返す。素直に回避に集中するのが最適解であったが、予防線を張らずにはいられなかった。


 終わりはいつも唐突だ。

 骨粉が舞い、アキレスは土の味を思い出した。

始めまして、プロローグを書くのが好きな人です。

いろんなお話のプロローグだけを集めた本とか発売されないものですかね?


さて、文章を散開させるべきか、といった種々の悩みを抱えたままですが、

(逃げ場を無くすために)投稿しました。

楽しんでいただけましたら、幸いと存じます。

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