虚と嘘
「え…?…りゅ…龍?」
何で龍がそこにいるんだ?何で?声優やってたの?
「「「きゃあああああ!!!かっこいいいいい!!!!!」」」
「ね!かっこいいでしょ?wそうそう、みんなに見てもらいたいVTRがあるんだ!ここんとこ数日龍輝くん、すっごく忙しそうだったんだけど、そこで何してたかみんな、知りたい~??」
「「「知りたぁぁぁあああい!!」」」
「はい、じゃあ龍輝くん、きゅー振りして?」
「はい、じゃあ…VTR…スタート!!」
_____
映像が終わった。そこに映っていたのは、具合が悪く学校を休んでいたはずの龍の姿だった…。
「~~~~っ」
「レイレイ!?」
俺は、その場にいたくなくて会場を飛び出した。大和の声が聞こえた気がしたがそんなことはもうどうでもよかった。頭の中に浮かぶのは、あれだけ嫌ってた大神龍輝が、大好きな幼馴染の大御龍之介だったこと。何で龍が声優をやっているのかということ。何で具合が悪いと言っていた龍がロケをしていたのかということ。何で龍は俺に秘密にしていたのかと言うこと。そんな色々な思いが俺の中を渦巻く。
…まだイベント中だろうけど、大和にメールでも送っとこう…。
『ごめん。具合が悪い。先帰るけど、ゆっくりしてね。誘ってくれてありがとな。』
…これでよし。…帰りたくないな…家族に心配かけたくない。
俺は、虚ろな目で街を歩いた。
__ポツポツ__ザアアアアアアアアアアアアア___
「…?…あ、、、雨だ…。」
帰らなきゃいけないかな…?もうどうでもいいや…。
「…!?」
突然雨が止んだ。正確に言うと、雨が遮られたようなそんな感じがした。ふと顔を上げる。
「…え?…何でここに…?」




